セミナーのご案内

医薬品流通と消費税増税

消費税増税まで10ヶ月を切りました。巷では依然賛否両論があるものの、実施の延期はあり得ない状況になってきております。

医療分野においては、患者負担を抑制するという配慮を行ったことから保険診療を含めた一定の医療費が“非課税”ということになりました。その結果、収入の多くを保険診療が占める医療機関では、支払った消費税が費用(控除対象外消費税)として負担する仕組みとなりました。

このことに対して医療関係団体から不満が挙がっておりますが、厚生労働省は「消費税に関しては診療報酬に相当分を上乗せしている」として現状維持の姿勢を崩しておりません。2014年4月についても「消費税引き上げ3%相当分を診療報酬に上乗せする」としております。ちなみに、6月27日発行の日経新聞紙上に「消費税増税にともなう措置として厚労省が2014年4月から初診料と再診料を引き上げる方針を固めた」という内容の記事が掲載されました。もし、そのことが現実になれば新たな変化を生み出すことになります。

また、薬局については、消費税負担が医科や歯科より大きくなっております。それは、薬局がいわゆる“調剤薬局”と呼ばれているように保険診療収入に依存し、医薬品費の割合が大きいからです。厚労省は薬価も診療報酬と同様、消費税相当分が含まれているとしており、薬局はもちろんのこと医療機関にとってもその負担が重くのしかかっております。

一方、医薬品流通に関しては、医薬品卸と医療機関や薬局チェーンとの納入価交渉が順調に推移していると言い難い状況にあります。そのため、このまま2014年4月を迎えることになれば、医療機関や薬局チェーンの中には医薬品卸に対して消費税引き上げ相当分、あるいはそれに近い比率の薬価差を要求するところが出てくることもあり得ます。そうなれば、せっかく改善の兆しが見えた納入価交渉が再び厳しい状態に逆戻りしてしまいかねません。

また、上述のようなことが生じない場合でも医薬品卸としては、①医療機関の中にはこれまで以上に院外処方を積極的に発行することで消費税負担を軽減しようとする②損税の拡大によって医療機関や薬局の経営が悪化する―ことなどを想定しておく必要があります。このことは、これまで以上に医薬分業が進展し、分業率が低かった地域での医薬品卸シェアが変動する原因となりかねません。さらには、医療機関や薬局の経営が悪化し、医薬品卸として与信管理強化が必要になることも予想されます。

これらの他にも消費税増税は、医療界にさまざまな影響を及ぼすことが予想されます。今回、このような状況下において今後、医療関係者の方々は消費税増税によってどのような変化が生じ、自社としてどのような対応策を講じておく必要があるのかということを医薬品流通を通じて考察いたします。そのため、今回、講師にはわが国において医療に関する消費税問題の第一人者であります船本 智睦氏をお招きし、弊社フェローの遠藤邦夫と共にセミナーを実施いたします。

本セミナーでは、最初に遠藤が「医薬品流通と消費税増税」ということを、次に船本氏が「医療と消費税」ということで消費税増税が医療界に及ぼす影響を多角的に分析し、最後に遠藤と船本氏が医療における消費税増税の見通しとあるべき方向性などについてご参加いただきました皆様のご質問を受けながら、ディスカッションを行います。

医療業界において消費税増税の自社や市場への影響を検証されております関係者の皆様、医療機関や薬局との窓口となっております皆様には、疑問点を解消する機会になり得る本セミナーへのご参加をお薦めいたします。

セミナー概要

  • 12:50~13:50 「医薬品流通と消費税増税」

    講師:株式会社矢野経済研究所 遠藤 邦夫

  • 13:50~14:50 「医療と消費税」

    講師:京都紫明税理士法人 社員税理士 船本 智睦

  • 14:50~15:05 休憩

  • 15:05~15:50 質疑応答及び講師ディスカッション

セミナー要綱

開催日時
2013年8月29日(木) 12:50~15:30
会場
アルカディア市ヶ谷(私学会館)6F阿蘇(西)

東京都千代田区九段北4-2-25

受講料
21,000円(税込)
お申し込み
お願い

お申し込み後、請求書と受講票メールをお送り致します。
セミナー受講料は開催日前日までにお振り込みください。
尚、参加人数に限りがございますため受講料お振込み後の申込み取り消しはお受けしかねますので、当日欠席の場合は代理の方のご出席をお願い致します。

お問い合わせ先

株式会社 矢野経済研究所 営業本部 カスタマーセンター
TEL:03-5371-6901 / FAX:03-5371-6970

講師のご紹介

京都紫明税理士法人 社員税理士 船本 智睦 氏

京都紫明税理士法人に所属する社員税理士。また、医業経営コンサルタントとして多数の病院、診療所など医療機関の経営にかかわる。経済産業省・医療経営人材育成プロジェクト事業テキスト作成、自治体病院の経営診断業務等に携わった。
論文執筆、講演会等多数。
所属は公益社団法人日本医業経営コンサルタント協会、同京都府支部副支部長。TKC医業会計システム研究会、同医療に係る消費税問題プロジェクト・リーダー、同京都府リーダー。NPO法人公的病院を良くする会。同税制担当理事。日本医療・病院管理学会会員。
医療に関する執筆・出版物として、『Japan Medicine』掲載「消費税が医業経営に与える影響(前編・後編)」(じほう)、『医業経営者のための介護経営マニュアル』(日本医業経営コンサルタント協会編著・日本医療企画)、他。

株式会社矢野経済研究所 ライフサイエンス事業部 理事研究員 遠藤 邦夫

長年に渡り医療界の動向の調査・分析を実施。