今週の"ひらめき"視点

COP24、スタート。パリ協定の実現に向けて国際社会は自らの行動を変えることが出来るか

2日、国連の気候変動枠組条約第24回締約国会議(COP24)がポーランドで始まった。会議は市民代表として演壇に立った英国の動物学者D・アッテンボロー氏の「気候変動の放置は文明の崩壊を招く」との警告から始まった。
今回の会議について関係者は一致してその重要性を指摘する。世界のCO2の排出量は4年ぶりに増加に転じた(国連環境計画)。取り組みの遅れはもはや後がない状況にある。加えて、米国がパリ協定からの離脱方針を崩さないなど国際協調体制も揺らぐ。会議日程は2週間、はたしてCOPはパリ協定の枠組みを維持できるか、まさに正念場である。

とは言え、一時的な反動はあっても環境負荷軽減に向けての流れは変わらない。11月30日、ファーストリテイリングはユニクロの主要素材工場のリストを公開した。同社はこれまで世界の取引先縫製工場を順次公開してきたが、サステナブル・アパレル連合(SAC)が開発した環境評価基準(HIGGインデクス)をベースとした環境負荷対策を2次取引先にも拡大、適用してゆく方針である。
世界持続可能投資連合(GSIA)によると、ESG投資は総投資額の26%、22.9兆ドルに達する(2016年)。つまり、環境対策はあらゆる企業にとって株式価値向上のための戦略要件であり、また、社会的な存続条件でもあると言えよう。

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によると「地球温暖化を+2℃未満に抑えるためには2075年前後までにCO2の排出量をゼロにする必要がある」という。“脱炭素”は低炭素の延長線上にはない。テクノロジー、経営思想、ライフスタイル、社会システムの根本的なイノベーションが求められる。
こうした問題意識のもと、当社はこの度、脱炭素をビジネス・イノベーションの視点から構想する新組織「カーボンニュートラルビジネス研究所」を設立した。脱炭素をキーワードに既存の枠組みを越えた新たなビジネスを創発、創出したいと考える。業種業態、業歴、専門分野は問わない。多くの企業、研究者、ビジネスマンに参加いただきたい。

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今週の”ひらめき”視点 12.2 – 12.6
代表取締役社長 水越 孝