トランプ大統領就任100日、一貫性なき戦略性が世界を攪乱する


4月29日、トランプ氏は大統領就任から100日目を迎えた。「100日目などまやかしの基準」とメディアを批判する一方、自らを“100日間でもっとも成功した大統領”と自賛した。
イスラム圏からの入国制限に関する大統領令は連邦裁判所に差し止められ、メキシコ国境の壁も予算計上を断念、オバマケア改廃法案も撤回した。貿易面ではTPP離脱は実現したもののNAFTAについては協定維持へ転換、中国に対してもトーンダウン、民間企業を名指ししての恫喝では成果を挙げたが、不均衡の是正、製造業の米国回帰を彼の支持者に実感させるには至っていない。
突然のシリア攻撃と北朝鮮問題への介入は“中国への牽制と取り込み”が狙いであり、トランプ氏の高い戦略性を示すものとの評がある一方、思い通りにならない内政を背景とした前政権へのコンプレックスの表出とも見える。いずれにしても突然現れた“切迫した危機”は米国、北朝鮮それぞれの内に向けての大義を正当化するとともに世界に危機の共有を求める。

支持42%、不支持53%という分断の中、42%に向けての成果を焦るトランプ氏の米国に組み込まれた日本はどこへ向かうのか。
ミサイル発射の報を受けた東京メトロは運転を停止し、海上自衛隊に初の米艦防護の命令が発せられ、政府は改憲へ踏み出すことを宣言する。危機が日常化されてゆく中、対立と分断もまた拡散する。今、世界は確実に流動化しつつある。

今週の”ひらめき”視点 04.30 – 05.04

代表取締役社長 水越 孝

 

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