2024年版 自動車用フィルム・シート市場の展望と戦略
国内の自動車用フィルム・シートメーカー各社の現在の動向と今後の事業施策を調査し、自動車フィルム・シート市場における現状と今後の動向を把握する。
調査資料詳細データ
調査概要
資料ポイント
調査目的:国内の自動車用フィルム・シートメーカー各社の現在の動向と今後の事業施策を調査し、自動車用フィルム・シート市場における現状と今後の動向を把握する。
調査対象:
・内装用加飾フィルム(水圧転写フィルム、インモールド転写箔、インサート成形用フィルム、オーバーレイ成形用フィルム)
・外装用加飾フィルム
・ウィンドウフィルム
・合わせガラス用中間膜
・車載ディスプレイカバーパネル用樹脂シート
・車載ディスプレイカバーパネル用反射防止フィルム
調査方法:弊社専門調査員による直接面接取材をベースに、文献調査を併用した。
調査・分析期間:2024 年 7 月~2024 年 9 月
前回版との違い
- 自動車用フィルム・シートメーカーの取り組みや市場規模データをアップデート
- 車載ディスプレイカバーパネル用反射防止フィルム市場の動向を追加
リサーチ内容
調査結果のポイント
第1章 自動車用フィルム・シート市場の展望と戦略
CASEや環境対応を満たした製品を「想像/創造」し、持続的な成長の実現を!
2023年の自動車用フィルム・シート市場規模を1億9,494万㎡と推計
足元では反射防止フィルムが好調も、中長期では外装加飾や中間膜などの市場拡大にも期待
(表) 自動車用フィルム・シート 市場規模推移
(表) 自動車用フィルム・シート 品目別トレンド
(表) 自動車用フィルム・シートメーカー ソリューション別ポジショニングマップ(1)
(表) 自動車用フィルム・シートメーカー ソリューション別ポジショニングマップ(2)
(表) 自動車用フィルム・シートメーカー ソリューション別ポジショニングマップ(3)
CASE登場から8年が経過も進捗状況はまちまち
対応するフィルム・シートの需要は当初期待されたほどの拡大には至らず
(表) 自動車開発軸における現状・課題整理
(表) 自動運転の定義と概要
2024年9月、家電メーカー大手のシャープがEVのコンセプトモデルを発表
65V型のディスプレイを搭載した車内後方空間は、移動にとどまらない様々な用途を想定
(図) シャープ EVコンセプトモデル「LDK+」
(図) 「LDK+」 窓ガラスの液晶シャッター
(図) 自動車フィルム・シートメーカーにおける中長期の成長イメージ
第2章 自動車用フィルム・シート市場の動向
1. 自動車内装用加飾フィルム市場の動向
加飾にとどまらない機能付与ニーズが市場拡大に追い風
(表) 主なフィルム加飾工法 分類
(表) フィルム加飾工法 工法別トレンド
(図・表) 主要地域における自動車内装用加飾フィルム 市場規模推移
(図・表) 主要地域における自動車内装用加飾フィルム 市場規模推移(地域別)
(表) 自動車メーカーの内装加飾採用状況
1-1.水圧転写フィルム
水圧転写市場は、排水処理やVOC排出に対する規制強化等を背景に縮小傾向
一方、規制強化を背景に中国からの生産シフトが進み、インドや東南アジア地域では微増
(図) 水圧転写 プロセス
(表) 自動車用水圧転写フィルム 市場規模推移
(図・表) 自動車用水圧転写フィルム 地域別市場規模推移
(表) 自動車用水圧転写フィルム メーカーシェア推移
1-2.インモールド転写箔(フィルム)
IMRは半導体不足による減産や金利上昇による需要低迷から直近2年連続で前年割れ
2024年以降はマイナス要因が緩和され、横ばい~微増程度での推移が見込まれる
(図) インモールド転写 プロセス
(表) インモールド転写箔(フィルム) 市場規模推移
(図・表) インモールド転写箔(フィルム) 主要地域別市場規模推移
(表) インモールド転写箔(フィルム) メーカーシェア推移
1-3.インサート成形用フィルム
自動車の電装化進展を背景に
