優遇関税対象国、拡大へ。“攻め”の対策にこそ資金と知恵を!


財務省は途上国からの特恵関税を先進国や新興国に拡大する方針を固めた。対象は600品目、これにより輸入ルートの多様化が可能となる。関税率が一律になることで中国などからの輸入が欧州や米国などに切り替わる可能性もある。
2019年春、中国、ブラジル、マレーシアなど5カ国に適用してきた特恵関税が撤廃される。特恵関税の対象品目のほとんどはこれら5カ国からの輸入であり、したがって、優遇関税対象国をあらためて拡大することで市場環境の急激な変化を避けることが狙いである。とは言え、今回の決定は自由貿易の基盤強化につながるものであり、健全な競争は消費者利益にも適う。

一方、優遇関税の拡大により国内産業、国内生産者が損害を被らないよう品目選定について適切な配慮がなされるという。7月5日、難産の末ようやく合意にこぎつけた日欧EPAであるが、こちらも早速、国内向けの「対策」が具体化しつつある。2017年度補正予算や2018年度予算を見据えて、農家やメーカーへの助成金、所得補てんなどの支援策が議論の遡上に上る。また、2016年2月、12カ国によって署名されたTPPでは6500億円の対策費が計上された。トランプ政権によって米国の離脱が決まった今、米国産農畜産品の市場流入に対する懸念は遠のいたはずだ。しかし、補助金は既に執行段階にあるという。
自由貿易=国内産業の敗退、ではない。国内産業向けに国が取り組むべきは、“戦うための後方支援”であり、世界と戦うための対等な条件整備である。そうあってはじめて国内産業の健全な成長が可能となる。

今週の”ひらめき”視点 07.23 – 07.27

代表取締役社長 水越 孝

 

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