給与所得控除見直し、森林環境税、出国税、たばこ増税、、、選挙後にやってきた新たな国民負担


2018年度税制改正の概要がみえてきた。公的年金控除と給与所得控除の見直しを骨子とする政府原案は「高額所得者に対して手厚い現行制度の見直しと多様化する働き方への対応が狙い」という。
年金収入だけで1千万円を越える、あるいは、年金収入以外の高額所得に対する控除の縮小は妥当だろう。そもそも対象となるのは年金受給者の上位0.5%の富裕高齢者である。一方、給与所得における高額所得の基準を年収800万円においた所得控除縮小のインパクトは小さくない。

平成27年分の民間給与実態統計調査(国税庁)によると年収800万円以上の給与所得者は426万人、全体の8.9%が対象となる。確かに平均値が420万円であることを鑑みると800万円は“高額”と言えなくもない。とは言え、最前線で活躍する現役ビジネスパーソンの“成果”を剥ぎ取るような増税は、何よりも社会全体から「真面目に努力する」ことへのモチベーションを低下させかねない。子育て世代には配慮するというが、「高所得」ゆえに既に様々な公的支援の対象外となっている彼らが感じる不公平感は大きい。

公正さという視点に立てば、給与外の高額所得者による5兆円を越える“合法的”な租税回避や毎年新規に発生する6千億円を越える滞納にも本気で切り込む必要があるだろう。9月末、突然の衆院解散の名目は「増税される2%の消費税の使い道の変更」であったはずだ。使途の変更を国民に問うのであれば、徴税制度の変更をこそ国民に問うべきである。

今週の”ひらめき”視点 11.26 – 11.30

代表取締役社長 水越 孝

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