- 市場調査とマーケティングの矢野経済研究所
- インド市場進出のための支援サービス
インド市場進出のための支援サービス
日本国内及び欧米諸国市場の成熟化の中、事業展開のアジアシフトが顕在化しています。その中でも2011年2月に日本とインドの間で締結されたEPA(経済連携協定)が8月1日に発効されたことにより、今後益々日本企業のインド進出が期待されています。
小売市場を外資に開放していないインド市場において、“将来的な小売業の開放”をにらんで、各国外資企業の注目度が高まっている中で、日本企業の対インドビジネスも従来からの自動車関連分野、電機・電子分野、機械分野もさることながら、「消費財分野・サービス分野」への広がりをみせています。
消費市場としてのポスト中国市場として、インド市場への注目は各業界で高まっています。
矢野経済研究所は今まさに拡大しようとしているインド市場に対し、進出をご検討予定の企業様向けに各種支援サービスをご提供いたします。
日本国内及び欧米諸国市場の成熟の中、各企業の事業展開のアジアシフトが加速しています。特に、ポスト中国の消費市場としてインド市場への注目は各業界高まりつつあります。
この背景には、2030年には中国を上回ると言われる人口規模と、旺盛な消費の若年層を中心とした中間層の拡大が挙げられ、2011年8月の日印両国間のEPAの発効、さらに2014年には、総合小売業への外資参入が解禁されることもあり、ほぼ未開拓であった12億人の小売市場を巡って激しい商戦が展開される見込みです。
このような状況の中、矢野経済研究所では、ファッションをはじめとして、インドの消費者事情を中心に、広くインド現地事情ということで、日本企業様向けに当社研究員のコメントをまじえながら、マンスリーで発信いたします。
インド市場ワンポイント情報
第8回 インド家電小売市場の現状
第7回 インド国内における薬局市場の現状
第6回 インド物流事情 ~インド国内における物流業界の現状~
第5回 インド消費事情~インド経済発展下に見る食品業界プライベートブランド(PB)市場の拡大~
第4回 インド外食事情~経済成長の恩恵を受け近年拡大、レジャー産業の一角をなすまでに成長
第3回 インド買い物事情~注目の買い物スタイル、インドで進む決済のIT化
第2回 インド大都市部(デリー・ムンバイ)におけるメンズ及びレディスファッショントレンド
第1回 インド国内ショッピングモールの実態に見る今後のインド市場攻略の鍵とは
矢野経済研究所では、ファッションをはじめとして、インドの消費者事情を中心に、広くインド現地事情ということで、日本企業様向けに当社研究員のコメントをまじえながら、マンスリーで発信いたします。
インド市場ワンポイント情報
第8回 インド家電小売市場の現状
2012年5月10日掲載
インド家電小売市場は、「近年の目覚ましい国内経済の成長」、「ライフスタイルの変化・進化」、「クレジットカードやローンのファイナンススキームの確立・浸透」等の要因を背景に急拡大を遂げている。
1.近年の目覚ましい国内経済の成長
最近のインド国内消費者の家電製品購買の増加の背景には、近年のインド国内の経済成長による1世帯あたりの可処分所得の向上が挙げられる。特に都市部においては、近年の女性の社会進出も相まって、いわゆるタブルインカムの世帯も増えており、その流れに拍車をかけている状況である。更に、地方においても、経済成長に伴う企業の進出、インフラの整備により、その恩恵を被るケースも増えており、これに伴い、Tier2(※1)、Tier3(※1)と言った第二、第三の都市部への近代的大型商業施設の進出も拡大。平行する形で家電小売自体も増加の傾向にある。
(※1)一般的にTier2は、人口100万人以上~400万人未満の都市圏を指し、「プネ」、「ジャイプール」等の都市を指す。また、Tier3は、人口50万人以上~100万未満の都市圏を指し「マスラ」、「ボンディチェリー」等の都市を含む。因みにTier1は、人口400万人以上の都市圏を指し、デリー、ムンバイ、コルカタ、チェンナイ等の大都市を指す。
2.ライフスタイルの変化・進化