電装部品向けINS用フィルムの市場規模は年率6~9%程度の高成長
(図) インサート成形 プロセス
(表) インサート成形用フィルム 市場規模推移
(図・表) インサート成形用フィルム 主要地域別市場規模推移
加飾部品向けに展開するDNP、NISSHAなどは横ばい~微増
電装部品向けが中心となるマクダーミッド、MGCなどは電装化ニーズを取り込み高成長
(表) インサート成形用フィルム メーカーシェア推移
(表) インサート成形用フィルム(加飾部品向け) メーカーシェア推移
(表) インサート成形用フィルム(電装部品向け) メーカーシェア推移
軽量化、部品への機能付与などのニーズを受けて、IMEのニーズが拡大
1-4.オーバーレイ成形用フィルム
自動車用内装部材ではコスト重視の傾向から採用ペースは緩やか
一方、塗装代替ニーズの拡大等から2026年頃より外装大型部品向けでの本格採用が開始見込み
(表) オーバーレイ成形用フィルム 市場規模推移
(図・表) オーバーレイ成形用フィルム 主要地域別市場規模推移
(表) オーバーレイ成形用フィルム メーカーシェア推移
2. 自動車外装用加飾フィルム市場の動向
塗装代替ニーズを背景に外装部位へのフィルム採用が本格化
2023年1月、マツダはコンパクトカー「MAZDA2」の大幅な商品改良を発表
ルーフフィルムの採用により塗装・乾燥工程を半減し、CO2の大幅な削減を実現
(表) 自動車外装用加飾フィルム 採用部位・ターゲット
(図・表) 自動車外装用加飾フィルム 市場規模推移
2-1.ボディ用
2026年~2030年にかけて大型外装部品におけるフィルム加飾が本格化
DNPの外装ルーフフィルムが2トーンカラーのコンパクトカーに採用
(表) 自動車外装用加飾フィルム(ボディ用) 市場規模推移
2-2.パーツ用
パーツ向けでは金属調加飾フィルムが市場をけん引
金属調以外の領域では、アイカ工業やNISSHAが外装加飾フィルムを展開
(表) 自動車外装用加飾フィルム(パーツ用) 市場規模推移
3. 自動車用ウィンドウフィルム市場の動向
遮熱性能の向上や採用部位の拡大により新たなニーズを取り込む
新車向け、中古車向けの施工需要により安定した市場拡大が続く
(表) 自動車用ウィンドウフィルム 市場規模推移
(表) 自動車用ウィンドウフィルム 国内主要メーカーシェア推移
これまではプライバシー保護、デザイン性などの観点から濃色タイプが主流であったが、
近年では遮熱ニーズの高まりからフロントガラスにも貼付可能な透明タイプの需要が増加
4. 自動車向け合わせガラス用中間膜市場の動向
サイドガラス、ルーフガラスなどへの適用部位の拡大や、
遮熱・遮音膜、HUD用くさび膜、カラー膜などの高機能化が成長のカギ
積水化学は2026年度下期の稼働開始を目指し、タイに高機能製品群の新ライン増設を発表
約80億円を投じ、自動車700万台分/年の能力増強を実施
(表) 主要メーカーによるPVB生産拠点一覧
中国系メーカーは安価な通常膜の投入により中国市場を中心にシェア拡大
主要中間膜メーカー3社は高機能膜へのシフトを積極的に推進し、差別化を図る
(表) 自動車向け合わせガラス用中間膜 市場規模推移
(図・表) 自動車向け合わせガラス用中間膜 地域別市場規模(面積ベース)
(図・表) 自動車向け合わせガラス用中間膜 地域別市場規模(重量ベース)
(表) 自動車向け合わせガラス用中間膜 メーカーシェア推移(面積ベース)
(表) 自動車向け合わせガラス用中間膜 メーカーシェア推移(重量ベース)
2022年~2023年の半導体不足による生産調整を背景に自動車OEMは高級車の生産にシフト
高級車の生産比率が高まったことでHUD市場は急速に拡大
(表) HUD用くさび型中間膜 市場規模推移
5. 車載ディスプレイカバーパネル用樹脂シート市場の動向
ガラスカバー化の進展からマーケットは縮小傾向
一方、欧州での引き合い増加やモデルチェンジによるトレンド転換の兆しも
ガラスカバーへの切り替えに伴い、樹脂シート、成形品とも2023年以降は微減で推移
