プレスリリース
No.2387
2020/03/12

2025年の次世代モビリティ(電動トライク、電動ミニカー、超小型モビリティ)の国内販売台数は8,300台まで拡大と予測
~超小型モビリティ規格が創設される2020年から普及が進む見通し~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、次世代モビリティ市場の調査を実施し、国内市場概況、海外類似市場の概況、主要メーカーの事業戦略を明らかにした。ここでは、2030年までの次世代モビリティの国内販売台数予測を公表する。

次世代モビリティの国内販売台数予測
次世代モビリティの国内販売台数予測

1.市場概況

国土交通省「地域と共生する超小型モビリティ勉強会」の報告書によると、2017年11月時点で電動ミニカーの累計生産台数が約8,200台、認定制度下の2人乗り超小型モビリティ(EV)の登録台数が延べ約300台であった。

電動ミニカーは2012年にトヨタ車体「コムス」のモデルチェンジに伴い市場が急伸した背景があるが、その後「コムス」に続く代表製品の投入がなく、販売台数は横ばいから微減傾向にある。また、2人乗り超小型EVは2019年度まで市販化が実現しておらず、実証試験向けの認定車両のみの数となる。一方、市販化されている電動トライクは参入企業が限定的で、市場が立ち上がって間もないこともあり数十台程度の規模となる。電動トライク(側車付軽二輪)、電動ミニカー(原動機付四輪)、超小型モビリティ(超小型モビリティ認定制度では2人乗り小型EV)を合算した2019年の次世代モビリティの国内販売台数を620台と推計する。
特に最もニーズが高いとされる2人乗り超小型EVは、2019年に至るまで認証する枠組みが設定されず、市場の先行きが不透明なままであったが、国土交通省の車両安全対策検討会にて「2人乗り小型EV」を「超小型モビリティ」として正式に軽自動車の一種と区分することで2020年からの市販化を進める方針が固まった。これにより、2020年以降に国内の次世代モビリティ市場が大きく成長する可能性が出ており、2020年の次世代モビリティの国内販売台数を4,100台になると予測する。

2.注目トピック

規制緩和による課題と可能性

次世代モビリティは、現状では「機能は二輪車に近いが、価格は軽自動車並み」という車両であり、独自のメリットも少ないことから普及に向けた課題が多いといえる。市販化されている電動トライクや電動ミニカーは、税制面などでランニングコスト低減に繋がる一定のメリットがあるが、制度として軽自動車の枠組みとなる超小型モビリティではその効果は薄い。

超小型モビリティの免許については軽自動車の枠組みとなるため、普通自動車免許が適用されると考えられる。そのため、次世代モビリティには免許返納後の高齢者向けモビリティとしての可能性も検討されるが、現行制度では不可能である。一方で、欧州Lクラスのような免許区分が行われれば、新たな需要創出にも繋がる。免許制度変革を行うだけの要因が乏しいとも考えられるが、長期的な視点で議論が進むことが期待される。
また、超小型モビリティ普及推進のポイントとなる補助金は、経済産業省が2020年以降で購入助成金を出す方針を固めているが、対象となる車両や基準は策定中である上、補助金の対象者が購入者全員なのか高齢者など次世代モビリティの必要性が高い人々に限定されるのかは定かではない。
このほか、税制や車検はランニングコスト低減が図れる重要な要因である。自動車税は少なくとも電動ミニカーと軽自動車の中間程度に落ち着かなければ、ユーザへの「お得感」は与えられない。実際、電動ミニカーの自動車税3,600円、軽自動車の10,800円の中間となる7,200円で調整が進められているようだが、2019年12月時点では確定していない。また、車検については必要となるが、軽自動車と比較して簡素化等が行われなければ、電動ミニカーの優位性を際立たせるだけになりかねず、検討が進められている。

3.将来展望

超小型モビリティの市場展望を考えた際、参考となるのが欧州のLクラスである。市販化の歴史が長いLクラスも新車販売台数全体に占める割合は0.3~0.4%のニッチ市場に留まっており、日本国内でも同程度の比率が潜在的な需要と考えれば、18,000台/年程度が上限と考えられる。
さらに、欧州とは異なり運転免許制度の改革が見込めないことから、欧州でLクラスの中心的ユーザの一つとなっている普通自動車免許が取得できない若年層や、普通自動車免許が何らかの理由で取得できないユーザの取り込みができない。また、超小型モビリティが軽自動車に準拠した規格となったことで、コスト面では電動ミニカー、ユーティリティ性では軽自動車に優位性がある中での市場展開を目指さなくてはならない。

これらの動向を考慮し、2025年の次世代モビリティ(電動トライク、電動ミニカー、超小型モビリティ[2人乗り小型EV]の合算値)の国内販売台数を8,300台、2030年に11,200台になると予測する。なお、経済産業省で進めている「多様なモビリティ普及推進会議」の購入補助金など補助金の金額が普及状況を左右するほか、すべての車両に関して業務用途での導入が決まれば、一時的に販売台数が急増する可能性があるが、本予測ではこの点は考慮していない。

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    調査要綱

    1.調査期間: 2019年11月~2020年1月
    2.調査対象: 次世代モビリティメーカ、次世代モビリティ関連サービス事業者等
    3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談、電話取材、ならびに文献調査併用

    <次世代モビリティとは>

    国土交通省は、2012年6月に公表した「超小型モビリティ導入に向けたガイドライン」において、超小型モビリティを「自動車よりコンパクトで小回りが利き、環境性能に優れ、地域の手軽な足となる1人~2人乗り程度の車両」と定義している。

    本調査ではEVと電動バイクの間に位置づけられる電動モビリティ、電動トライク(側車付軽二輪)や電動ミニカー(原動機付四輪)、超小型モビリティ(超小型モビリティ認定制度では2人乗り小型EV)、マイクロモビリティ(セグウェイ等の移動支援ロボットなど)を対象とし、地域は主に日本を対象としている。
    但し、次世代モビリティに類する車両として、欧州Lクラス(L2e、L5e、L6e、L7e)、中国LSEV(Low Speed Electric Vehicle)、その他アジア地域の三輪車など今後の市場動向に影響を与える一部車両についても本調査の対象としている。

    <市場に含まれる商品・サービス>

    電動トライク、電動ミニカー、超小型モビリティ、マイクロモビリティ、欧州Lクラス(L2e、L5e、L6e、L7e)、中国LSEV(Low Speed Electric Vehicle)

    出典資料について

    資料名
    発刊日
    2020年01月31日
    体裁
    A4 178ページ
    定価
    150,000円(税別)

    お問い合わせ先

    部署
    マーケティング本部 広報チーム
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    〒164-8620 東京都中野区本町2-46-2
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