こういった一連の経済環境の変化は、インド国内消費者のライフスタイルをドラスティックに変化させ、今まさに次なるフェーズへ進化を遂げている。最近のインド政府の規制緩和による外資参入の増加による展開商品群の拡大、メディアやITインフラの発達による入手できる情報のボリュームの増加、多様化、スピード化も図られ、インド消費者のマインドにおいても家電製品を実用品としての位置付けから、加えて嗜好品の要素も取り入れられつつある。ハイテクであることは勿論の事、デザインの良さ、軽さ(持ち運び)、質感(手触り)、面白さ(ボリウッド※2の音楽が流れる等)などそのニーズも多様化、細分化がすすんでいる状況である。
(※2)ボリウッド: インド・ ムンバイの映画産業全般につけられた非公式な名前。ムンバイの旧称「ボンベイ」の頭 文字「ボ」と、アメリカ映画産業の中心地「ハリウッド」を合わせてつけられた。インドのみならず世界中のインド人の社会に根付いており、人気も高い。
3.クレジットカードやローンのファイナンススキームの確立・浸透
最近のチェーン展開をするようなインド家電小売店においては、パソコン、冷蔵庫、洗濯機、カメラなどの高額家電製品の購入者に対して、銀行やその他の金融機関とタイアップしたファイナンススキームを提供。低金利、場合によってはゼロ金利での融資のサービスを提供することで、結果、今まで手の届かなかった消費者層にも購入の間口が広がり、同市場の拡大に大きく寄与している。
また、この3点に加えて、最近のインド国内における近代的大型家電小売店開発の拡大や「Walmart」や「Carrefour」等の外資大型小売企業進出も、同市場の拡大に影響しており、特に後者においては、今後の外国直接投資(FDI)規制の緩和及びマルチブランド小売企業への開放が大きな鍵となっており、その動向に注目が集まっている。
研究員 小野寺 晋
第7回 インド国内における薬局市場の現状
2012年4月6日掲載
インド国内における薬局マーケットは、国内小売市場全体(2010年で約5000億USドル)の約3%と見られ、更に、そのうち近代化・組織化された薬局市場は約5%程度であると見られている(出所:IRIS Primary Research)。このように市場規模自体そのものは未だ小さいのが現状であるが、近年においては、特に近代化・組織化された薬局市場の成長が顕著となっている。それを後押しする要因としては、“医療・健康管理関連への消費の増加”(特に医薬品製造・販売、及び、医薬品小売業の成長)、“近年インド国内の病気のプロファイルの変化”“消費性向の変化”(特にOTC※市場の拡大が顕著)などが挙げられ、薬局市場の拡大に大きく寄与している状況である。
※オーバー・ザ・カウンターの略で、一般用医薬品(薬局や薬店等で処方箋無しで買える薬)を指す。
また最近の新しい傾向としては、インド国内の医薬品関連企業は、成熟化がすすむ都市部の市場から徐々に軸足を地方都市にシフトさせる動きも散見されはじめている。インド国内においても、近年のコンスタントな経済成長、インフラの整備、新しい産業の進出による新規雇用の創出等で、プネ、ルディアナ、スーラット、ジャイプールといった第二、第三の地方都市が成長。また、こういった地域は未開拓の市場であり、更に、昨今の国内ユーザー間に見受けられる“ブランド重視”や“品質重視”の消費トレンドが、付加価値サービスとしての診断や実験設備といったものを兼ね備えた近代化・組織化された小売薬局の出現を後押ししている状況も見受けられ、特に医薬品関連の大手企業にとっては、将来のハイポテンシャルマーケットとして注目を集めている。
事実、小売薬局業界は、インド国内において最も組織化・近代化が遅れている業界であり、エンドユーザーの手元に医薬品が渡るまでには、何人もの中間業者が存在し、その分マージンもかさむ仕組みとなっている。また、現在、インド国内の薬局チェーン市場は、外国直接投資<FDI(Foreign Direct Investment)>規制、更に、薬局として医薬品の販売を行うにあたり、「Drugs and Cosmetics Act,1940」という条例に基づきライセンスの取得が義務づけられる等、特に海外企業の参入における障壁はいくつか残っている状況である。
