政府、外国人労働力の拡大を「骨太方針」に。“共生”に向けての社会的コンセンサスは十分か


政府は外国人就労者の拡大に向けた新制度を「骨太方針2018」に盛り込む。外国人の一般労働者を受け入れる大義を「新興国の技能取得支援」から「国内の労働力不足の補完」へ実質的に転換する。
新制度の名称は“特定技能(仮称)”、5年間の技能実習を終えた就労者が業界団体等による技能試験に合格すれば更に最大5年間の就労が認められる。
具体的な数値目標も発表された。介護が毎年1万人、農業は2023年に現在の3.8倍10万3千人、建設は2025年で現在の5.5倍30万人以上、造船は2025年までに2万1千人、宿泊は現在の2.2倍2万1千人、留学生の就労についても規制緩和や手続きの簡素化が検討されているという。

しかし、4月12日付けの本稿でも指摘したとおり新制度の本質は依然“技能実習”のままである。家族の帯同は認められず、また、永住取得条件は直ちに満たされない。
OECDの外国人移住者統計によると2015年の日本への外国人流入者(ビザを保有し90日以上在留)は前年比5万5千人増の39万人、日本はOECD加盟35カ国中、独、米、英に次ぐ第4位の「流入大国」であり、実際、国内で就労する外国人は128万人に達する(2017年10月、厚生労働省)。
もはや、労働移民を認めないという“建前”の維持は困難であり、建前と現実とのギャップは無用な社会的トラブルの誘引となりかねない。在留外国人を社会に組み入れるためのソフト、ハード両面における体系的な準備を急ぐべきであり、一方で「日本の未来」に関するビジョンはきちんと描けているのか、もう一度問い直す必要がある。

今週の”ひらめき”視点 5.27 – 5.31

代表取締役社長 水越 孝

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