(図・表) 車載ディスプレイカバーパネル 市場規模推移(枚数ベース)
(図) 樹脂カバーパネルにおけるシート・成形品の構成比
(表) 車載ディスプレイカバーパネル 素材別特徴比較
主要メーカーの販売量はガラス化や海外勢の流入により足元では減少傾向も
三菱ガス化学では2026年以降の販売量について前年を上回る見通し
(図) 車載ディスプレイ及びタッチパネル用樹脂カバーにおける製造プロセス別メーカー一覧
(表) 車載ディスプレイカバーパネル用樹脂シート メーカーシェア推移
6. 車載ディスプレイカバーパネル用反射防止フィルム市場の動向
車載ディスプレイの搭載数増加や面積の大型化、
ガラスカバーへの切り替え進展から高成長が継続
オンダッシュ型のCIDやフードレスタイプのMCPなどのトレンドから
AR・AGRフィルムの需要が増加
(表) 車載ディスプレイカバーパネル用反射防止フィルム 市場規模推移
(図・表) 反射防止フィルム 使用率推移
デクセリアルズでは2023年3月に試作や設計が可能な専用ラボ「AS Lab.」を設置
2024年4月には車載向け反射防止フィルム専用ラインの稼働を開始し、需要拡大に対応
(表) 車載ディスプレイカバーパネル用反射防止フィルム メーカーシェア推移
三菱ケミカルでは「モスマイト™」、ジオマテックでは「g.moth®」を展開
第3章 自動車用フィルム・シートメーカーの展望と戦略
NISSHA株式会社
快適性、サステナビリティ、利便性・安全性の追求により、
モビリティ事業での成長戦略を展開
2023年7月、加飾分野の統合ブランドとして「Nissha SurfaceWorks」を制定
2025年度中の稼働開始を目指し、ドイツに外装部品向け新工場を建設
2024年3月、センサーの統合ブランドとして「Nissha SenseEvolve」を制定
樹脂カバーパネル「SmartFacia」は、国内OEMの中高級グレード向けを中心に採用進む
IMEによる「加飾×機能モジュール」を内外装向けに展開
ユーザービリティの向上や利便性・安全性の両立を目指す
三菱ガス化学株式会社
中長期での需要拡大を見据え、開発品・新規グレードの投入を推進
2026年度を目途にMGCフィルシート大阪工場から撤退し、2拠点体制に集約
2026~2027年頃の上市を目途に、熱曲げグレードのサンプルワークを推進
曲げ形状への対応、部品点数削減、軽量化ニーズ等を背景に欧州Tier1等での引き合い増加
2024年2月、アフターキュアグレード「CRF08U」を上市
「DF02PU」では、ランプ周りやフロントグリルのHCの塗装代替向けでの展開を期待
マクダーミッド・パフォーマンス・ソリューションズ・ジャパン株式会社
FIMを応用した新技術IME(In Mold Electronics)の開拓を推進し、
加飾にとどまらないソリューションを提供
「XtraForm™」反射防止(AR)タイプを開発
CID、HUDなどの車載ディスプレイ搭載に伴う反射防止ニーズの増加に対応
独自の品質管理プログラム「XMAPP」を「XtraForm™」のユーザーに提供
2024年8月時点で国内外12社のXMAPP認定パートナーと連携
IMEによる成形品は従来品比で最大80%の軽量化と90%の薄型化を実現
アイカ工業株式会社
加飾フィルムによる塗装代替を推進し、サステナブルなクルマづくりに貢献
タッチパネル分野で多数の実績を持つ高機能フィルム「ルミアート」を自動車向けに展開
2022年6月には、バイオマス原料を使用した自動車内装向け「ルミアート」の販売を開始
2024年後半の本採用を目指し、自動車外装向け加飾フィルムの評価試験を推進
2023年11月に4機関共同で採択されたNEDO事業にて、易解体性付与の開発を目指す
名阪真空工業株式会社
表面処理加工のエキスパートとして、車載製品分野のニーズに応える
機能性シート・フィルムのラインナップによりディスプレイカバーパネルの材料変化に対応
カバーパネルのガラス化や、海外勢の流入により主力のAGシリーズは減少傾向
