プレスリリース
No.3259
2023/05/18
太陽光発電市場に関する調査を実施(2023年)

2030年度の国内太陽光発電導入量を6,151MWと予測
~2030年度の導入量を契約種別にみると、PPAが最も多く次いで自家消費が続く見通し~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内の太陽光電源導入拡大に向けた課題、周辺市場(O&Mサービス、太陽光発電所セカンダリー市場、廃太陽光パネルリユース・リサイクル、スポット型点検・診断サービス等)の現状を明らかにした。ここでは、2030年度までの太陽光発電導入量予測について、公表する。

国内の太陽光発電導入容量(契約種別)推移・予測
国内の太陽光発電導入容量(契約種別)推移・予測

1.市場概況

国内における2022年度単年度の太陽光発電導入量は5,438MWを見込む。契約種別(事業形態別)毎の内訳をみると、FIT事業用が最も大きく3,650MW(構成比67.1%)、次いでFIT住宅用が981MW(同18.0%)とFITによる導入量が全体の85.1%を占め、PPA※1が347MW(同6.4%)、自家消費307MW(同5.6%)、その他相対・自由契約153MW(同2.8%)と続く見込みである。
​これまで我が国はFIT制度(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)を中心として、太陽光発電の電源開発を進めてきた。しかし、太陽光発電の電力市場への統合を図っていくため、2022年度からFITに加えて、市場連動型のFIP(Feed-in Premium)制度が導入され、設備容量1,000kW以上の新規の事業用太陽光発電による電力は2022年度よりFIT入札ができず、すべてFIP入札の対象となった。さらに2023年度からは同500kW以上、2024年度からは同250kW以上の事業用太陽光発電がFIP入札の対象となる。
なお、2022年度時点でFIT入札やFIP入札の対象から外れている規模(設備容量10kW以上250kW未満)の事業用太陽光発電のFIT調達価格も、10kW以上50kW未満が1kWhあたり11円、50kW以上250kWh未満は同10円と低い水準にある。そのため、FITによる買取を前提とした太陽光発電の開発は曲がり角を迎えている。

※1 PPA(Power Purchase Agreement)とは、PPA事業者が自己資金等によって再生可能エネルギー発電所を開設して所有・運営・維持し、発電所で発電した電気を需要家に対して長期・固定価格によって供給する仕組みを指す。電力需要家以外の第三者が発電設備を保有することから第三者保有モデルと呼ばれている。

2.注目トピック

太陽光発電の導入拡大に向けた課題

 太陽光発電は発電の過程でCO2の排出が無く、かつ日照があれば発電出来ることから、各種の再生可能エネルギーの中でも運用しやすい電源とみなされ、国内各地で導入が進んできた。第6次エネルギー基本計画が決定され、2030年度に向けて太陽光発電導入量を一層拡大していくために、主に2つの課題を解決していく必要がある。
1つ目は、系統混雑の解消である。系統混雑により、太陽光発電事業者では足元で系統接続の際の工事費負担金の負担額が大きく、また系統接続工事期間が長くなっており、新規の事業用太陽光発電導入の支障となっている。
2つ目は、適地設置の促進である。新規の野立て太陽光発電の設置に適した土地が減っている中で、屋根設置と耕作放棄地への設置が期待されている。しかし、屋根設置では特に既築住宅や中小企業施設への設置の点で家屋の耐荷重等の課題を抱えている。また、耕作放棄地への太陽光発電の導入は農地転用が難しい点などの課題がある。

3.将来展望

 系統接続に伴う工事費負担金増大あるいは工事期間長期化や、適地の不足といった問題が2025年度頃までにある程度解決の目途が立つことを前提とし、2030年度単年度の国内太陽光発電導入量を6,151MWになると予測する。契約種別(事業形態別)にみると、PPAが最も多く、次いで自家消費が続いている。FITの新規申し込みが減少し、代わりに初期投資がかからず、RE100(Renewable Energy 100%)※2 において重視される「追加性」を獲得することができるPPAが、補助金の存在もあり新規導入が進んでいくものと考えられる。

​※2 企業が自らの事業の使用電力を100%再生可能エネルギーで賄うことを目指す国際的な取り組み

オリジナル情報が掲載された ショートレポート を1,000円でご利用いただけます!

【ショートレポートに掲載されているオリジナル情報】
Aパターン
  • セグメント別の動向
  •  O&Mサービス・太陽光発電所セカンダリー・廃太陽光パネルのリユース・リサイクル市場の動向
  • 注目トピックの追加情報
  •  太陽光発電の導入拡大に向けた課題:系統混雑の解消
     太陽光発電の導入拡大に向けた課題:適地(屋根設置)
  • 将来展望の追加情報

  • 以下の 利用方法を確認する ボタン↓から詳細をご確認ください

    調査要綱

    1.調査期間: 2023年1月~3月
    2.調査対象: 太陽光発電事業者、電力小売事業者、PPA事業者、太陽光発電所の運営・メンテナンスや取引、太陽光パネルのリユース・リサイクルなどに関連するサービスや技術を持つ企業、先進的な太陽光発電設備の活用事例を有する企業、公共機関など
    3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話による調査

    <太陽光発電導入容量について>

    2021年度までのFIT住宅用、FIT事業用の導入容量は資源エネルギー庁資料より引用、その他の年次・契約種別の導入容量は矢野経済研究所による推計値。

    <市場に含まれる商品・サービス>

    太陽光発電、PPA、O&Mサービス、太陽光発電所セカンダリー市場、廃太陽光パネルのリユース・リサイクル、スポット型点検・診断サービス

    出典資料について

    資料名
    発刊日
    2023年03月30日
    体裁
    A4 298ページ
    価格(税込)
    209,000円 (本体価格 190,000円)

    お問い合わせ先

    部署
    マーケティング本部 広報チーム
    住所
    〒164-8620 東京都中野区本町2-46-2
    電話番号
    03-5371-6912
    メールアドレス
    press@yano.co.jp
    ©2023 Yano Research Institute Ltd. All Rights Reserved.
      本資料における著作権やその他本資料にかかる一切の権利は、株式会社矢野経済研究所に帰属します。
      報道目的以外での引用・転載については上記広報チームまでお問い合わせください。
      利用目的によっては事前に文章内容を確認させていただく場合がございます。