しかしながら、昨年2011年11月末には、このFDI規制の緩和が発表され、その後、国内中小小売業者の反対もあり、一時棚上げになったという経緯があるものの、インド経済の持続的な成長には外資の参入の必要性は高く、近い将来、外資への市場開放が行われると見られている。
研究員 小野寺 晋
第6回 インド物流事情 ~インド国内における物流業界の現状~
2012年3月5日掲載
インド国内における物流業界は、まだ発展途上の段階にあるのが現状である。近年では、国内外からの大型投資も拡大しつつあるものの、特に国内の内陸輸送インフラはまだ未整備の部分も多く、また、物流を必要とする企業と消費者の間に様々な中小の中間業者が混在、更に州ごとに税制や法制が異なる等、このような細分化された複雑な構造は、国内外企業にとってボトルネックとなっている。
こういったマイナス要因がまだ色濃く残るインド物流業界ではあるが、未開拓であるが故にその伸び代は大きく、近年では年率10%近い成長率(金額ベース)で同業界は拡大しているとも見られている。特に最近、潜在市場として世界各国からの注目を集めるインド小売市場の拡大及び近代化が同業界に大きな変革をもたらしており、よりコストイフェクティブネスや利便性の向上を念頭とした輸送の効率化・スピード化や顧客の視点に立った様々な質の高いサービスの提供等新たなビジネスを創出、更に最近では小売市場への海外企業の参入により、小売側から求められるニーズも多様化しており、商品の特性に合わせた専門性の高い保管体制やそれに付随するマネジメントやナレッジの共有といったソフト面での高い付加価値サービスという新たなニーズも顕在化してきており、結果こういった変化がインド物流業界の成長の原動力ともなっている。
また、こういったニーズの多様化を受け、近年成長が著しいのがサード・パーティー・ロジスティックス(以下3PL)である。インドの国内外企業は、3PLの活用により、インフラ投資やオペレーションコストの削減、物流のリスクヘッジ、キャッシュフローの向上、更にグローバルスタンダードの物流プロセスやテクノロジーへのアクセスといったベネフィットを共有。また最近においては、大手企業を中心に3PLのアウトソースと自社のインソースをうまく活用したミックス型ロジスティックスを展開する動きも散見され、インド物流業界は新たなステージに突入しつつある状況である。
このように、物流業界発展の裏側には、トランスポーテーション(輸送業)の改善と向上が大きく関与しており、インド政府も近年道路等のインフラの整備に注力してきた経緯がある。しかしながらその一方で、物流業界を形成する上で双璧となるウエアハウス(倉庫業)においては、政府からの更なるサポートが必要となっているのが現状である。その一端を担うべく、国内外企業から大きな期待を寄せているのが統一GST(Good & Service Tax)の導入である。現在、インド国内においては、同じ州内でモノを販売する際に課される州付加価値税(州VAT)<還付可>、州をまたいでの販売にかかる中央販売税(CST)<還付不可>、更に輸送の際に課せられるオクトロイ税(入境税)等があり、こういった複雑な税制は、物流の非効率化を生み出し、物流コストの増大を招いている。こういった状況を背景に、国内外の企業は、それぞれの段階で課せられる税金をカットするために各州に倉庫を保有することが求められており、事業運営の足枷ともなっているのが現状である。統一GSTはこういった複雑な税制を簡素化、一元化することで、物流の非効率化、コストの増大というリスクを回避し、更なるインド国内市場への投資やビジネス取引を促す目的で現在インド政府が推し進めている新たな税制度である。また、統一GSTは還付可の税制であり、今後各州に散在した倉庫が集約されることも予想され、州をまたいだより広範囲でのビジネス展開の拡大が見込まれている。
