プレスリリース
No.1967
2018/09/05
48Vマイルドハイブリッドシステム世界市場に関する調査を実施(2018年)

拡大するか48V、欧州が仕掛ける足元での電動化技術

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、48Vマイルドハイブリッドシステム世界市場の調査を実施し、構成システム別(ISG、インバータ、DC-DCコンバータ、48V用バッテリ)の動向および電動車戦略を推し進める主要企業の動向、それらを踏まえた世界市場の将来展望を明らかにした。

世界の48Vシステム搭載車数の推移予測
世界の48Vシステム搭載車数の推移予測

1.市場概況

環境規制の厳格化による次世代自動車(HEV;ハイブリッド車、PHEV;プラグインハイブリッド車、EV;電気自動車、FCV;燃料電池車)への移行により、内燃機関車は漸減していくことが予想されるものの、高コストな車両価格や限定的な航続距離、給電スポットなどインフラ整備の課題などから次世代自動車が一気に市場を占有するとは考えにくい。その解決策の1つとして内燃機関車から最小限の設計変更で実現できるハイブリッド化として48V電源システム(以下、48Vシステム)が注目を集めている。

一方で、48Vシステムは普及の初期段階であり、資本回収の観点から利益率の高い高級車やSUVなどを中心に搭載されていることから、2017年の世界市場規模は新車販売台数ベースでは僅か5万台規模に留まる。しかし、PHEVやEVが普及するまでは48Vシステムが安価なハイブリッドシステムとして拡大する可能性があり、既に欧州をはじめ中国の自動車メーカー数社から48Vシステム搭載車の投入が開始されている。

2.注目トピック

ハイブリッドシステム開発における新たな競争

自動車に車載バッテリが搭載され始めた1920年代当時は、車載電源の用途はヘッドライトやウインカー、エンジン始動用の点火程度であったため、バッテリの電圧は6Vであった。その後、1950年代になるとオルタネータやカーラジオなどの電装品が搭載されるようになり、より高圧化された12Vへの移行が始まった。これ以降、現在に至るまで乗用車の電圧は12Vが定着している。しかし、1950年代当時と現在では電装機器の搭載は大幅に増加し、安全性や利便性といった機能向上を企図した多数のシステムが追加されており、それに伴って車両全体の電力消費量も増大している。

​2011年にドイツの自動車メーカー5社(VW、Porsche、Audi、Daimler、BMW)が業界標準規格「LV148」における共通仕様を決定すると、2013年にはドイツ自動車工業会(VDA)が使用する電圧の領域や電力システムの故障時などの対応を定めた品質管理規格「VDA320」を策定し、サプライヤーが自動車メーカーに対して48Vマイルドハイブリッド(48V M-HEV)システムを供給できるよう迅速に環境整備を進めていった。標準規格を設けることにより回路構成などを自動車メーカー各社で共通化して効率的にシステムの開発を行えるこの体制は、ドイツ自動車産業界が一丸となって48V M-HEVの普及を目指す構図となっている。48Vシステムの普及拡大が世界的に進めば、これまで日系メーカーが製品化と量産化で先行していた二次電池、駆動モータ、制御系などのハイブリッドシステム分野において競合する可能性もある。日系自動車メーカーが時間をかけて実績を積み上げてきたストロングハイブリッドか、ドイツ勢が一丸となって取り組む低コストの48V M-HEVか、ハイブリッドシステム開発における新たな競争がはじまっている。

3.将来展望

2020年の48Vシステム世界市場規模は新車販売台数ベースで、200万台を予測する。従来、2020年時点で大幅な搭載台数が期待されていたが、2017年の普及状況や各種の成長要因を加味したとしても、普及の初期段階から数年では達成困難と考える。
一方で、PHEVやEVが本格的に普及を開始する2025年頃までは、量産化によるコスト低減と搭載車種の拡大で急速に増加するとみられ、2025年に920万台まで市場が拡大すると予測する。2025年以降は燃費改善が重視される市場においてPHEVやEVが優先されるとみられることから、48Vシステム世界市場はいずれ縮小基調になるものと考える。



一方、市況は次世代自動車の普及状況とも密接に連動するほか、なかでもZEV(Zero Emission Vehicle)の普及、各国の環境規制の動向などによっても変動するため地域差は大きいと考える。48Vシステムはいずれ市場が縮小していくことに変わりはないが、システムコスト低減や今後の市販化によるユーザーの反応、燃費規制や各国の普及のための施策(インセンティブ等)の動向などによっては、アイドルストップシステムに代替するシステムとして、2030年においても、市場拡大を続けている可能性もある。こうした影響を考慮し、2030年の48Vシステムの世界市場規模は1,530万台を予測する。

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Aパターン
  • セグメント別の動向
  •  12V/48V ISG
     インバータ
     DC-DCコンバータ
     48V用バッテリ
  • 注目トピックの追加情報
  •  48Vシステムの普及をねらう欧州勢の打算
     ISG搭載位置によって燃費改善率が変わる
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    調査要綱

    1.調査期間: 2018年4月~7月
    2.調査対象: 自動車メーカー、自動車システムメーカー等
    3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談、電話・e-mailによるヒアリング、ならびに文献調査併用

    <48V電源システムとは>

    自動車の電源は、ヘッドライトやウィンカー、オーディオなど自動車で使用される電装品を稼動させるために用いられる。乗用車の場合、その電圧は12Vが使用されている。


    48V電源システムとは、従来の12Vから高電圧化させて48Vを用いた電源電圧となり、モータ/ジェネレータ(ISG)、48V 用バッテリ、DC-DCコンバータで構成されている。本調査における48V電源システムとは「48Vマイルドハイブリッド(48V M-HEV)」として自動車メーカーが開発している車種およびその構成部品を対象とする。

    <市場に含まれる商品・サービス>

    12V/48V向けISG、インバータ、コンバータ、48V向けバッテリ、電動過給機、電動アクティブスタビライザ、電動ウォーターポンプ、触媒コンバータ

    出典資料について

    資料名
    発刊日
    2018年8月9日
    体裁
    A4判 181頁
    価格(税込)
    143,000円 (本体価格 130,000円)

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    マーケティング本部 広報チーム
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