効果的なアライアンスを実現するために

2014年2月
理事研究員 大仲 均

アライアンスに関する様々な取り組み

以前、私はこの「アナリストeyes」において、M&Aの重要性や日本国内での事業承継の状況について触れた。本稿では、M&Aと同様に企業の成長戦略の一環であるアライアンスについて述べたい。M&Aも、広義にはアライアンス戦略といえるが、ここでは、資本の移動を伴わない、ゆるやかな企業間の事業提携やビジネスマッチングを指している。

当社において私が担当している「ソリューション事業部」は、コンサルティング部門、データバンク部門、そしてアライアンス部門から構成されている。これらの部門が連携をとり、業種や規模に関わらず、企業の課題を明らかにし、成長戦略を描き、実行支援までを行なう。この一連の作業の中で、成長のために補完すべき経営資源が明らかになり、これを満たすべくアライアンス先を探索していく。これが当社のソリューションの一形態であり、特徴となっている。

企業の二―ズをビジネスマッチングのプラットフォーム上に登録し、マッチング対象先を探すという方法も一種のアライアンスではある。また、これに関しては、既に公的機関が提供するものも含め、多くの優れたプラットフォームが存在する。一方、当社の場合、まずは企業の経営者または担当者へのヒアリングを行い、資料ベースでの分析と合わせて検討を行う。非常に手間のかかる作業ではあるが、このステップを踏むことにより、経営者も気付かない部分でのアライアンスニーズが表出化されるケースも多く、外部からの目利きを加えることによって、成約率が高まる。

金融機関においても、ネットワーク力を活かしたビジネスマッチングが盛んである。その中でも、地方銀行が行なっているマッチング業務は、基本的に自行の圏域内で完結させるケースが多い。そこで当社では、地方銀行ごとに行なっているマッチングプラットフォームの間にハブとして介在することにより、圏域を越えたアライアンス業務にも取り組んでいる。まさに、アライアンス事業を拡大するための、当社自らのアライアンスである。

地方銀行の顧客である中小企業については、専門的な技術に関連する研究開発や製造面でのアライアンスも多い。取り組みに積極的な地銀では、業種別の専門家を配置し、専門性の高いアライアンスにも対応できる体制を構築している。

中小企業の活路を開くアライアンス

アライアンスの商談現場は、技術、製品、事業等どの場合でも、作り手側の思いと、それを受ける側の目利き力との真剣勝負である。僭越な言い方ではあるが、その現場に立ち会えることが、現在の私の醍醐味でもある。また、技術や製品は、奇をてらったものではなく、長きにわたり愚直に取り組み続けてきたもののほうが、より光彩を放つと感じている。要は、それにいかに付加価値を高める仕組みをアライアンスで生み出せるかである。

今後のアライアンスの傾向としては、大企業よりも中小企業同士で、より多くの戦略的連携が組まれていくのではないか。長らく続いていた不況や、海外、特に新興諸国の市場拡大を考えると、下請け構造の中で生きてきた中小企業は暗澹とするばかりである。しかし、強みを活かし、経営資源の補完をするという観点でアライアンスを捉えれば、大きな活路が見えるはずである。

アライアンス戦略は、大企業のためだけのものではない。

研究員紹介

大仲 均(理事研究員)

企業の事業戦略立案に関するコンサルティング、M&Aを含む企業間のアライアンス、企業向け研修等を担当。
データバンク事業のマネージメントも行なう。