このように、インド国内において、発展途上のインフラと複雑な流通は、同国市場参入における2大障壁と考えられているが、こうった問題もタイアップする現地パートナーによっては、クリアできる部分も多いのも既存の事実である。自社の参入形式、現地でのビジネス規模、商品の特性や価格体系、展開範囲等を十分考慮した上で、そのビジネスモデルにあったパートナーを選定することが、インド市場参入の一歩となることは間違いない。
研究員 小野寺 晋
第5回 インド消費事情~インド経済発展下に見る食品業界プライベートブランド(PB)市場の拡大~
2012年2月9日掲載
先進国の欧米諸国では食料品全売上高の約4割はプライベートブランド(以下PB)商品ともいわれているが、近年、経済成長国であるインドにおいてもその市場は拡大の傾向にある。
こういった状況の背景としては、急速な経済発展の下での購買力を有した中間層の拡大が大きく影響しているものと見られる。特に中間層の核をなすのが若年層であり、5年後には全人口の約半分を30歳未満が占めると予測されている程、人口構成比率が非常に高いのが特徴である。更に、経済発展による新しい雇用の創出により若年層の可処分所得も向上、それと併行してユーザーのニーズも多様化し、今までに見られない価値観を持った消費者層が出現し始めていることもあり同市場の拡大を後押ししているものと考えられる。
最近の同マーケットのトレンドとしては、第一にミドル及びローワーミドル層を対象としたPB商品展開の拡大が挙げられる。前述の中間層の拡大に伴い、最近では今までアッパーミドル層以上を対象としてきた小売においても中間層向けのPB商品の開発が加速している。また、最近の経済成長によるインフラ整備・生産技術の向上、効率化が図られたことにより、既存の有力メーカーブランド商品の品質に劣らないPB商品をよりリーズナブルな価格で提供することも可能となっており、価格競争力を持った商品としてその展開領域を広げている模様である。
第二に地方消費の拡大が挙げられる。現在のインド国内において地方消費者の規模はおおよそ全人口の約7割、また、小売市場規模の約5割を占めるとも言われている状況である。またその購買力も都市部の消費者に匹敵するほどにまで成長している状況で、今後も更なる拡大が見込まれている。
第三には、小売の近代化・複合商業施設(いわゆるショッピングセンター)の拡大が挙げられる。こういった状況の恩恵として展開チャネル自体の拡大と共に様々な角度からの商品提案も可能となり、PB商品にとっても展開の幅が以前にも増して広がりを見せつつある。以前はPB商品を自社の店舗でしか展開してきてなかった企業も、PB商品の流通の拡大とともに“ブランドとしての認知度”が向上し、自社店舗以外の展開チャネルの多角化が急速に進んでおり、今後も拡大が見込まれている状況である。
事実、こういったインド国内消費需要の拡大による各産業分野におけるマーケットの拡大が見られる中、物流システムの未発達、州ごとの複雑な法規制、外資への規制等、一筋縄にはいかない一面もあるが、最近では、こういった障壁を各産業分野におけるインド現地パートナーと組むことによって克服している事例もいくつか散見され始めており、いかに自分たちのビジネスに適合したパートナーを見つけることが出来るか否かが、インド市場参入における成功のキーポイントの一つとなっていることは間違いない。
研究員 小野寺 晋
第4回 インド外食事情~経済成長の恩恵を受け近年拡大、レジャー産業の一角をなすまでに成長
2012年1月13日掲載
これまでインドでは「食」というものは、家庭の中で重要な位置付けを果たしてきた。尚且つ、インドには、数多くの「DHABAS」や「MIHAI」等の日本でいうところの“食堂”が存在するものの、日本や中国のような他のアジア諸国のようにポピュラーになることはなかった。
しかしながら、近年の「核家族の増加」「都市化の加速」「便利性を求める消費者の出現」等の要素が相まって、レストランビジネスが過去数年で急拡大。「外食」が市民権を獲得しつつある。更に最近では、「外食」が、コミュニティの中での社交のツールとしても活用され始めており、例えば「コーヒーショップ」は、インドの若者や、アーティスト、様々な分野のスペシャリスト等の新しい社交の場として、また洗練されたレストランは、「富裕層」や「エリート階級」はもちろんのこと、昨今成長著しい「消費意欲旺盛な中間層」の間での需要が拡大している。
