プレスリリース
No.3434
2024/01/10
文具・事務用品市場に関する調査を実施(2023年)

2022年度の国内文具・事務用品市場規模は前年度比0.2%減の3,986億4,000万円
~コロナ禍の影響が残り前年度割れとなるも、一部の商品では需要の回復が進む~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内文具・事務用品市場を調査し、商品別の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。

国内文具・事務用品市場規模推移
国内文具・事務用品市場規模推移

1.市場概況

2022年度の文具・事務用品市場規模は、メーカー出荷金額ベースで前年度比0.2%減の3,986億4,000万円となった。文具・事務用品市場は、2020年度に新型コロナウイルスの感染拡大による行動制限等の影響を受けて大幅な市場縮小となり、2021年度も繰り返される緊急事態宣言の発出などを受けて需要の停滞が続いた。2022年度もコロナ禍の影響が残り市場規模は前年度割れとなったが、2020年度、2021年度と比較して行動制限が緩和されたことなどから、緩やかではあるが筆記具などの一部の商品で需要の回復がみられた。また、原材料費やエネルギーコストをはじめとする諸経費の上昇に伴う商品価格の上方改定も市場規模の底上げに一部寄与した。ただし、在宅勤務・テレワークなど多様な働き方の浸透によるオフィス需要の冷え込みやペーパーレス化のさらなる進行、GIGAスクール構想の推進による学校教育のデジタル化の進展など、当該市場の需要の回復には様々な懸念要素が散見されている。また、国内の文具・事務用品市場は少子高齢化による構造的な需要の減少は避けられない事業環境にあることから、文具・事務用品メーカーの多くは成長余力の高い新興国を中心とした海外での事業拡大を追求している。

2.注目トピック

文具・事務用品メーカーは個人消費に対応したパーソナルユースの商品展開をこれまで以上に重視

コロナ禍以降、法人需要は停滞を続けており、文具・事務用品メーカーの多くは個人消費に対応したパーソナルユースの商品展開に重きを置く傾向をこれまで以上に強めている。パーソナルユースの商品は、筆記具をはじめとする主要メーカー各社が2010年代初頭より高機能・高付加価値商品の投入を続けてきた。その結果、ユーザー側が機能性を評価すれば、比較的高価格帯の商品でも受け入れられる環境が醸成されており、中でも近年は、高機能・高価格帯のシャープペンシルの販売状況が好調に推移している。

また、アート&クラフトをはじめとする趣味的な需要や自己表現をするための道具としての文具・事務用品の需要は堅調である。独自の色調や多彩なカラーバリエーションを有する水性マーカーや水性ボールペン、万年筆用インクなどの需要が高まっている。これらに加えて、自分好みのデザインで商品をカスタマイズ・アレンジすることや、コレクションへの関心の高まりもみられている。この流れは、特に文具に対して感度の高い女性層を中心に活発化しており「女子文具」といったカテゴリーが注目されている。

3.将来展望

2023年度の文具・事務用品市場規模は、前年度比横ばい推移の3,986億5,000万円を予測する。2023年度は新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが5類に移行されたことに伴う行動制限撤廃による需要の回復に加え、訪日外国人観光客のインバウンド需要の回復などを受けて、筆記具市場、事務用品市場は前年度比プラス成長を予測する。ただし、紙製品市場はペーパーレス化の進行や学童人口の減少などを受けて引き続き厳しい事業環境で推移することが考えられ、文具・事務用品全体市場としては前年度比横ばい推移を予測する。

オリジナル情報が掲載された ショートレポート を1,000円でご利用いただけます!

【ショートレポートに掲載されているオリジナル情報】
Aパターン
  • セグメント別の動向
  •  国内筆記具市場
     国内紙製品市場
     国内事務用品市場
  • 注目トピックの追加情報
  • 将来展望の追加情報

  • 以下の 利用方法を確認する ボタン↓から詳細をご確認ください

    調査要綱

    1.調査期間: 2023年10月~12月
    2.調査対象: 文具・事務用品関連事業者等
    3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・e-mail等によるヒアリング、ならびに文献調査併用

    <文具・事務用品市場とは>

    本調査における文具・事務用品とは、筆記具(鉛筆、万年筆、油性ボールペン、水性ボールペン、シャープペンシル、油性マーカー、水性マーカー)、紙製品(ノート、学習帳、手帳類、封筒、アルバム、ルーズリーフ、レポート用紙)、事務用品(ファイル類、粘着テープ、印章類、ラベル類、事務用のり、黒板類、修正用品、カッター、ステープラー、消しゴム、文具はさみ、電子文具〔ラベルライター他〕、電子辞書)の3分野27品目を対象とする。なお、水性ボールペンにはゲルインキボールペンを含む。

    <市場に含まれる商品・サービス>

    鉛筆、万年筆、油性ボールペン、水性ボールペン、シャープペンシル、油性マーカー、水性マーカー、ノート、学習帳、手帳類、封筒、アルバム、ルーズリーフ、レポート用紙、ファイル類、粘着テープ、印章類、ラベル類、事務用のり、黒板類、修正用品、カッター、ステープラー、消しゴム、文具はさみ、電子文具〔ラベルライター他〕、電子辞書

    出典資料について

    資料名
    発刊日
    2023年12月26日
    体裁
    A4 543ページ
    価格(税込)
    132,000円 (本体価格 120,000円)

    お問い合わせ先

    部署
    マーケティング本部 広報チーム
    住所
    〒164-8620 東京都中野区本町2-46-2
    電話番号
    03-5371-6912
    メールアドレス
    press@yano.co.jp
    ©2024 Yano Research Institute Ltd. All Rights Reserved.
      本資料における著作権やその他本資料にかかる一切の権利は、株式会社矢野経済研究所に帰属します。
      報道目的以外での引用・転載については上記広報チームまでお問い合わせください。
      利用目的によっては事前に文章内容を確認させていただく場合がございます。