【住宅・不動産市場】活発化する空き家ビジネス

2015年12月
理事研究員 上野 雅史

空き家問題がメディアなどで取り上げられる昨今、中小の不動産会社を中心として空き家ビジネスへの新規参入が活発化している。ここにきて大手ハウスメーカーなども注力してきた。人口減によって国内の新規住宅着工は頭打ちになる見通しであり、空き家となっている中古住宅を再生して収益をあげる取り組みが、住宅メーカーや工務店にとって重要となっている。

空き家を活用したサービスとしては、空き家をリノベーション(改修)して賃貸化する事業が活発になっている。だが高齢の空き家オーナーの中には抵抗を感じる人も多く、空き家の活用を妨げる要因となっている。このような状況は、中古住宅市場の形成のみならず、不動産市場全体を停滞させる原因となる。だが相続により空き家オーナーが代替わりし始めており、若い世代のオーナーは比較的、活用に積極的とみられる。

空き家が増えることで、街の景観や治安への影響を懸念する声が強まっているが、壊さず利用するには家主と借り手のミスマッチなど障害が多い。そうした中で空き家を資源ととらえ、新しい形の住まいや交流の場とする動きが広がりつつある。

空き家対策特措法が施行され、固定資産税の優遇廃止が進めば、空き家を売買しようと考える人が増えていく。しかし築年数が経ったものは時代に合わなくなっていたり、劣化が進んでいたりするため、なかなか買い手が付かない。そのままでは売買できないとなると、改修の必要がある。しかし改修費を負担できない、あるいはしたくないと考えるオーナーは多い。これに対して、有効な方法として注目を集めているのが買取再販である。これは、事業者が中古住宅を買い取り、改修した上で販売するというビジネスモデル。改修を施すことにより、躯体や内外装、設備などが新しくなり、売買しやすくなると期待できる。

政府は買取再販を推進していく方針を掲げている。買取再販では、事業者が中古住宅を買い取る際と、改修後の住宅を販売する際に、それぞれ登録免許税と不動産取得税が掛かり、通常の不動産売買より税負担が重くなる問題があった。そのため政府は2014年に事業者が改修した住宅を販売する際の登録免許税を0.3%から0.1%に引き下げた。さらに15年度税制改正により、事業者が中古住宅を買い取る際の不動産取得税を減税する特例措置を導入した。

空き家の買取再販は、マンションを対象として積極的に取り組む事業者が増えている。一方で戸建ての買取再販については、多くの事業者はリスクが高いと考えている。

戸建ての場合、躯体の見えない部分にシロアリ被害や雨漏りなどの問題が隠れていることがある。こういった問題を見過ごして、買い取り後に発覚すれば、対処するためのコストで事業者は大きな損害を被る可能性がある。それでも、条件の良い中古の戸建住宅は少ないといわれる中で、既に実績を上げている事業者もいる。

戸建ての中古住宅には一定の需要があり、固定資産税の特例が廃止されるなど、空き家の流動化が進んでいけば、事業の可能性がさらに拡がると考えられる。

株式会社共同通信社「Kyodo Weekly」2015年11月2日号掲載