合同インターンシップの可能性

2017年11月
主任研究員 品川 郁夫

変化してきたインターンシップ、経団連のお墨付きで1Day開催が広がる

昨今、企業団体などの大学生を対象とする新卒採用活動において、インターンシップが担う役割はますます大きくなっている。
元々、大学生(就活生)に企業や職業を知ってもらう機会として、新卒採用現場へインターンシップ導入が広がってきた。しかしながら最近のインターンシップの在り方をみると、その目的は後回し、採用活動の1手段にすぎないような内容も増えつつある。
その象徴ともいえるのが、安易な1Day開催インターンシップの広がりだ。1Day開催インターンシップの拡大は、受け入れ企業や担当者の負担、昨今の採用環境の事情などを踏まえると、ある意味“必然の流れ”と言える。また今般、経団連のお墨付きが出たことで、今後ますます1Day開催は広がっていくだろう。

ただ“必然の流れ”とは言っても、果たしてこれで良いのだろうか?とふと疑問にも思う。あるいは企業の採用活動の1手段として見ても、何やらとても中途半端な印象を受けざるを得ないこともしばしばである。

もちろんこれらは全体的な傾向を指摘したものであり、1Day開催であっても本来あるべきインターンシップを継続しているケースや、インターンシップをより活用、応用している企業も少なくない。
また誤解しないで頂きたいが、就業体験を重視せず、採用活動の1手段とすることそのものがダメということを指摘したいわけでもない。

このような状況下の最大の問題は、千差万別な目的、内容であっても、すべてが“インターンシップ”という名の下、学生にその違いが良く見えていない、あるいは何となく同じ類のものと認識されていることにある。

例えば1Day開催のインターンシップが、前倒しかつ少し時間をかけた企業説明会、もしくはド短期アルバイトのいずれかに相当するような内容であることも少なくない。これでは「その企業の職場の雰囲気や仕事内容をよく知りたい」という学生や、採用活動の一環として身構えて参加してくる学生にとって、肩透かしのようなものとなることは想像に難くない。

様々なインターンシップの登場で主旨別に区分提示する必要性が高まっている

このような点から、これからのインターンシップは、1つ1つその開催の目的や狙いをもっとわかりやすく学生へ伝えていく必要があろうかと考える。

同時に1Day開催における学生メリット、すなわち少しでも多くの企業(仕事)を知る機会の提供と、労力や集客力の問題などからインターンシップ導入が困難な中小企業への対策として、合同インターンシップがもっとメジャーになっても良いのではないかと思う。既に大手企業のグループ内開催や、ローカルでは複数の地元企業が集まっての開催、あるいは支援サービスも一部で行われている。

もちろん合同インターンシップ開催は、集客力向上などのメリットの他、デメリットも存在している。学生に参加企業1社1社のことを良く知ってもらうことの難しさや、企業間同士での特定学生の奪い合いなどである。

ただしこれらについては、それなりに解決していく方法はあるだろう。
まず学生を一堂に集めてワークショップやディスカッション、プレゼンなどのスタイルで何らかの課題を課し、その取り組みから学生を評価する。課題については、同業種開催の場合は、仕事体験ということからも業界・業種ならではの内容とする方が良いだろう。また異業種混合開催ならば、一般的な社会人基礎力に関する内容とすれば良い。
その後、自社の採用活動に参加して欲しい学生へ企業がアプローチ、学生が合意した場合、当日でも後日でも日程調整して自社に招き、そこでじっくり自社を説明、職場環境を見てもらう機会を設けるのである。

合同インターンシップは中小企業の採用環境の改善にも寄与する

いわば学生の資質見極めと、学生に自社のことを知ってもらう機会を完全に切り分けるスタイルであり、これによる思わぬ副産物も期待できる。
学生へアプローチする際の理由として、課題への取り組み姿勢からの具体的な評価を与えることで、学生は自分自身をきちんと評価してもらったと認識できる。結果、例えそれまで全く知らなかった企業であっても、それなりに温度感を持って企業と向き合うことが可能となる。これは、とりわけ知名度、集客力の低い企業にとって、様々な媒体から様々な採用情報を発信するよりも強力なPR手段となるだろう。

学生の奪い合いという意味では、本来、良い人材を奪い合っている採用環境は何ら変わりないため、本質的な実害が増すはずもなく、これへの理解を示すかどうかだけの問題である。

このような形で中小企業などを中心に、もっと合同インターンシップの開催が広がれば、採用環境、就活環境が現状よりも少しは良くなっていくのではないかと考える。