剥き出しのエゴが交差する東アジア、落としどころは見出せるか


4日、BRICS5カ国にタイ、メキシコなどオブザーバー国を加えたBRICSプラスの新興国首脳会議は「保護主義反対」のメッセージをアモイ宣言として採択した。
ホスト役である習氏は「開放的な自由貿易の実現」「世界的な価値連鎖の創造」を演説で表明、対中国への通商法301条の適用やNAFTAの見直しを掲げるトランプ政権を念頭に“自由貿易陣営の盟主”としてのプレゼンスをアピールした。
一方、2日、米国ではトランプ政権が米韓FTAの破棄を検討しているとのニュースが流れ、5日には不法移民の子どもたちを対象とした強制送還免除制度を撤廃することが発表された。トランプ氏率いる米国は国内における分断と亀裂を抱えたまま、ますます世界から引き篭もってゆくようだ。

アモイ宣言が採択された同日、北朝鮮の核実験を受けて緊急召集された国連安保理で、米国は日本とともに北朝鮮に対する“最強制裁”を主張した。
石油の禁輸が完全に実行されれば北朝鮮への打撃は小さくない。とは言え、それをもって彼らが“先軍路線”を転じるとは考えにくい。国境を接する中露韓にとって“暴発”に伴うリスクは米国の比ではない。そして、日本もまたこれらの国々と同様に既に彼らの射程圏内にある。“国際社会と連携して”を繰り返すだけでは何も解決しないし、そもそも国際社会などという実体はどこにもない。
暴発を確実に防止すること、そのためには関係国それぞれの立場と国益の“リバランス”が必須である。ただひたすらに“自分ファースト”ではイニシアティブはとれないし、仲介者にすらなり得ない。建前がぶつかり合う国連の議場は期待できない。6-7日、ウラジオストクでの東方経済フォーラム、水面下で新たな流れを作れるか、外交力が問われる。

今週の”ひらめき”視点 09.03 – 09.07

代表取締役社長 水越 孝

 

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