田中社長、佐々木副会長、西田相談役、歴代3社長が引責辞任。東芝の利益操作問題と原子力政策の行方


21日、田中久雄社長は記者会見で「直接指示した認識はない」と弁明した。田中氏は更に、今回の“不適切会計”、否、金融商品取引法違反に対する疑義について「創業から140年の歴史で最大のブランドイメージの毀損」などと評したというが、その言葉のあまりの軽さに驚く。
第3者委員会の報告書には、決算を前に「3日間で営業利益を120億円改善しろ」との指示があったということであるが、これが何を意味するのか、現場には歴然であったと推察される。この命令には、不可能を可能にする“手立て”が暗示されていると解するのが自然であろう。
公式な意思決定機関の外側にあって、現役の幹部に隠然たる影響力を持ち続ける相談役や顧問が17人もいるという“経営体制”にも呆れるばかりであるが、“不適切会計”を見抜けなかった、あるいは、追求しきれなかった新日本監査法人と現行の監査制度の在り方も問われるべきであろう。

新日本監査法人は2014年3月期の監査において、頓挫したままの原発建設事業サウステキサスプロジェクト3、4号機に対する投下資金の減損問題で東芝経営陣と対立したという。結局、この時は新日本監査法人の主張を受け入れ、東芝は600億円の評価損を計上した。ただ、1562億円もの利益修正を要する今回の一件で、個々のプロジェクトのみならず東芝の事業全体に対する改革も避けられなくなった。佐々木氏は東芝の原子力部門を主導してきた人物だ。その失脚は、2006年に当時の評価額の3倍、約6000億円もの巨費を投じて買収した米の原子力発電所メーカー「ウェスティングハウス」の投資収益性の問題も含め、東芝の原子力事業ひいては日本の原子力政策に影響が及ぶ可能性がある。

今週の”ひらめき”視点 07.19– 07.23

 

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