プレスリリース
No.2310
2019/12/25

多くの電池種で実用化時期が前倒しに、対リチウムイオン電池(LiB)への台頭が始まる
~2018年の次世代電池世界市場規模は636億円に~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、2018年から2030年にかけての次世代電池世界市場を調査し、種類別の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。

次世代電池世界市場規模と予測
次世代電池世界市場規模と予測

1.市場概況

次世代電池の中には既に市場導入が進み、注目されている種類もあるが、リチウムイオン電池(LiB)に対する後継(ポストLiB)は、2020年以降本格化するものがほとんどである。

​2018年の次世代電池世界市場規模はメーカー出荷額ベースで、636億円であった。このうち、特に注目されるのが高容量全固体LiBで、フランスの輸送・物流系大手による次世代電動車の駆動用電源としての実用化事例が先行している。このほか、金属空気電池やレドックスフロー電池、小型全固体LiB・薄形電池、ナトリウム二次電池でも市場形成が始まっている。

2.注目トピック

新型の高機能LiB・新構造LiBを製品化する動きが顕在化

国内では新原理電池や新型の高機能LiBや新構造LiBを製品化する動きが顕在化し始めており、LiB系電池を含めれば既にそれらの新型電池の市場は創出されている。
また、新原理電池ではリチウム空気電池の理論値を超える超高エネルギー密度・超大容量型の電池が2020年代前半に製品化される見通しのほか、急速充放電機能と高度な耐久性を併せ持つ二次電池材料も2021~2022年頃から商用化される可能性がある。さらに、独自の高性能水系飽和電解液キャパシタのエネルギー回生用途への展開や、グラフェン・スーパーキャパシタの製品化なども見込まれるため、2030年には新原理電池だけで一定規模に拡大するものと考える。

3.将来展望

2030年の次世代電池世界市場規模は、2018年比で20倍以上となる1兆4,940億円(メーカー出荷額ベース)を予測する。

​種類別でみると、トップは高容量全固体LiBで5,687億円を予測する。2020年代後半から硫化物系とSPE系が牽引役になり、急成長が始まることが想定される。これに次ぐのは有機二次電池で、開発型ベンチャー企業による実用化が進む見通しである。

レドックスフロー電池は、大型定置型蓄電池として特に再生可能エネルギー発電との系統連系に適していることから、これが普及の鍵を握るものとみる。近年、特に海外企業の取り組みが多く、大型プロジェクトが進められていることから、2030年のレドックスフロー電池世界市場規模は3,253億円(メーカー出荷額ベース)を予測する。

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【ショートレポートに掲載されているオリジナル情報】
  • セグメント別の動向
  •  小型全固体LIBは今後、薄形一次電池の伸びを上回る見通し
     高容量全固体LIBは2020~2021年以降、欧米でSPE系の実用化が予想される
     有機二次電池は遅くても2~3年内に初期製品が登場
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    調査要綱

    1.調査期間: 2018年10月~2019年9月
    2.調査対象: 次世代電池関連企業、大学、研究機関等
    3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談、電話・e-mail等によるヒアリングおよび文献調査併用

    <次世代電池世界市場とは>

    本調査における次世代電池とは次の9種類の電池を対象とし、具体的には①小型全固体LiB・薄形電池、②高容量全固体LiB、③ナトリウム二次電池、④レドックスフロー電池、⑤金属空気電池、⑥有機二次電池、⑦多価イオン電池、⑧Li-S電池、⑨新原理・新型電池である。なお、各種類呼称は現在、当該業界内において使用されている呼称を考慮しながら、最終的には矢野経済研究所で設定したものである。また、本調査における世界市場規模(出荷額ベース)は1米ドル=110円の換算で算出している。

    本調査における次世代電池9種類の詳細は以下参照
    ①小型全固体LiB・薄形電池;可燃性の電解液を使わず安全性が高い小型二次電池と革新的な薄形一次電池で、主に高機能カードやセンサー端末に搭載される。
    ②高容量全固体LiB;可燃性の電解液を使わず安全性の高い高容量の二次電池で、固体電解質の材料粒子を使って成型するバルク型で、硫化物その他の材料粒子が使われる。主に車載用や定置用蓄電池として搭載される。
    ③ナトリウム二次電池;ナトリウムイオンを伝導種とする二次電池で、NAS電池(ナトリウム・硫黄電池)やナトリウム・塩化ニッケル電池が実用化で先行している。中型から大型の定置型蓄電池分野が適しているとされる。
    ④レドックスフロー電池;一般的な二次電池とは違うフロー型の電池で、活物質を含んだ電解液をポンプで循環させて電解液に蓄電する。大型定置型蓄電池として特に再生可能エネルギー発電との系統連系に適している。
    ⑤金属空気電池;リチウムやアルミ、マグネシウム、その他の金属を活物質として使う負極と外部の空気中酸素を取り込んで活物質として使う正極を組み合わせたもので、一次電池と二次電池がある。ボタン電池から定置用蓄電池まで既存電池の幅広い用途への適用を目指している。
    ⑥有機二次電池;リチウムイオン電池(LiB)の正極に使われるコバルト酸リチウムなどの金属酸化物系の活物質を有機物に置き換えたもの。LiBだけでなくキャパシター用途の置き換えも目指している。
    ⑦多価イオン電池;イオン1個当り1個の電子を運ぶLiBに比べ、2~3個の電子を動かせるマグネシウムやカルシウムなどの多価イオンを用いた電池である。先行するラミネート型ではIoTセンサーなどの小型アプリケーション用途を想定している。
    ⑧Li-S電池;単体硫黄をはじめ、有機系や無機系の硫黄系活物質を使う正極とリチウム金属などの高容量負極を組み合わせた二次電池である。電気自動車(EV)などの車載用や定置型大容量電池に適している。
    ​⑨新原理・新型電池;既存の二次電池とは蓄電原理が異なる電池と、既存の電池に特長的な改良(高機能、新機能、新構造)を加えた電池である。LiBの置き換えが主体で、電動アシスト自転車などの電動モビリティ機器から市場化が始まる見込みである。

    <市場に含まれる商品・サービス>

    電池本体;小型全固体LiB・薄形電池、高容量全固体LiB、ナトリウム二次電池、レドックスフロー電池、金属空気電池、有機二次電池、多価イオン電池、Li-S電池、新原理・新型電池

    出典資料について

    資料名
    発刊日
    2019年10月30日
    体裁
    A4 303ページ
    定価
    150,000円(税別)

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    マーケティング本部 広報チーム
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