独裁者と異端者、世界は2人に身構える


7日、中国の全人代(国会)は、香港の独立を支持する“本土派”議員2名の議員資格の停止を決定するとともに、ネット規制を目的とした「サイバーセキュリティ法」を採択した。“本土派”議員の資格停止は「1国2制度」の実質的な無効を暗示するものであり、また、サイバーセキュリティ法は中国国内で収集されるあらゆる情報が当局の管理下へ置かれることを意味する。

昨年7月の「国家安全法」の施行以来、習金平指導部による社会・言論統制が急速に進む。香港では昨年10月から5人の書店関係者が次々と失踪、長期にわたって中国国内で拘束されていた。9月には唯一直接選挙で選ばれた「民主の村」の前村長の実刑が確定、10月に入ると多くの知識人に支持されてきた改革派のwebサイト「共識網」、雑誌「炎黄春秋」が当局の圧力によって相次いで閉鎖、廃刊された。

10月27日、共産党の最高幹部会(6中全会)は、習氏に対して「核心」の称号を与えたと発表した。「核心」は毛沢東、鄧小平、江沢民と並ぶ“別格”の指導者を意味する。何をもって習氏は“別格”であるのか。しかしながら、彼が「核心」である以上、その理由を問うことはもはや許されない。

一方、注目の米大統領選は当初の誰もが予想し得ない結果に終わった。トランプ氏が勝った。彼は確実に変化をもたらすだろう。しかし、視界はまだ開けない。
社会を圧することで権力基盤を固める独裁者と、社会に充満・鬱積した不満によって権力の座に押し上げられた異端者、2017年、世界は少々窮屈になってゆく。

今週の”ひらめき”視点 11.06 – 11.10

代表取締役社長 水越 孝

 

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