もんじゅ、廃炉。長い夢は終わった。


発電しながら燃料を生み出す、夢の原子炉「もんじゅ」の廃炉が決まった。1994年の初臨界から22年、相次ぐトラブルのため稼動日数はわずか200日、毎年200億円以上の維持費が投下され、再開には少なくとも8年の準備期間と5400億円の追加費用が必要とされる。一方、運営者である日本原子力研究開発機構はその杜撰な安全管理体制をもって原子力規制委員会から「運営者として不適切」との烙印を押されたままである。
こうした経緯と状況を鑑みると総額1兆円を越える国費を投入してきた「もんじゅ」の夢はとうの昔に潰えていたと言える。

廃炉には今後4000億円近くの費用が必要となる。しかし、事故処理に20兆円もの費用がかかる福島の現実を突きつけられた国民にとって、それはむしろ合理的な判断と映るだろう。国際的なウランの需給見通し、次世代エネルギーの成長可能性といった点からも「もんじゅ」に対する追加投資の大義は見つけにくい。

原子力技術を引き継ぎ、高度な研究体制を維持することに異論はない。再稼動の賛否を越えて私たちはその社会的コストを引き受ける責任がある。とは言え、日本の原子力政策が重大な岐路にあることは間違いない。従来路線のまま「高速炉の開発は維持する」(政府)では、夢から覚めることはできない。今、私たちは未完の巨大技術に対する夢を捨て、原子力の新たな可能性とエネルギーの新たな未来を構想すべき時にある。

今週の”ひらめき”視点 12.18 – 12.22

代表取締役社長 水越 孝

 

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