“インバウンド”は内需から独立した特需ではない。発想を転換し、長期的視点から戦略の再構築を


2017年の訪日外国人数は9月中にも2千万人を突破する見通しとなった。昨年より1ヶ月以上早い大台到達は、その勢いが一向に衰えていないことの証左である。
“ビジットジャパン・キャンペーン”がスタートしたのが2003年、観光立国推進戦略会議が2020年の目標を「2千万人に設定すべき」と提言したのが2009年、2013年には暦年で1千万人を越え、2016年3月には2020年時点での目標値を4千万人に引き上げた。
政策目標の達成がこれほど前倒しで実現された事例は近年では稀有である。中国を筆頭としたアジア新興国の急速な経済成長が背景にあるとは言え、観光対象としての日本の潜在能力の大きさとインバウンド関連業界の対応力の高さは特筆されて然るべきである。

一方、爆買いに潤い、振り回された受け入れサイドの高揚と戸惑いの時期は終わった。訪日外国人による消費は既に成熟化しつつあり、一過性の特需ではなく“内需の一形態”と捉えるべきである。
外国語、Halal、Wi-Fi、、、訪日観光客が共通して指摘する問題への対応は必須である。しかし、もはや“外国人のため”という発想そのものから脱する必要があるのではないか。
例えば、世界標準となりつつあるシェアリング・サービスが“既得権”によって画一的に封じられている現状は日本人にとっての不利益でもある。国内で生活する者、消費する者にとっての不便や不合理を解消すること、個々のニーズにきめ細く対応すること、ここに“おもてなし”の原点がある。国籍、文化、信仰、、、これらもまた多様なライフスタイル、成熟した消費行動の一側面にすぎない、ということだ。

今週の”ひらめき”視点 09.17 – 09.21

代表取締役社長 水越 孝

 

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