「木質住機」市場の動向
~ヤノ・レポート 2018年3月25日号 トピックス~

「木質住機」市場の動向
~省施工やリフォーム、女性目線などの商品開発によりニーズ捉えるビルトインによる家具量販店との差別化が課題~

木質住機は、従来、家具、建具製品や大工職人による現場施工によるものが主流であったが、工場生産によるユニット部材化が進行。ユーザーの高機能化、トータルデザイン志向の高まりとともに、総合建材メーカー製品にシフトしほとんどが建材メーカールートになっている。そのことなどから大手建材メーカーへの集中度が高まっている。また、家具からクローゼットへの嗜好の移り変わりなど、すっきりさを求めるライフスタイルの変化とともに家具市場は減少してきている。阪神淡路大震災において睡眠中にタンスの下敷きになった人が多かったことから、安全・安心の観点からも家具は敬遠されつつあるようだ。
最近では、木質住機などに合板やMDFに植林木や国産材、森林認証材などのエコ化が進行している。2017年5月に施行される合法伐採木材の流通を促進する法律「クリーンウッド法」施行により、調達力のある大手建材メーカーの占有率が高まっている。

木質住機は、年々市場での競争が激化する状況にあり、メーカーにとっては新たな需要や付加価値をいかに見出すかが重要なテーマとなっている。
近年では、女性目線や職人不足に対応した省施工の製品開発、リフォーム市場や高齢者市場、非住宅市場への対応など、新しい市場への対応が期待される。その分野での市場は新築向け市場と比較して現在は少ないものの、新築向け市場が伸び悩む中で補完する市場として、同分野での製品開発とビジネスモデル確立が期待される。引き続き、国内市場では、製品開発力、提案力も含め、物件あたりの自社製品のシェアをどれだけ高めていくかが鍵である。

ヤノ・レポート2018年3月25日号