国境を越えて行動する企業と個人に置き去りにされる税制度


国税当局は、海外子会社との取引でシャープに103億円の申告漏れがあったと指摘、うち12億円相当を所得隠しと認定した。意図的な所得操作であるか、見解の相違か、詳細は不明であるが、いずれにせよグローバル企業の行動原理は既に一国家の税制度と一致しない。

27日、三菱自工は米国生産から撤退、日本とタイに拠点集約することを発表した。今年、同社はそのタイ子会社から499億円もの配当を受け取っている。しかし、この収益には外国子会社配当益不算入が適用されるはずだ。同日、いすゞ自動車は南アフリカの現地企業2社を買収、組み立てから荷台の架装まで現地で一貫生産すると発表したが、こうした現地調達・現地販売の戦略は自ずと海外現地法人と国内事業者との取引機会、言い換えれば税収機会を奪ってゆく。

今、日本国内では輸出企業が為替差益、円安メリットを享受している。しかし、輸出に消費税はかからない。活況が続く訪日外国人のインバウンド消費に対して、百貨店はもとよりコンビニ、ドラッグストアなど流通各社が一斉に免税対応を急ぐ。もちろん、目指しているのは免税売上の拡大であり、したがって、当然ながら消費税は課税されない。
国境を越えて行動する企業や個人は、一国家の税体系の外を行く。

今週の”ひらめき”視点 07.26– 07.30

 

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