2020年度の不動産テック市場規模は前年度比108.6%の6,110億円と推計
2025年度には2020年度比203.9%の1兆2,461億円に拡大すると予測

1.市場概況
消費者向けサービスのB to C領域と事業者向けサービスのB to B領域を合算した2020年度の不動産テック市場規模は前年度比108.6%の6,110億円と推計した。
このうち、B to C向け市場規模は前年度比109.6%の4,852億円、B to B向け市場規模は同104.9%の1,257億円である。
2.注目トピック
大きな拡大が見込まれるのは、B to C領域ではマッチングサービス市場、B to B領域では仲介・管理業務支援/価格査定系市場
不動産テック市場のうち、消費者向けのB to C領域で大きな拡大が見込まれる市場として、「マッチングサービス」市場が挙げられる。中古住宅流通市場は、住宅ストック数の積み上がりと共に成長が見込まれる、住宅業界において数少ない成長市場と考えられ、テクノロジーを駆使し効率的なマッチングを実現する事業者や顧客獲得の拡大に努める事業者などの成長が大いに期待できる。
一方、事業者向けのB to B領域でマーケットサイズが最も大きく、今後も拡大が見込まれる市場として、「仲介・管理業務支援/価格査定系」市場が挙げられる。コロナ禍を契機にDX化の機運が中小事業者にまで及んでいるほか、人口減少局面にある日本において、業務効率化、労働生産性の向上は各事業者において克服しなければならない課題の一つである。それらの課題解決に資するDXツールに対するニーズが今後一層高まることも市場拡大の理由に挙げられる。そして、政府によるデジタル化推進政策も市場成長を後押しするものと考えられる。
3.将来展望
不動産テック市場規模は、2025年度には2020年度比203.9%の1兆2,461億円に拡大すると予測する。このうち、消費者向けサービスのB to C領域は、2020年度比206.5%の1兆17億円、事業者向けサービスのB to B領域は同194.5%の2,445億円に拡大すると予測する。
不動産テック市場に参入するプレイヤーのビジネスドメインは、現時点では経営リソースを集中すべく、自社の強みを有する領域に特化して、そのポジショニングを高めているケースが多い。一方、各領域のプレイヤー同士が連携、あるいは、M&A等により、シナジー効果を創出しようとする動きもみられる。そして、今後の方向性としては、より付加価値の高いサービスをワンストップで提供するために、各領域の有力プレイヤー同士の連携やM&A等の動きは加速していくものと考えられる。
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【ショートレポートに掲載されているオリジナル情報】Aパターン
不動産テック_市場動向(B to B/領域別)
調査要綱
2.調査対象: 不動産テック事業者等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談、ならびに文献調査併用
<不動産テック市場とは>
不動産テックとは、「不動産(Real Estate)」と「技術(Technology)」を掛け合わせた造語であり、ICT(情報通信技術)を活用することで、物件探しや不動産仲介、物件利用(シェアリング)などのサービス領域において消費者に新たなサービスを提供したり、事業者に対して業務上の不便を解消するなど、不動産業界あるいは不動産業務に関する課題の解決に資するような利便性の高いプロダクトやサービスの総称である。
本調査における不動産テックは、消費者に対するB to C領域として、①物件探し等のメディア、②マッチングサービス、③設計・施工サービス、④住宅ローン、⑤クラウドファンディング(不動産型)、⑥物件利用(シェアリング)仲介を対象としている。
また、事業者に対するB to B領域として、⑦マッチングサービス、⑧不動産情報提供サービス、⑨不動産仲介・管理業務支援/価格査定系、⑩VR(仮想現実)・AR(拡張現実)技術を活用した支援サービス、⑪IoT(クラウド型監視カメラ/画像解析/スマートロック)を対象とする。
なお、B to C領域の市場規模には④住宅ローンを、B to B領域の市場規模には⑦マッチングサービス、⑪IoT(スマートロック)を除くものとする。
<市場に含まれる商品・サービス>
<B to C領域サービス>メディア/マッチング/設計・施工/住宅ローン/クラウドファンディング/シェアリング <B to B領域サービス>マッチング/不動産情報/不動産仲介・管理業務支援・価格査定/VR・AR/IoT(クラウド型監視カメラ/画像解析/スマートロック)
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