本質から目を逸らさない。唯一ここが不確実性を乗り越える出発点となる


ミャンマーのイスラム系少数民族ロヒンギャ問題について、マララ・ユスフザイ氏をはじめとするノーベル平和賞の受賞者11人を含む国際的な人権活動家23人は、アウン・サン・スーチー国家最高顧問兼外相を非難する書簡を共同で国連安保理に送付した。
書簡は「ミャンマー国軍による武装勢力の掃討作戦によって数百人規模のロヒンギャが殺害され、数万人が難民生活を強いられている」と指摘したうで、スーチー国家顧問の不作為を批判している。

一方、ミャンマー政府はロヒンギャに関する国際的な批判の高まりを受けて、ミン・スエ副大統領を責任者とする調査委員会を設置、事実関係を調査してきたが、3日、「虐殺や宗教上の迫害はなかった」との中間報告を発表した。とは言え、治安当局による暴力行為の映像が世界中に拡散する中にあって、「国軍による弾圧はなかった」と結論づけた政府への不信は拭えない。

昨年4月、大統領資格を持たないスーチー氏は「大統領を越える存在になる」と言い放って、新設した国家最高顧問に自ら就任した。その彼女が、国軍による掃討作戦が展開されているまさにその最中、11月に来日した。日本政府はミャンマー新政権を「自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった基本的価値観を共有するパートナー」であると評し、官民をあげて彼女を歓待、経済支援を約束した。しかし、彼女が率いる今のミャンマーは本当に価値観を共有するパートナーであるのか。私たちは事実を知らないままこの政権を支援するのか。いや、知ったうえでの支援であるのか、

米トランプ次期政権の行方が見えない中、「2017年は不確実性が高まる」とメディアは口を揃える。しかし、それゆえにこそ私たちは“基本的な価値観”というアイデンティティに拘るべきである。そうであってはじめて揺らぐことのないポジションを世界の中に確立することが出来る。決して本質から逸脱しないこと、そこが“確からしさ”の唯一の基盤となる。

今週の”ひらめき”視点 01.01 – 01.05

代表取締役社長 水越 孝

 

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