中間層の月額基本給、前年割れ。成長の恩恵はどこに?


厚労省は28日、2017年の「賃金構造基本統計調査」を発表した。男性の月額賃金は335.5千円(43.3歳、勤続年数13.5年)、女性が同246.1千円(41.1歳、同9.4年)となった。
雇用形態別の前年比は男性が正社員で▲0.2%、正社員以外が▲0.4%、一方、女性は正社員、正社員以外ともに+0.6%、企業規模別では大企業が▲0.4%、中企業は▲0.6%、小企業が+0.9%となった。また、35歳以上の男性は正社員・正社員以外のいずれもほぼすべての年齢層※で前年を下回った。
※60-64歳の正社員のみ前年比プラス(+2.1%)

人手不足が深刻化する中、若者、女性、従業員99人未満の小企業など、賃金がそもそも低い層に対してささやかな待遇改善が行われる一方で、中堅企業や大企業が中高年男性の賃金抑制をはかっている構図が浮かんでくる。
こうした状況は所謂「トリクルダウン効果」が目指した好循環とはまったく異なる様相を呈していると言え、3%の賃上げという政治の掛け声が空しい。
2017年の家計消費支出(二人以上の世帯)は4年連続で実質減少となった。年金保険料のアップなど給与所得者の可処分所得が押さえつけられる中、消費税率の引き上げ、更には高額給与所得者に対する増税が控える。“分厚い中流層”の再生は更に遠のく。

今週の”ひらめき”視点 2.25 – 3.1

代表取締役社長 水越 孝

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