ユニクロ、アフリカへ。足下の確かな成長戦略とやがて訪れる限界


ファーストリテイリング傘下のユニクロは「2018年度中にエチオピアで生産を開始、欧米向けの輸出拠点とする」との方針を発表した。エチオピアはアフリカの中でも賃金水準が低く、地理的に欧州に近く、また、米国向けには関税がかからないことが進出の理由。
2016年、エチオピアは製造業を軸とした経済政策「成長と構造改革プラン2016-2020」(GTPⅡ)を策定、繊維産業はその優先業種に位置づけられる。ユニクロのライバルH&Mも既に現地で生産を開始しており、また、中国の繊維関連企業の進出も相次いでいる。その意味で産業基盤は整備されており、進出拠点として適切な経営判断であったと言える。

労働集約型の繊維産業は、それゆえに誰よりも早く、より人件費が安い地域へ移転してゆく。ユニクロもまた中国、ベトナム、インドネシア、バングラデシュ、、、と新たな低賃金国を開拓してきた。そして、“最後のフロンティア”、アフリカに到達した。つまり、いよいよその終着駅が近づいてきたということであり、言い換えれば旧来型ファストファッションビジネスの限界が見えてきたと言うことだ。

26日、衣料品ECサイト「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイは年内に予定していたプライベートブランドの発売を見送ると発表した。無料配布中の採寸ボディスーツの生産が間に合わないことが要因である。当面は試行錯誤が続くのであろう。しかし、サプライチェーンの質的な構造変化を伴うイノベーションへの挑戦は、例え規模の次元が異なるとしても、常に新たな最貧国を求め続けるビジネスモデルよりエキサイティングであり、可能性は大きい。

今週の”ひらめき”視点 12.24 – 12.28

代表取締役社長 水越 孝

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