未来投資戦略、“サンドボックス制度”の成否は運用力に


30日、政府は未来投資会議を開催、「未来投資戦略2017」の原案を発表した。AIやITなど高度先端技術の実用化を目指し、「移動革命、健康寿命、サプライチェーン、インフラ・まちづくり、フィンテック」の5分野を戦略テーマに設定した。トラックの隊列走行の商業化、無人自動走行の実現、都市部でのドローンによる配達サービス、医療・介護データの一元管理、介護ロボットの導入促進、、、などを通じて、次世代スマート社会「ソサイティ5.0」の実現を目指す。

最大の目玉は、“サンドボックス(砂場)制度”の創設だ。これは企業サイドからの創造的な事業提案に対して関係機関が関連法令を一時的に凍結し、事業の実証実験を行う制度である。特定の地域ではなく特定の事業のみを対象とするという意味で“プロジェクト型特区”とも言えよう。
社会に深く根付いた既得権を前に規制改革は遅々として進まない。こうした状況にあって、柔軟さとスピードという点からもプロジェクト単位での「特区指定」は有効であろう。

一方、課題は“運用”にある。事業選定における透明性と公平性をどう担保するのか。個別事業の創造性、成長性、産業や社会への波及効果、そして、成果を誰がどのような基準にもとづき判断するのか。ここに不安や懸念が残るようでは特区の公益性は揺らぐ。少なくとも最高レベルの説明責任と最低限の品性を有する人物たちに判断を託したい。

今週の”ひらめき”視点 05.28 – 06.01

代表取締役社長 水越 孝

 

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