プレスリリース
No.3173
2023/01/24
国内有力企業(異業種参入企業)の農業ビジネスに関する調査を実施(2022年)

2021年度の国内有力企業(異業種参入企業)の農業ビジネス市場規模は、前年度比114.9%の1,043億9,800万円に拡大
​~企業主導による農業が活発化~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内有力企業(異業種参入企業)における農業ビジネス参入動向を調査し、市場規模、参入企業動向、将来展望を明らかにした。
国内有力企業(異業種参入企業)の農業ビジネス市場規模推移
国内有力企業(異業種参入企業)の農業ビジネス市場規模推移

1.市場概況

国内有力企業(異業種参入企業)における2021年度の農業ビジネス市場規模は1,043億9,800万円と推計した。内訳は農地所有適格法人(農業生産法人)が125億8,400万円、農地リース (一般法人)が377 億 5,300万円、完全人工光型植物工場が223 億円、太陽光・人工光併用型植物工場が19億500万円、太陽光利用型栽培施設が298億5,600万円である。

近年、農業を取り巻く環境は厳しく、国内では農業従事者の高齢化、農業就業人口の減少、耕作放棄地増加が問題となっている。また、世界的な食料危機や気候変動下における生産作物への影響、貿易自由化促進などが国内農業に及ぼす影響も懸念されている。

​こうしたなか、食の外部化の進展に伴う中食等の業務用需要の増加、また食糧自給率の向上、気候変動下における食糧生産、政府による農業の6次産業化・輸出促進による成長戦略の推進もあり、植物工場や施設園芸などの農業ビジネスに対する企業の関心の高まりは継続している。

2.注目トピック

増え続ける異業種企業の農業参入

2009年12月15日に改正農地法が施行され、農業生産法人以外の一般法人についても、賃借 (リース)であれば、農地を適正に利用するなど一定の要件を満たす場合には、全国どこでも参入可能となるなど、新規参入の規制が大幅に緩和された。こうした規制緩和を受け、農地所有適格法人(農業生産法人)だけでなく、一般法人による農業ビジネス参入事例も大幅に増加してきている。

農林水産省のデータ※によると、農地法改正以前の2003年4月から2009年12月までの約6年半の間に参入した法人数は427法人、一方2009年12月から2016年12月末までの約7年で、新たに2,249法人が参入しており、2009年の改正農地法以降、一般法人の新規参入は改正前に比べて着実に増加している。農地を利用して農業経営を行う一般法人数は2020年12月末現在で 3,867法人となっている。

​一般法人の農業参入(3,867法人)を営農作物別にみると、野菜は1,369法人で35%、複合が777法人で20%、米麦等が703法人で18%、果樹が521法人で13%などという状況である。 

※農林水産省「リース法人の農業への参入状況」(令和2年12月末発表)

3.将来展望

国内有力企業(異業種参入企業)における2022年度の農業ビジネス市場規模は1,155億5,500万円と予測する。 農地活用型農業ビジネス(一般法人・農地所有適格法人)は農地法改正など規制緩和により、異業種企業における農業参入の意欲は衰えておらず、引き続き増加基調で推移していくものとみる。また、施設栽培型農業ビジネス(完全人工光型/太陽光・人工光併用型植物工場/太陽光利用型栽培施設)については、高度環境制御の精度に関する技術的確立を背景として、近年、大型植物工場の稼働が始まっている。天候不順が続く中、足元の商いではレタスを中心に普及が拡大している。小売企業や中食ベンダー等、実需者の計画的な安定調達ニーズを捉えている。今後、イチゴのほか遺伝子組換え植物、生薬植物、さらに低カリウムレタスの機能性野菜市場などラインナップを拡充しながら業績全体を押し上げていくものとみる。こうしたなか、国内有力企業(異業種参入企業)における2027年度の農業ビジネス市場規模は1,637億5,100万円まで拡大すると予測する。

オリジナル情報が掲載された ショートレポート を1,000円でご利用いただけます!

【ショートレポートに掲載されているオリジナル情報】
Aパターン
  • セグメント別の動向
  •  ~農業ビジネスとは~
     ~施設栽培型農業ビジネスの現状~
  • 注目トピックの追加情報
  •  ~みどりの食料システム戦略策定の下、拡大が見込まれるオーガニック農産物~
  • 将来展望の追加情報

  • 以下の 利用方法を確認する ボタン↓から詳細をご確認ください

    調査要綱

    1.調査期間: 2022年4月~8月
    2.調査対象: 農業ビジネス(農産物の生産・販売)に参入している国内有力企業(異業種参入企業)、国内関連諸機関等
    3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談、電子メール、及び電話アンケート調査、ならびに文献調査併用

    <国内有力企業(異業種参入企業)の農業ビジネス市場とは>

    農業ビジネスには明確な定義はないが、一般的には農作物の生産分野、流通分野、またICT を活用した関連分野まで幅広い事業領域をさす。本調査における「農業ビジネス」とは、従来農業とは関連のない異業種から参入している国内有力企業における農産物の生産と販売に着目し、対象分野は、一般法人と農地所有適格法人による、農地利用型農業ビジネス、及び施設栽培型農業ビジネスである植物工場・栽培施設(完全人工光型/太陽光・人工光併用型/太陽光利用型)とする(農家の法人成り事業は除く)。また、市場規模は異業種から参入している国内有力企業の農業事業売上高ベースで算出している。 

    <市場に含まれる商品・サービス>

    農地利用型農業ビジネス(農業生産法人タイプ/一般法人農地リースタイプ)、施設栽培型農業ビジネス(完全人工光型/太陽光・人工光併用型/太陽光利用型)

    出典資料について

    資料名
    発刊日
    2022年09月07日
    体裁
    A4 459ページ
    価格(税込)
    176,000円 (本体価格 160,000円)

    お問い合わせ先

    部署
    マーケティング本部 広報チーム
    住所
    〒164-8620 東京都中野区本町2-46-2
    電話番号
    03-5371-6912
    メールアドレス
    press@yano.co.jp
    ©2023 Yano Research Institute Ltd. All Rights Reserved.
      本資料における著作権やその他本資料にかかる一切の権利は、株式会社矢野経済研究所に帰属します。
      報道目的以外での引用・転載については上記広報チームまでお問い合わせください。
      利用目的によっては事前に文章内容を確認させていただく場合がございます。