また、最近顕著な変化としては、こういった人々は、「現状よりもよりいいもの」を求めるようになってきていることである。その背景には、経済成長とともに増加の傾向にあるインド人の海外旅行経験者が大きく関連しており、海外で受けた高いサービスや、クオリティをインド国内の外食にも求めるようになったことが大きく影響しているものと見られている。また、こういった状況を反映して、インドレストラン業界の国内外有力プレーヤーは、メニュー、味そのもの、サービスの基準、店舗環境の再構築をはかっており、同時に、シェフやマネジャーや経営者の育成機関設立にも注力し始めている。
一方、昔からあるローカルレストランは、外資系企業のような新参者とは一線を画す形で、tier2やtire3といった地方都市市場の開拓に着手している。インド国内では、デリー、ムンバイ、チェンナイ、コルカタといったインド4大都市に加えて、最近では、経済成長の恩恵をこうむった地方都市の成長が顕著となっており、都市部の環境に近いより良い生活を求める「ニュークラスター」が生まれ始めており、地場に強いローカルレストランが国内大手レストラン、または、海外有力レストランの競争軸として成長している地方都市に触手を伸ばしつつある状況である。
このように、外食産業が未開発であったインドにおいても、昨今の経済成長によるライフスタイル、嗜好の変化、中間層のような消費パワーを持つ「ニュークラスター」の出現によって成長が加速し、最近では本来の目的の「食する」に加えて、「社交の場」のような便利性や快適性を求める傾向にあり、外食産業はインド国内におけるレジャー産業の一部となりつつある。
近年、マーケットが成熟した欧米市場中心に、昨今のヘルシー志向の高まりを受け“日本食ブーム”なる動きも散見されたが、新興国市場においてはまだまだ浸透していないのが現状である。こういった状況の背景には、当然、新興国の市場及び消費者が成長の過程にあることに加え、欧米のグローバル外食チェーンのような大規模な展開を行う日本企業が存在しないことも大きく影響していると思われる。ただし、今後、市場が成熟し、消費者のニーズの細分化、多様化が図られていくことを考えると、決してチャンスがないわけでもなく、日本の“食”のみならず、「おもてなし」の文化が根付く日本の“質の高いサービス”がビジネスに繋がる可能性もあるのではないか。
研究員 小野寺 晋
第3回 インド買い物事情~注目の買い物スタイル、インドで進む決済のIT化
2011年12月09日掲載
現在インドでは、銀行口座保有率が30%未満、クレジットカード保有率もわずか3%未満ともいわれており、窓口支払いに対して利便性の高い決済手段へのニーズが拡大傾向にある。その核となっている事象が、“決済手段のIT化”であり、最近急速に最新技術の取り入れが加速している。
インドと聞くと、まだまだこれから発展を一歩ずつ進めていくというイメージが日系企業の間の認識として根強いが、実質は固定電話網を敷設する段階を飛び越え、月間800万台を超える加入者が増加し続ける携帯電話社会に移行したように、小売から交通網まで至るところで、携帯電話を中心に最先端のIT技術を取り入れたオンライン決済化が進んでいる。こういった状況の背景としては、インドのように広大な国で、ATMやリテールスペースなどを確保し、そのメンテナンス網を張り巡らせることが現状としては経済成長と、人々のニーズに全く追いついていないということが挙げられる。今後の展望を考えた時、複雑な機械構造を要する機械の整備や偽札の検知システム、紙幣やコインの品質向上を望むより、皆が一台持っている携帯電話と電子認証システムを発展させた方が合理的という判断を下しているようである。
