期待膨らむ「2020年夏季東京オリンピック・パラリンピック」


2013年9月8日、2020年夏季オリンピック・パラリンピックの開催地として東京が選ばれた。正に歴史的な一瞬だったと言える。日本での開催は1998年の冬季長野オリンピック以来22年ぶり、夏季オリンピックとして1964年の東京オリンピック以来56年ぶりのこととなる。
この、国を挙げての大イベント開催までの7年間で日本経済やスポーツ市場はどのような変化を遂げていくのだろうか。

東京オリンピック・パラリンピック(以降、東京オリンピック)の招致によって、日本オリンピック招致委員会と東京都が算定した経済効果は約3兆円。この試算に含まれる対象はオリンピックで使用される予定の競技会場や選手村などの施設のみで、大会開催の有無に関わらず整備される道路、鉄道などのインフラ整備は対象外である。
開催決定後は、さっそく数多くの経済波及効果の試算が発表され注目を集めている。中にはインフラ整備の前倒しや観光産業の成長、スポーツ人口の増加などの潜在的な効果も合わせることにより、100兆円を超える経済波及効果が望めるといった指摘をするエコノミストも登場している。
このように、莫大な経済波及効果が見込まれているのだが、スポーツ市場をフィールドワークとしている身としては、主産業であるスポーツ産業にとっての影響力は如何程か?という事の方が気になるところである。

「レジャー白書2013」(公益財団法人 日本生産性本部)におけるスポーツ部門の2012年市場規模は3兆9,150億円。また、弊社が調査している主要18分野のスポーツ用品の2012年小売市場規模は1兆7,522億4,000万円であり、単純に比較はできないものの、実にスポーツ産業市場の4割弱を占めている。
弊社では、スポーツ用品市場規模を1989年より独自に調査している。1989年以降、2012年までに夏季オリンピックは6度開催されているのだが、2000年のシドニーオリンピック開催年を除けば、いずれのオリンピック開催年も市場拡大の浮揚効果が確認できる。
では、なぜ2000年のシドニーオリンピック開催はプラス効果が無かったのか。それは、1997年の消費税増税が影響している。スポーツ用品市場は1997年以降2004年まで8年もの間、マイナス成長を辿ったのである。その意味では、2014年4月の消費税増税が、スポーツ市場にとってのネガティブ要因となることが危惧される。
だが、オリンピックがスポーツ市場に与える効果は大きい。ましてや自国での開催は消費税増税によるマイナス影響を打ち消して余るほどのインパクトを持っていると言え、増税時には短期的な落ち込みを見せつつも2020年までの7年間では着実な成長が見込めるものと考える。

市場規模拡大への期待と共に大切にしたいと思うのは、万人が共鳴できるオリンピックは、次世代に夢と希望を残せるという価値を有しているという点である。2012年のロンドンオリンピックにおける日本人選手の活躍は記憶に新しく、その活躍が閉塞感漂う世相の中でとかくうつむきがちであった国民を勇気付けたことは間違いない。
2020年まであと7年。残り7年間をどのように過ごし、何をして次世代に繋いでいくのか。スポーツを糧とするスポーツ産業界や団体、そこに生きるアスリートや関係者、そして私共も含め、全てのスポーツ従事者がそう問われている。

2013年11月 主任研究員 家中 茂稔


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