躍進する中国自動車市場

2011年3月
主席研究員 章 小弘

中国景気刺激策効果の考察

世界同時金融危機が発生した後、中国は率先して内需拡大を柱とした景気刺激策を打ち出した。2年経過してその効果が各領域で検証されている。もっとも注目されているのが中国自動車の生産・販売の効果である。

2009年において中国の自動車の販売台数は1,364万台に到達、1年間で日本の市場規模に匹敵する426万台増となった。2010年もこの勢いが衰えず1,806万台に達した。これはアメリカと日本の合計販売台数を超した規模である。

中国自動車の牽引役は排気量1.6ℓ以下の小型乗用車である。販売台数1,806万台の内訳は商用車が430万台(構成比率23.8%)、乗用車が1,376万台(同76.2%)となっている。乗用車の中、小型車は946万台であり、販売総数の52.4%を占めており、2008年の424万台と比較して倍増となった。

中国では所得、生活水準が向上したことで、自動車への需要が高まりつつある。小型乗用車の販売が急激に拡大した背景は中国政府の景気刺激策と密接な関係があり、同政策が実施された結果とも言える。

図.中国自動車販売台数推移

2009年3月より、排気量1.6ℓ未満の小型乗用車を対象として、自動車購入税の税率を従来の10%から半減して5%まで引き下げた。2010年において1億2,887万元(14円/元、約18億円)もの財政補助金が投入され、同政策が施行されてから22ヶ月間で計2億6,567万元(同、約37億円)に達した。この補助金が効果を奏して、2010年では1,208万台、22ヶ月では1,792万台の小型乗用車の販売が実現できた。中国自動車市場規模はついにアメリカ、日本、ドイツ、イギリス、フランスなど先進国を抜いて、世界のトップに躍り出た。

中国はこれを契機に真の自動車強国を目指し、2010年より自動車産業振興策を制定した。乱立した百数十社の旧国営・国有メーカーを編成し、4大自動車企業集団を集結させようとしている。そして自動車生産技術を吸収するために、この4大集団は海外メーカーの吸収・合併に乗り出した。

研究員紹介

章 小弘(主席研究員)

日本企業の中国進出、中国産品の日本輸入などを目的とするマーケティング調査、コンサルティングに従事。
飲料、食品、住宅設備機器、空調機器、畳、携帯電話、物流機器、流通など幅広い分野で調査・研究を実施。