スカパーJSATとソニー、IoT、AI時代における2社の可能性


スカパーJSATは出資先の米ベンチャー「カメイタ」が開発した平面アンテナを搭載した自動車の走行中の大容量通信に成功した。当面は災害時における緊急車両等の非常用通信設備として市場開拓をはかるとするが、安定した衛星通信を可能にする技術は自動運転支援や“コネクテッドカー”関連サービスの中核デバイスとして期待される。
また、ソニーは2006年に打ち切られたAIBOの後継ロボットを発売することを発表した。得意の機械工学とAIを組み合わせることで「ペット」としてのリアリティを高めるとともにグーグル、アマゾンが先行するAIスピーカー機能も搭載する。

ソニーはロボット市場への再参入に際し、独自に開発した基本ソフトを外部開発者に公開する。ロボットOSの標準化を狙う戦略は技術の適用範囲の拡大と市場の内発的成長を促すという意味において正しい。ロボット技術のインフラ化はソニーに新たな可能性をもたらすはずだ。
一方、カメイタの技術を活用したスカパーJSATのサービスも来年度から本格運用される日本独自の測位インフラ“準天頂衛星システム”の可能性を拡大させるという意味において重要である。
特定技術のインフラ化とインフラの利用可能性を広げる技術への取り組みは、「自前の技術による特定製品市場の占有」を目指してきた従来型メーカーの発想とは異なる。歓迎したい。しかし、これだけでは特定プロダクト市場と単体デバイスにおける競争優位にとどまる。AI時代の成功条件は“ビッグデータ”の質と量とにある。ロボットや衛星サービスからは大量の情報を収集出来るはずだ。2社の本当のビジネスチャンスはここにある。

今週の”ひらめき”視点 10.08 – 10.12

代表取締役社長 水越 孝

 

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