ジャパンディスプレイ、革新機構が主導した成長戦略、再び白紙に


7日、ジャパンディスプレイ(JDI)は有機ELディスプレイの開発を手掛けるJOLEDの子会社化を再延期すると発表した。
JDIは今回の決定について「有機ELの事業化見通しの遅れ」と説明しているが、2017年3月決算が最終赤字となり、また、第1四半期も営業赤字が避けられない中、再び資金繰りが逼迫していることが要因であると推察される。
そもそもJOLEDの子会社化それ自体が「資金繰りに窮したJDIに対する産業革新機構からの資金支援の大義名分」との批判もあった。そうした中、昨年末に実行された750億円もの“成長への投資”は、結果的にその正当性を失いつつある。

JDI、JOLEDはともに革新機構が筆頭株主となっている国策会社である。当初の成り立ちから両社の統合案も含めて、もはや“オールジャパン”というエクスキューズ以上の合理性はなかったと言って過言ではあるまい。背景にはスマホ向け液晶パネルの需要構造変化がある。しかし、主力事業の見通しはあまりに甘かったと言える。否、予測精度の問題ではない。単に自分たちのストーリーにとって“都合の良い”見通しではなかったか。
今、JDIに必要なものは机上で描かれた“きれいな”戦略ではない。まさに事業の当事者として、生きた市場と正面から向き合う覚悟である。その意味において、真に問われているのは国策ファンドの在り方そのものであると言える。

今週の”ひらめき”視点 06.04 – 06.08

代表取締役社長 水越 孝

 

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