まずは、リテールスペースだが、現在インドでは日本よりECサイトの伸びが顕著であり、テレビを見ていると、大手自動車や電化製品メーカーなどのCMに並び、オンラインショッピングサイトのCMを良く見かける。代表的なものでは、「flipkart.com」や「myntra.com」などが総合的なサイトとして有名であり、ファッション業界では「fashion and you」が有名でインド最大のファッションウィークのメインスポンサーを努めている。
また、鉄道やバスでも日本のFelicaに類似したスマートカードと呼ばれるカードの普及が進んでいる。ムンバイでは、Indian Railways Smart Cardというカードが400ルピー(日本円で700円程度)を払うと発行してもらえ、チケットの自動販売機でチケットを購入する際に使うことができる。インドの鉄道システムの1ゾーンが4ルピーであることを考えると非常に高価であることは確かだが、学生などを中心に草の根的に利用者が増加している模様で、バスでも同様のカードの普及が進んでいる。
また、これら言わば「オフライン」のカードの普及の鍵となるのが、携帯電話を利用したモバイルバンキングの普及である。先日、インド連邦準備銀行はこれまでのモバイルバンキングの決済額の上限を10万ルピー(日本円で17万円程度)に引き上げた。これは、インドの大卒の月収が5万円程度であることを考えると非常に大きな金額であると考えられる。ICICI銀行は、スマートフォンは勿論のこと、一般的に普及するJAVAのアプリケーション(昔のiモードに近い)を用意し、電話番号を登録することで、銀行の残高照会、振込など基本的に必要なことのほとんどを行うことができ、そればかりか保険の購入もできるようになってきている。
またアプリケーションを利用したモバイルバンキングとは別に、プリペイド携帯のリチャージ(振込)など、登録された携帯電話からSMSを送るだけでどこからでもリチャージ(振込)が行なえ、高価な端末を準備せずとも簡単な決済業務ができるようになっている。
また、それとは相対して、最先端のスマートフォンを利用した実験的な試みも進んでいる。NOKIAは、BlackberryとiPhone、Androidに奪われたシェアを挽回すべく、先ごろのNFCを搭載した最先端の携帯電話の発売を機に、「Paymate.com」というオンライン決済企業とタイアップし、NFCを通じた決済のソリューションを強く打ち出してきている。
また、インド全土へのスマートカードの普及の先行きを担う事例として、Unique ID=UIDと呼ばれる国民総背番号制の整備が世界最大規模プロジェクトとして進んでいる。そのカードと認証システムのベンダーがインドの今後のIT化のカギを握ると行っても過言ではない。
ただし、日本企業がこの分野において非常に出遅れていることは事実であり、“フロンティアが新興国市場を制す”というメインストリームからははずれている感は否めない状況である。
研究員 小野寺 晋
ご協力機関:株式会社インフィニティ・クリエーションズ
第2回 インド大都市部(デリー・ムンバイ)におけるメンズ及びレディスファッショントレンド
2011年11月15日掲載
ファッション業界においても、昨今の市場の成熟化を背景に“頭打ち感”の漂う日本及び欧米市場から、新興国市場へその軸足がシフトしつつある。特にインドは、2011年8月の日印間でのEPA発効を機に、将来の成長市場としての存在感も増しつつあり、更に人口に市場規模が比例する傾向の強い繊維・アパレル・ファッション業界において、未開拓の12億を超える人口を抱えるインド市場は非常に魅力的である。しかし、これまでの日本においては、入ってくるインドの情報が限定的で、“インド市場は難しい”というイメージが先行しているのが現状で、ここ数年のインド国内の大改革期に先行して欧米ファッションブランドの進出が続いている状況である。
今回は、2014年初めにも総合小売業への外資規制の緩和が見込まれる等更なる変革を迎えるインド国内のメンズ及びレディスのファッショントレンドについてレポートする。
