【クラウドファンディング】インターネット活用の資金収集

2015年4月
主任研究員 土佐 恒広

「クラウド」という名前も、ビジネスシーンでは一般化してきた。CMにも「クラウド」が流れるそんな時代。クラウドコンピューティング、クラウドサービス、クラウドソーシング、クラウドファンディングと、さまざまな「クラウド」が登場している。

しかし、クラウドコンピューティングは「Cloud(雲)」、クラウドソーシングは「Crowd(群衆)」。LとRを区別しない日本語では同じでも、英語表記となると、意味合いは異なる。

クラウドファンディングとは、不特定多数の人が通常インターネット経由で、他の人々や組織に財源の提供や協力などを行うことを意味している。群衆(crowd)と資金調達(funding)を組み合わせた造語であり、「ソーシャルファンディング」とも呼ばれることもある。

インターネット経由というのがポイントで、クラウドファンディングを提供するプラットフォマーの情報をもとに、資金が集められる。

実は、クラウドファンディングは、事業に限らず、防災や市民ジャーナリズム、ファンによるアーティストの支援、政治運動、映画、科学研究、プロジェクトへの貸し付けなど、幅広い分野での資金収集に活用される。

従来、事業での資金調達方法は、自己資金、行政や銀行、個人などの貸し付け、株式上場や法人による出資などが基本だった。

しかし、このクラウドファンディングは、世界中の多くの人から少額で資金を集めることができる。またアイデアベースであっても、評価されれば、ミニマムスタートですばやく新たな事業をスタートさせることが可能である。

日本では「資金決済に関する法律」などによって、クラウドファンディングのような個人間の送金や投資が制限されてきた。

しかし2014年に金融商品取引法が改正され、1人当たり50万円を上限に総額1億円未満の資本調達が可能になった。そのため、今後、日本においても、クラウドファンディンのプラットフォームや資金の活用が拡大し、個人事業主が増えることも期待される。

さて、事業資金の活用という視点で見たときに、多くは事業の主体が株式会社という形態になる。その基本精神は、「資本金における有限責任」である。仮に事業が失敗しても、資本金の中で処理されるものである。

しかし現実的には、事業の失敗(倒産など)は経営者、従業員のプライドを傷つけ、家族、取引先への迷惑など、多くの傷と負の感情を生み出す。

ただし、事業の失敗(=資本金の破たん)の経験は、未来の社会に生かすべきであると考えている。「まじめな失敗(大前提であるが)」こそが、次への成功の元である。

成功事例の通りに実施しても、前提や与件が異なることから、成功するとは限らない。しかし失敗事例は、ほぼ間違いなく失敗できる。

事業に栄枯盛衰はつきものである。まじめな失敗であれば、クラウドファンディングなどを活用して、何度でもチャレンジすることを許す社会と、そのマインドを持ち続けられる個人が多く誕生することを期待する。

株式会社共同通信社「Kyodo Weekly」2015年3月30日号掲載