マンション管理事業者の動向
~ヤノ・レポート 2018年3月10日号 トピックス~
マンション管理事業者の動向
<市場見通し>
新築分譲マンションの大量供給時代の再来はなく、人口減少、少子高齢化といった構造的な問題により新規供給戸数の先細りが見込まれるものの、新築分譲マンションが供給され続ける限り、マンション管理市場は拡大する。また、工事業務についても、年によって修繕周期による工事件数の増減はあるものの、大規模修繕工事適齢期を迎えるマンションストック数の増加により工事市場も拡大する。そのため、管理と工事を合わせたマンション管理市場全体は中長期的にも成長していくであろう。
一方、大手事業者によるM&Aが行われる中、大手事業者による市場集中度が高まっている。管理組合財産や個人情報の取扱いなどコンプライアンスの問題、多様化する管理組合のニーズや管理会社に求められるサービスレベルの高まりに応えることができないような管理会社≒中小管理会社の淘汰が起こることが予想される。特に、独立系中小管理会社の経営層は高齢化しており、事業承継の問題も含めて淘汰・再編が継続し、大手事業者の集中度は中長期的に高まっていくことが考えられる。
市場全体の見通しは上述したとおりであるが、一方で管理員や清掃員、(技術系)社員等の人件費などが上昇する一方、管理組合からの管理委託費低減圧力は継続している。また、大規模修繕工事については安定的なマーケットであるが故に厳しい受注環境が継続するなど、事業を取り巻く環境は厳しい。
そのような厳しい事業環境において、新築/リプレイス受託、既存管理物件の流出防止、工事受注/その他成長戦略オプションにより、如何に成長を果たしていくか、が課題となる。