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人生100年を「4K」に分類、シニア層の自助努力がカギ

2019年2月
主任研究員 小林 裕

「人生100年時代」は日々、耳にするフレーズになっている。一般には15歳以上65歳未満を生産年齢人口とし、15歳未満を年少人口、65歳以上を老年人口と定義している。年少人口と老年人口を被扶養人口などといい、国の統計等でよく見かける3区分である。ただ、この分け方はあまりリアリティが感じられなくなっている。実際には、20歳くらいでは学生が大半であるし、70歳くらいで働いている人も大勢いる。

今回、新たに100歳を均等に、25歳未満(第1ステージ)、25歳以上~50歳未満(第2ステージ)、50歳以上~75歳未満(第3ステージ)、75歳以上(第4ステージ)の4つに分けて考えてみたい。私自身はすでに人生の後半戦、バックストレッチから第3コーナー(第3ステージ)へ突入している。私の家族には第1も第2も第4ステージもおり、この3つはそれぞれの年代でどんなことがテーマになるかは比較的容易に察しがつきやすい。

第1ステージは、保育、小中高大とほぼ学びの時期、教育を受ける期間。
第2ステージは、会社等で業務に勤しむと同時に、結婚などをして家族を形成する期間。
第4ステージは、身体能力、認知機能等が衰え、程度の差はあれ要支援・要介護の状態になる期間。
つかみどころがないのが第3ステージだ。元気に働いている人も多いが、定年を迎え、さまざまな第二の人生・趣味等を謳歌する時期でもある。第3ステージを何か共通項で括るとしたら、それは「健康」と言えるのではないか。体力の衰え等を感じる年齢層であり、予防医療・健康増進に気を使う傾向は高い。

このように考えてみると、各ステージの主要テーマを「教育」、「会社(家族形成)」、「健康」、「介護」と大別することも可能である。日本語のローマ字表記ではみなKから始まるため、クォーター年代別のテーマは、ありがちな「4K」などと表現できそうである。

私の所属部門では医療、介護分野の市場などを分析する機会が多い。当該分野の産業は主に税金と保険料で成り立っていることが特筆すべき点となる。それらの産業ではわが国の人口動態の関係から社会保障財源が枯渇する方向にあり、社会問題となっており、現行体制の改革は待ったなしの状況にある。

人生100年時代なのだから、間違いなく今より増えるのは第4ステージの介護人口である。厚生労働省では地域包括ケアシステムの推進を強調し、地域で医療、介護、生活支援を一体的に供給することの重要性を説いている。従前からの病院を中心とした医療提供体制の再構築とも読み取れ、医療供給の適正化を進め介護との連携を深めるコンセプトと理解できる。国内のヘルスケア産業を俯瞰した場合、将来的には医療から介護へのシフトが鮮明になるのではないと感じる。公的財源を投入するヘルスケア関連のビジネスでは、かつての事業仕分けではないが、詳細部分を含めた費用対効果等の見直しは不可欠になると見られる。

高齢者の社会的介護の定着を鑑みるに75歳以上の世代に手厚いサービスを施すことは必至の情勢である。あわせて少子化対策の意味合いから教育費等の無償化などが進められていく。したがって4つのステージ分類では、第1と第4のステージへ集中的に社会保障給付をすることになる。政府では「全世代型社会保障」というキーワードを前面に出すが、実質的には第2、第3ステージが、第1、第4ステージを支える構図に相違ない。この仕組みを個々に不公平と感じることなく、大きな家族単位として捉え、受け入れる寛容さが日本人には必要になるのだろう。

また、今後、とくに第3ステージの人々が病気(生活習慣病等)にかからないことが重要になってくる。『巷にあふれる健康情報を自身なりに咀嚼、健康維持のために自助努力をする姿が美しいと映る風潮』の普及がポイントになるのではないだろうか。多くの企業において、シニア層向けの予防医療・健康増進ビジネスへの関心は高まっている。そうした新サービスが、公的保険外サービスとして日本の社会に定着、拡大することを切に望みたい。

末尾にひと言。2020年の東京オリンピック・パラリンピックも近づきスポーツイベントは目白押し。若き期待のアスリート「4R」(璃花子、梨花、陵侑、律)に注目し、皆で応援しよう。誰なのか不明な場合は検索を。