メンズにおいては洋服文化がずいぶん昔から浸透しており、シャツとパンツが社会のどのレベルをみても普及している状況である。これからは、ジャケットやブーツ等の今までのワードローブに無かったアイテムを取り入れたり、デザインに面白さを持つもの等が要求されてくるものと見られており、現在、アパレルで言えば日本の「スーツカンパニー」と似た様式の「Reymond」や「Reid&Taylor」といったブランドが主要都市を中心に大々的に他店舗展開を行なっており、また、シャツの上にジャケットを羽織ることが、ローワーミドルとアッパーミドルの差別化のアイテムとして受け止められており、アッパーミドルからアッパーへのエントランスでは、ラペル等に工夫を凝らした面白さを求めたジャケットが増加し始め、ラグジュアリー層向けには、「Tom Ford」や「Armani」、「Canali」といったブランドが本格参入している。
レディスでは、潜在的なマーケット規模はメンズとは比べ物にならないのだが、インドの伝統的な衣装“サリー”や“サルワール・カミーズ”といった服装も未だに多くみられ、オーガナイズされた市場として戦略を組み立てることが難しいのが現状となっている。よって、インドのローカルアパレルも広がりは、大衆向けモールが中心となるなど限定的であり、テキスタイルのソーシングの観点からも高価格帯の女性向けテキスタイルを扱う業者は皆無に等しい。
しかし、近年、デリーやムンバイなどの大都市を中心に再開発により整備された現代的商業施設の増加に伴い、欧米の「Zara」、「Mango」や「Forever 21」のような代表的な欧米アパレルブランドが続々と進出。また、ファッションの主要情報源である雑誌媒体においても、4周年を迎えたばかりのインド版VOGUEやELLEなどが日本国内の実績を超える販売部数を記録する等、モダンファッション層は確実に拡大しており、その様相も様変わりしてきている。特にムンバイは、映画産業もあり、トレンドの発信地としてレディスファッションを牽引しつつある。最近のファッションの広がり方の例としては、ローカルのセレクトショップを中心に、小規模ながら新しいマーケットを切り開き、これまで売り場がなく活躍の機会を海外に求めざるを得なかったクリエーター達に販路を提供する動きが散見され、それをVOGUE等のファッション雑誌がイメージとして売り込み、セレブリティから広がりをみせ、海外生活の経験がある若い消費者へ、更にそのフォローワーへと浸透するという循環を生み出している。
ただメンズ、レディス問わず日本企業が直面すると思われる問題は、“ブランド力”の問題である。マーケットが成長中のインドで成功する最短距離は、新しいマーケットセグメントの先駆者となり、セグメントの代名詞としてブランド名が認知されるようになることであると考えられる。しかし、日本のアパレル企業の既存の全方位的な商品展開と、それを細分化してそれぞれのブランド名で売り出す戦略、また、良い品質のもの=売れるものという概念が、ある意味インド進出を阻む最大の障壁となっていると見られ、今後、現地に一歩踏み込んだビジネス展開が必要とされている。
研究員 小野寺 晋
第1回 インド国内ショッピングモールの実態に見る今後のインド市場攻略の鍵とは
2011年10月12日掲載
第1回目としては、急速に発展したインドのショッピングセンターの状況についていくつかコメントしたい。
ムンバイ市にある「oberoi mall」と「INORBIT Mall」は、両者ともに、ミドルからミドルアッパーを対象にしたショッピングモールである。アパレル及びファッション雑貨のテナントとして入っている小売店は、70%~60%がインドローカル、30%~40%が欧米諸国中心としたブランド。展開ブランドの傾向としては、カジュアル、スポーツカジュアル及びスポーツブランドがメイン。例えば「NIKE」「REEBOK」「ADIDAS」「トミーヒルフィガー」「DKNY」「ベネトン」「SISLEY」などである。
生産は参入初期はどのブランドも中国などの第三国生産の形をとっていたが、徐々にインド国内生産にシフト。価格帯もグローバルプライスよりも2割~3割ダウンで展開している模様。比較的、高価格帯の商品も展開するブランドは、本国生産、もしくは中国生産の傾向も見られたが、リーズナブルになればなるほど、インド現地生産のブランドの傾向。
