11月26日夜、能登地方で震度5弱を観測する地震があった。翌27日、能登半島地震の災害関連死の判定を行う13回目の専門審査会があった。審査会は石川県内から出されていた16人のうち12人を認定するよう答申、これにより能登半島地震による災害関連死は富山県、新潟県の6人を合わせ247人、直接死も含めると犠牲者は474人に達した。災害関連死の申請は未だ多くが審査待ちの状況にある。被災は収束していないということだ。
一方、遅いとの批判もあった復旧は進展した。石川県によると、1月の地震発生当時、道路は42路線87箇所が、9月の豪雨では最大25路線48箇所が通行止めとなったが、11月12日時点で、通行止めの箇所は17路線35箇所、孤立集落は実質的に解消された、という。水、電気、通信の復旧も進む。とは言え、いずれも「復旧困難地区、立入困難箇所を除き」との注釈がつく。復旧困難地区、立入困難箇所を含めると、水は輪島市で390戸、珠洲市で321戸、電気は輪島市、珠洲市、能登町の約340戸、通信は輪島市と珠洲市の37局が未だ復旧途上だ。
災害関連死は2016年の熊本地震の222人を上回る。能登半島特有の地理的特徴、被災者の多くが高齢者であったこと、観測史上最大の豪雨が被災地を襲ったことなどが、“被災” を長期化させている。初動対応の問題も指摘される。しかし、根本は災害に対する認識の甘さだ。能登だけではない。26日、内閣府の「南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループ」は、地震発生時に実務対応を担う行政機関等を対象に行った “南海トラフ地震臨時情報” に対するアンケート結果を発表した。これによると、そもそも制度をきちんと “認知していなかった”(13.6%)も含めると “対応に戸惑った” 自治体は78%に達する。
同じ26日、「能登半島地震を踏まえた災害対応検討ワーキンググループ」が今後の災害対応に在り方に関する検討結果を公表した。提言には、地理的特徴や社会的特性を踏まえた応急体制・応援体制の強化、物資の調達・輸送体制の整備、避難者の生活環境の拡充、NPOなど民間組織との連携、複合災害への備え、などが盛り込まれた。これらは能登半島地震からの教訓だ。政府は来年の通常国会に向けて災害関連法制の改正を検討している。“備え” の強化はもちろんであるが、インフラ復旧という “区切り” に被災者が取り残されることのなきようきめ細かな対策を整備いただきたい。