プレスリリース
No.2543
2020/10/01
外食市場に関する調査を実施(2020年)

2019年度の外食市場は30兆2,260億円とプラス成長
~市場は飽和状態にあるが、既存店の売上高を増加させる施策が奏功し、高水準を更新~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、2020年度の外食産業の調査を行い、市場規模、参入企業の動向、将来展望を明らかにした。

国内外食市場規模推移と予測
国内外食市場規模推移と予測

1.市場概況

 2019年度の国内外食(持ち帰り弁当や総菜専門店等の中食業態含む)市場規模は、末端売上高ベースで前年度比1.4%増の30兆2,260億円と、高水準の成長で30兆円の大台を上回った。

業態別にみると、主に「洋風ファストフード(ハンバーガー店、他)」「和風ファストフード(牛丼店、他)」「中華レストラン・ラーメン店」「焼肉店」が好調で、市場規模の拡大に貢献している。「洋風ファストフード」や「和風ファストフード」は店内の改装、新商品の開発、顧客サービスの強化などの施策で既存店の売上が増加したこと、「中華レストラン・ラーメン店」は、王将フードサービスなどの低価格チェーンが市場をけん引したこと、「焼肉店」は食べ放題、1人前メニューなどでファミリー層や “おひとり様” を取り込んだことがその要因である。
一方、「居酒屋・パブ・ビアレストラン」は、若者のアルコール離れ、宴会開催頻度の減少などが影響し、引き続き苦戦が続く。また、「ディナーレストラン」は、新型コロナウイルス感染拡大が懸念され始めた2020年2月~3月の利用者が減少したことなどにより、各企業で第4四半期の業績が悪化し、市場規模も縮小した。

2.注目トピック

テイクアウトの需要が急速に拡大

 新型コロナウイルス感染拡大による外出自粛要請、さらには緊急事態宣言を契機とした店舗の休業や営業時間短縮を機に、デリバリーやテイクアウトの需要が急速に拡大している。これに合わせて、様々な業態の飲食チェーンでテイクアウト、デリバリー販売を強化する動きが活発化し、シェアリング宅配サービス会社との提携、テイクアウト限定商品の開発、タクシーデリバリーの導入など、様々な施策が実施された。

中でも、ドライブスルー、ネットオーダーの導入などでテイクアウト需要にかねてから対応していた洋風ファストフード店(ハンバーガー店、他)で2020年4月の既存店売上高が前年を上回っている。また、通常営業を再開しても売上や客数が十分に回復しないことから、テイクアウト、デリバリー販売の強化を今後の方針に掲げる企業が多い。テイクアウト専門店や自前の店舗を持たないゴーストレストランを新たに開設したり、テイクアウト専用の商品を開発したりすることで、新たな事業の柱へと育成する動きもある。

3.将来展望

 2020年度の外食市場規模(末端売上高ベース)については、新型コロナウイルス感染拡大による休業や営業時間の短縮、消費者の外食に対する意向の減退から、市場規模は2019年度比で8割程度に縮小すると予測する。
内訳を見ると、テイクアウト・デリバリーの需要拡大にいち早く対応できた「洋食ファストフード(ハンバーガー店、他)」で市場規模の拡大が見込めるのに対し、他の業態はいずれも減少し、中でも、店内利用を主体とする「居酒屋、パブ、ビアレストラン」や「ディナーレストラン」で大きく縮小する見通しである。

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【ショートレポートに掲載されているオリジナル情報】
Aパターン
  • セグメント別の動向
  •  2-1.洋風ファストフード(ハンバーガー店、他)
     2-2.和風ファストフード(牛丼店、他)
     2-3.ファミリーレストラン
     2-4.すし、回転すし、宅配すし
  • 注目トピックの追加情報
  •  店舗運営の効率化、顧客の利便性向上を目的に改革が進み、コロナ禍にも対応した新サービス
  • 将来展望の追加情報

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    調査要綱

    1.調査期間: 2020年6月~8月
    2.調査対象: 外食関連企業(主要チェーン、有力企業)
    3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談、電話・e-mailによるヒアリング調査、ならびに郵送アンケート調査・文献調査併用

    <外食市場とは>

    本調査における外食市場とは、ファストフードやカフェ、ファミレス、すし、中華・ラーメン、うどん・そば、焼き肉、居酒屋、ディナーレストラン、料亭等の飲食店を対象に市場規模を算出した。飲食・テイクアウト主体で専門店舗を展開する業態のみに限っており、学校や病院、事業所などの給食、ホテルや旅館などの宿泊施設に付随する飲食などは含めていない。また、ナイト市場(夜間をメインとして営業する業態)のうち、居酒屋・パブ・ビアレストランや料亭など、フード比率がある程度見込める業態は含むが、スナック・キャバレー・ナイトクラブなど、大半がアルコールの業態のほか、風俗営業などの業態は除外している。

    また、百貨店やスーパーのインストアでの販売分も併せ、持ち帰り弁当や総菜専門店等の中食業態を含む。但し、食品スーパーやGMS、コンビニエンスストア等の店頭でセルフ販売している弁当や総菜は対象外としている。
    従来までは、ドライブインや高速道路サービスエリア内飲食店、テーマパーク、ミュージアム等、観光施設やレジャー施設に付随する飲食店が該当する「その他」も調査対象に含めて市場規模を算出していたが、外出自粛要請に伴うレジャー消費の大幅な落ち込みにより、規模の算出が困難となり、本調査では対象から除外した。

    <市場に含まれる商品・サービス>

    洋風・和風ファストフード、ファミリーレストラン、すし、居酒屋・ビアレストラン、ディナーレストラン、中華・ラーメン店、うどん・そば店、カフェ、焼肉店、その他専門店、持ち帰り弁当、総菜店など

    出典資料について

    資料名
    発刊日
    2020年09月18日
    体裁
    A4 881ページ
    価格(税込)
    137,500円 (本体価格 125,000円)

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    マーケティング本部 広報チーム
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