サンプルワーク中のAG付き熱曲げグレードは2025年~2026年頃の上市を目指す
反射防止フィルムではコストや透明性の観点からARタイプが高く評価
600×1,500mmの大判対応という強みを活かし、ピラーtoピラーなど大型化ニーズを取り込む
東山フイルム株式会社
培ってきたフィルムコーティング技術を活かし、
多様化するフィルムニーズに対応
瑞浪工場内の加工開発棟では、コーティングから後加工までの一貫体制を構築
自社の技術と日油の指紋技術、超低反射技術を融合し、製品のブラッシュアップを推進
CIDのオンダッシュ化やMCPのフードレス化からAR・AGARフィルムの需要が増加
成形加飾フィルムでは、ハードコートの性能向上に注力
DICデコール株式会社
水圧転写でしか出来ない価値の訴求により「アクアトランサ」の展開を推進
DICグループの長期経営計画「DIC Vision 2030」では5つの重点事業領域を公表
2023年10月に住宅材料事業、2024年7月に内装建材塗料事業の譲渡を実施
株式会社千代田グラビヤ
自動車加飾分野を含めた幅広い裾野への展開により、
加飾フィルム事業の成長・拡大を目指す
成長戦略の一環として、ローヤル工業の加飾フィルム印刷事業を譲受
新会社であるローヤルテックにて事業を承継し、2023年1月より営業を開始
布施真空株式会社
革新的な三次元表面加飾工法であるTOM成形は、
塗装代替による環境負荷低減や意匠・機能向上など様々なニーズに対応
2024年1月期の機械製造部門の売上高のうちTOM成形機の比率は70%程度で増加傾向
塗装代替ニーズの高まりやボディとの色合わせが不要なマルチカラー車の増加等を背景に
2026年頃より外装フィルム加飾の本格採用を見込む
TOM成形による防水バリア工法は、EVのバッテリー保護技術としても注目
スリーエムジャパン株式会社
内外装加飾フィルムやブラックアウトフィルムなど
幅広い製品ラインナップにより多様なユーザーニーズに対応
「3M™ インテリア・トリム・フィルム」では、主力の中国市場での展開に注力
リンテック株式会社
ウインドーフィルムの高機能化や国内外での拡販による事業成長を目指す
2026年度までの新中計では、ウインドーフィルムの高機能化と拡販に向けた施策を公表
アジア向けに高遮熱タイプを展開するほか、北米向けに防犯対策フィルムを拡販
国内外で遮熱ニーズの高まりからプレミアムシリーズの比率が増加傾向
2024年8月にはフロントガラスにも貼付可能な高透明タイプの遮熱フィルム「IR-85HD」を上市
積水化学工業株式会社
自動車向け中間膜市場におけるリーディングカンパニーとして、
高機能化や意匠ニーズの実現による多彩なソリューションを提供
2026年下期、タイ拠点で自動車700万台分/年の能力増強を予定
新製膜ラインではHUD用くさび膜を中心とした高機能製品群の生産を計画
安全性、快適性、省エネ性ニーズ等の拡大を背景に、高機能膜へのシフトが進む
HUD用くさび膜では、中計最終年度の2025年度までに2022年度比で130%超の伸長を見込む
株式会社クラレ
ガラス業界の最前線で培った技術力を活かし、
安全性、快適性を実現する革新的な中間膜ソリューションを提供
グローバル6拠点でPVB樹脂の生産・PVBフィルムの製膜を実施
遮音膜、HUD用くさび膜、カラー膜などの伸長により、機能膜の比率が拡大
リサイクルグレード「Butacite® G」は、環境意識の高い欧州向けを中心に展開
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矢野経済研究所では、
個別のクライアント様からの調査も承っております
マーケティングや経営課題の抽出、リサーチの企画設計・実施、調査結果に基づく具体的な戦略立案・実行支援に至るまで、課題解決に向けた全ての段階において、クライアント企業をトータルでサポート致します。
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