EU離脱、英国は受身の交渉を余儀なくされる!?


21日、英議会が開幕。エリザベス女王はメイ首相が起草した施政方針を読み上げた。EU単一市場からの撤退、移民制限に関する数値目標など、メイ首相が主張してきたHARD BREXIT路線は事実上封印され、EUからの離脱を再確認するだけの具体的を欠いた演説となった。政権基盤の強化を狙って前倒しで実施した総選挙に敗れたメイ氏は、実質的に議会そして保守党におけるリーダーシップを失った。
今、英国は、強硬路線から穏健路線へと向かいつつある。しかし、「穏健」の中身は未だ見えて来ない。

一方のEUの側は、欧州統合の維持を掲げて大統領に就任したマクロン氏率いる新党が仏議会選挙も制した。揺らぎかけたEUの理想はメルケル氏とマクロン氏のもとで改革と再強化へ向かう。マクロン氏が公約したユーロ圏の共同財務相や共通予算の創設は異論も多く、実現は容易ではないだろう。とは言え、少なくとも極端な反移民や自国第一主義に偏ったポピュリズムの流れを押し返し、欧州の政治的な混乱を回避したことの意味は大きい。

英国とEUとの交渉期間は残すところ1年9ヶ月、英国は「最良の条件」を目指すというが交渉方針は定まらない。結果、イニシアティブはEU側に移った。強硬あるいは穏健という言葉は英国視点で語られる表現である。今、それを左右するのはEUの側の改革の方向性とユーロ圏にとっての英国の政治的、経済的な戦略的価値である。

今週の”ひらめき”視点 06.18 – 06.22

代表取締役社長 水越 孝

 

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