アイデア発散・収束法

10 TRIZ法 <発散(アイデア発想)法>

発散法の概要

発想法としてはオズボーンのチェックリストに非常に近いものがありますが、これらチェックリストが数多くの特許データの分析から導き出された40のパターン原理に基づいている点に特徴があります
(その下位層に位置する原理では100以上)。

本来、TRIZ法は技術的な課題について、既にある特許技術の発展・進化パターンを水平展開することにより科学的に解決を試みようとする方法論であり、単なるオズボーンのようなシンプルなアイデア発想法とは異なりますが、これら40パターン原理に注目することでシンプルなアイデア発想法として活用することもできます。

本質的なTRIZ法は、技術課題を構造的に特定し、日々積上げられる特許開発情報をひもといて解決パターンを把握、それらを当てはめていくことで課題解決を試みるという流れとなります。
しかし、これら実践には多様な解決アプローチへの理解と膨大な特許データを処理するためのソフトウェアなどの助けも必要となります。

40の原理とは以下の通りです

  1. Segmentation/分割
  2. Extraction/分離
  3. Local Quality/局所性質
  4. Asymmetry/非対称
  5. Combination/組み合わせ
  6. Universality/汎用性
  7. Nesting/入れ子
  8. Counterweight/つりあい
  9. Prior Counteraction/先取り反作用
  10. Prior Action/先取り作用
  11. Cushion in Advance/事前保護
  12. Equipotentiality/等ポテンシャル
  13. Inversion/逆発想
  14. Spheroidality/曲面
  15. Dynamicity/ダイナミック性
  16. Partial, overdone or excessive action/アバウト
  17. Moving to a new dimension/他次元移行
  18. Mechanical vibration/機械的振動
  19. Periodic action/周期的作用
  20. Continuity of useful action/連続性
  1. Rushing through/高速実行
  2. Convert harm into benefit/災い転じて福となす
  3. Feedback/フィードバック
  4. Mediator/仲介
  5. Self-service/セルフサービス
  6. Copying/代替
  7. Inexpensive short life/高価な長寿命より安価な短寿命
  8. Replacement of a mechanical system/機械的システム代替
  9. Use pneumatic or hydraulic systems/流体利用
  10. Flexible film or thin membranes/薄膜利用
  11. Use of porous materials/多孔質利用
  12. Changing the colour/変色利用
  13. Homogeneity/均質性
  14. Rejecting and regenerating parts/排除/再生
  15. Transforming physical or chemical states/パラメータ
  16. Phase transition/相変化
  17. Thermal expansion/熱膨張
  18. Use strong oxidisers/高濃度酸素利用
  19. Inert environment/不活性雰囲気利用
  20. Composite materials /複合材料

このTRIZ法をベースとした智慧カードなるトランプ状のカードも販売されています。
また、このTRIZ法を発展させた発案法としてUSITなる手法もあります。

基本的には具体的な”ある何か”に基づいてパターン原理の視点でアイデアを発想するものであり、特許データに基づいたパターン原理であることから、とりわけ技術アイデアについて適する発想法と言えます。

注)主観的な整理であり、必ずしもこれが正しいというものではありません

活用フォーマット&準備物

活用フォーマット
(サンプル)
ホワイトボード、紙いずれでも良いが、チェックリストが目に入るようなものを準備する
(例えば以下サンプルのようなフォーム/枠組みを用意する)
他の準備物 ホワイトボード、マーカー、筆記用具など
(ブレーンストーミング併用の場合はその準備も必要)

実施の手順

開催準備
  • 2、3名~最大10名程度の参加者を募る
    (ある程度多数の方が意見の多様性が期待できるが、1名でも実施可能)。
  • 場所の確保、準備物等があればそれも準備。
  • (場合によっては)参加者への開催テーマの告知並びに事前検討の依頼なども実施。
事前説明
  • 集まった参加者へ、①開催趣旨、②検討テーマ、③検討方法、④検討ルール、⑤司会・書記等の紹介、について冒頭に説明する。
  • とりわけ③の検討方法については、検討中も常に原理リストを参加者全員が容易に視認できるようにしておく。
  • 加えてパターン原理だけではアイデア発想をし難いので、補足的に問い掛けリストなどを用意しておくと効果的
    (フォーマット参照→フォーマットの内容以外でも原理の本質と一致していれば何でもOK)。
アイデア検討の実行(アイデア・意見の発散)
  • TRIZリスト、すなわちパターン原理に基づいてアイデアを発散する(全リストを使う必要はない)。
  • リストの活用については、無作為に活用しても良いし、1つ1つ順に検討を実施しても良い(最初は無作為に実行、ある程度意見が出尽くした段階で、リストを指定して再度皆で検討するパターンもある)。
  • 開催時間はケースバイケースで特に決まりはないが、一般的な人の集中力から考えると最大2時間程度が妥当なのは同様。
  • 出てきたアイデアはホワイトボード、もしくは付箋にメモ書きして、検討中も皆が見れるようにしておく。
  • メモ書きのポイントは、あとで整理しやすいように、短文、1センテンス、1要素で、端的かつ的確に主旨・意図を記す。
アイデアの整理・評価(アイデア・意見の収束)
  • 基本的にブレストなどとは異なり、フォーカスされた具体的目的のためのアイデア出しであるため、アイデアの整理などは必要なく、出てきたアイデアから注目すべきアイデアを特定するだけで良い。
  • この際、最初からあまりアイデアの統合を図るべきではなく、できる限り個別、詳細、フォーカスされたアイデアであることが望ましい
    (ついつい複数名の意見を取り入れるためにアイデアの統合を行いがちだが、これはアイデアの良さ、すなわち鋭さを削ぐ行為に等しくなり、結果としてありふれたアイデアになりかねない危険がある)。

注)一般的な手順を示したものであり、必ずしもこれに従う必要はありません

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