就活協定の廃止は、学生、企業双方にとって現実的であり、フェアである


経団連の中西宏明会長が新卒採用の解禁時期に関する経団連指針を「廃止すべき」との考えを表明し、波紋を呼んでいる。
指針は会員企業向けに提示する言わば内輪の紳士協定であり、外資や非会員はルールに拘束されない。また、身内のルール破りが横行していることは周知の事実であり、今年は面接解禁日の6月1日時点で7割もの学生が内定を得ているとのデータもある。実態に向き合えば廃止は必然とも言える。

一方、“協定”としての実効性が希薄化しているとは言え、指針は学生や大学にとって実質的な“タイムライン”として機能してきた。それだけに、ルールがまったく無くなることへの不安も大きく、“青田買いの熾烈化”や“学業への影響”を懸念する声もあがる。頻繁な変更や会員の不正すら防げないルールの在り方に対する不満もあるのだろう。唐突な廃止提案への大学側の反発は小さくない。

とは言え、形骸化したルールの廃止は、学業への影響や学生の負担をむしろ軽減するのではないか。確かに、就職を希望する学生全員が一定期間学業を離れ、それが更に長期化するのであれば問題は大きい。しかし、そもそも同一のタイミングで一斉にスタートするがゆえに、企業は“序列化”され、上から下へ向けての内定獲得競争となる。“抜け駆け”が発生する原因もここにある。
経団連指針は、「経団連企業が序列の最上位にある」ことへの暗黙の了解があってはじめて機能する。つまり、指針の形骸化はそれがもはや“内側”から崩れつつあることの証左であり、言い換えれば今回の会長声明は経団連自身がようやくその事実を受け止めたということかもしれない。

採用プロセスの事前開示とその誠実な履行を前提とするならば企業は自由に選考時期や選考方法を学生に問えばよい。学生の側もまた自分自身の価値観で企業を選択すればよい。従来型ポテンシャル採用を選んでもいいし、欧米型のスキル採用に挑戦しても良いだろう。企業も学生も、相手を選ぶ時期や基準が一律である必要などどこにもない。

今週の”ひらめき”視点 9.2 – 9.6

代表取締役社長 水越 孝

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