プレスリリース
No.3241
2023/05/29
診断・診療支援AIシステム市場に関する調査を実施(2023年)

医療分野でのAI利活用は黎明期から普及期にシフトしつつあり、AI搭載型の医療機器の増加とともにAIアプリケーションの多様化が見込まれる
~2027年の国内診断・診療支援AIシステム市場規模は165億円に拡大を予測~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内のMedTech動向を調査し、関連する各医療機器の普及動向、参入企業の事業展開、今後の方向性などを明らかにした。
ここでは、診断・診療支援AIシステムの市場予測について、公表する。

診断・診療支援AIシステム市場規模予測
診断・診療支援AIシステム市場規模予測

1.市場概況

 「MedTech(Medical×Technology・メドテック)」は、診療・診断・治療支援領域などの医療分野においてAI、IoT、XR(VR:仮想現実、AR:拡張現実、MR:複合現実)、5G、4K/8Kなどの最新技術を活用し、新たな価値を提供する製品やサービスを指す。医療分野以外でも様々な産業や業種で、同様なトレンドがX-Tech(クロステックまたはエックステック)として、進展している。

医療分野では、すでに診断支援AIシステムや手術支援ロボット、8K内視鏡手術システムなどの最新技術を活用した製品開発が進み、一部の医療機関で実際に利用されている。創薬においても、2020年には創薬スタートアップ企業等がAIを活用して導出した薬剤の臨床試験が開始された。医療分野においてデジタル技術の活用は不可欠であり、今後の医療の在り方を大きく変革することが期待される。

2.注目トピック

医療分野でのAI利活用は黎明期から普及期にシフトしつつある

日本では、特に医用画像を用いた画像診断の分野でのAI利用が活発であり、内視鏡画像診断支援AIシステムが初めて薬事承認を取得したことを皮切りに、製品・サービスの上市が進められており、2023年2月時点で放射線画像分野を中心に30品目以上のAIを利用した医療機器が薬事承認・認証を取得している。

また、AI製品・サービスを取りまとめる医療AIプラットフォームの構築も進んでおり、デジタル技術を活用した医用画像機器には、国策として医療公的データベースの構築などデジタル基盤の整備が進展している。
規制面でも、AIを利用した医療機器に対する枠組み構築に向けた動きがみられ、新型コロナウイルス感染対策としてAI製品の早期承認や、IDATEN(医療機器の特性に応じた変更計画の事前確認)制度の導入、DASH for SaMD(プログラム医療機器実用化促進パッケージ戦略)の策定などが行われている。これらの動きにより、医療分野でのAIやデジタル技術の活用が今後ますます加速することが期待される。

3.将来展望

医療現場におけるAIの活用は拡大しており、診断支援AIシステムおよび診療支援AIシステム市場は黎明期から普及期にシフトしつつある。
2022年度の診療報酬改定により、「プログラム医療機器等医学管理加算」の新設、「画像診断管理加算3」の施設要件としてAI活用が追加されるなど政策面での追い風もみられ、同時に社会的にもデジタル治療への機運が高まっている。さらに政府主導で、医療機器プログラムにおける開発期間の短縮を目指し、制度改革が積極的に進められていることも市場拡大の要因になると考える。

診断・診療支援AIシステムの今後の方向性として、医療機関の課題解決型AIとしての利用や、各種の診療・医療データを統合的に管理・解析することで新たな知見を見出すAI等の開発が見込まれ、ターゲットとなる疾患や診療科が拡大・多様化するとみられる。特にAI技術は、DTx(デジタルセラピューティクス)※のようなデジタル治療との相性が良く、すでに海外ではそのような事例もみられており、国内でも新たな治療法の開発が期待される。さらに画像、音声、テキストなどを生成するAI(生成系AI)が注目を集めている。すでに研究段階であるものの医用画像の生成、患者への医療情報の提供などの取り組みが進められており、新たなソリューションの開発が見込まれる。
このように、将来的にはAI搭載型の医療機器製品数の増加とともに、AIアプリケーションの多様化が見込まれ、2027年の診断・診療支援AIシステム市場規模(事業者売上高ベース)は165億円に拡大すると予測する。

※参考資料:「デジタルセラピューティクス(DTx)の普及動向調査を実施(2022年)」2023年1月12日発表
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3160

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Aパターン
  • セグメント別の動向
  •  診断支援AIシステム
     診療支援AIシステム
     AIを活用した創薬支援サービス
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  •  米国でのAI医療機器の開発動向
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    調査要綱

    1.調査期間: 2023年1月~2023年3月
    2.調査対象: 医療機器メーカー、医療IT関連企業、製薬企業、その他関連企業
    3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、ならびに文献調査併用

    <MedTech(メドテック)市場とは>

    MedTech(Medical×Technology・メドテック)とは、診療・診断・治療支援領域などの医療分野に対して、AI(人工知能)、IoT、XR(VR、AR、MR)、5G(第5世代移動通信システム)、4K/8Kなどの最新技術を取り込み、新たな価値を提供する製品やサービス、またはその取り組みである。今後、医療分野においてもAIをはじめとするデジタル技術の活用は不可欠であり、これまでの医療の在り方から大きく変革することが期待されている。

    本調査では、特に近年社会実装が進みつつある、AI等を搭載した診断支援システムと診療支援システムのソフトウェアを対象として、市場規模を算出した。

    <市場に含まれる商品・サービス>

    AI等を搭載した診断支援システム、AI等を搭載した診療支援システム、AI 等を活用した創薬支援サービス、XR(VR、AR、MR)を使った医療機器、医療AIプラットフォーム

    出典資料について

    資料名
    発刊日
    2023年03月07日
    体裁
    A4 245ページ
    価格(税込)
    165,000円 (本体価格 150,000円)

    お問い合わせ先

    部署
    マーケティング本部 広報チーム
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