ユーザーの特徴としては、中間層が購買層というイメージよりも、もうワンランク高いアッパーミドル層からがブランドエントリーと感じた。
いずれにしても、中間層を中心としたインドユーザーの消費性向は、まず価格ありき、次にブランド・商品の知名度及びイメージ、最後に品質であると思われる。インド中間層攻略の鍵は、いかにインド市場にローカライズさせた商品を低価格で、ブランドの認知・イメージも高く提供できるかにかかっている状況である。
そのためには、段階的な投資というよりは短期的にまとまった先行投資が必要であり、新規で参入する本体が主導権を持ってビジネスを組み立てていくことが求められていると思う。
研究員 小野寺 晋
市場背景
旺盛な消費の” 若年層を中心とした中間層“の拡大
- 昨今の経済成長と共に若年層を中心に可処分所得が向上、購買力を有した“中間層”が誕生。
- 35歳以下の人口比率が高く、平均年齢が非常に若いインド市場。最近のライフスタイルの西洋化を背景に若年層が国内消費・需要の拡大に大きく寄与。
- 更に、クレジットカードや低所得者層向けの小口融資スキームなどが急速に普及。“中間層以下”のボリュームゾーン市場へも可能性が拡大。
海外ブランドを取り扱うショッピングモール市場の拡大
- 近年、「ニューデリー」「ムンバイ」「バンガロール」等の大都市及びその郊外にショッピングモール、デパート、スーパーマーケットの出店が急加速。同様の動きは急速に中核都市に拡大。
矢野経済研究所はインド国内における「アパレル市場動向及び特性」を定量的且つ定性的に調査し、当該マーケットの現状を把握することで、「インド市場新規参入へのビジネス戦略」の策定、更に「ビジネスパートナーのリストアップ」を行い、今後のインド市場参入実現へ向けてのサポートを行います。
その他、各種ご要望にお応えいたします。 まずはご相談ください。
- 法規制、各種規定を知りたい(外資に関する規制、事業を行なう際に留意すべき法規制や申請手続きなど)
- 産業構造、流通実態を把握したい
- 関連市場の市場規模、および主力メーカーの生産、販売状況を把握したい
- 特定企業、特定製品の生産・販売状況、輸出入状況を把握したい
- 生産拠点としての将来性を把握したい
- 成功している日系企業、欧米企業、ならびに現地企業の事例研究、ビジネスモデル研究により、自社の事業展開のためのベンチマークとしたい
- 指定製品の内需および関連するマクロ動向を把握したい
- 指定製品の消費動向を把握して需要の中期予測を算出したい
インド市場概況レポート(30万円~)
- マクロデータ一式
- 主要業界別市場規模と成長性
- 主要業界別主要参入企業一覧(地場、外資)
- 法令情報等 等
インド市場における特定業界・商品の市場可能性評価
- 特定業界・対象商品の市場動向と業界構造・主要プレイヤー
- 有力企業のプロフィールと動向
- 外資系企業/日系企業の参入動向・戦略
- 日系企業にとっての参入機会とリスク
- 貴社ビジネスモデルの市場有効性または商品の市場可能性評価(専門家による貴社ビジネスモデルの検証、潜在顧客等による商品評価、等)
- インド市場の実態調査
- 競合企業ベンチマーク
- 経営資源分析
- インド進出の基本方針の検討
- 事業戦略の策定または再構築
ビジネスマッチング支援
-
可能性のある有力パートナー候補リスト作成
- ロングリスト作成
- ショートリスト作成
- 有力企業の評価・分析レポートを提供
-
商談設定・サポート
- 面談に向けての提案書骨子作成
- 現地視察、現地企業との面談設定
- 商談後のフォロー・分析レポートを提供~提携先の適正とリスク評価、事業展開のビジネスモデル等
提携推進に向けてのコンサルティング
- 業務提携戦略の構築
- 事業成功条件分析
- 提携交渉代行、支援
- 事業提携スキーム構築
- 中期事業計画・投資計画の策定支援
- 現地法人等手続き等の支援 他























日本マーケティング・リサーチ協会 会員 No.20175