TwitterとFacebookの価値をあれこれ比較②
~首都圏、近畿圏在住の15歳から34歳男女1,744人が感じているSNSの価値~

矢野経済研究所 未来企画室「未来を数字に」プロジェクトでは、利用者が多く代表的なSNSであるTwitter、Facebook利用を対象に、個人情報の流通利用に関する若者の意識について調査・分析しましたので、その結果をお知らせいたします。
今回、お知らせする調査分析内容は、自分自身の個人情報について、①情報種別に流通利用させることへの意識、②流通利用させることに対して求めたい対価の2つです。



まずは「①情報種別に流通利用させることへの意識」です。
これは、予め設定した示した個人情報9項目それぞれについての、流通利用させることについての意識を確認するもので、以下の3つの選択肢の中からより近いものを選んでもらいました。
(もちろん、匿名化処理を前提、個人が特定されないことを条件とした流通利用についての意識を確認しています。)

1.いかなる場合でも流通を許可しない(以下、「流通利用NO」と略す)
2.納得できる利用目的ならば流通を許可(以下、「利用目的次第」と略す)
3.適正な対価と引き換えならば流通を許可(以下、「対価と引き換え」と略す)

また個人情報項目とは、”プロフィール登録内容””閲覧履歴””位置情報(GPS情報など)”などです。
その結果、個人の特定につながりやすそうな個人情報項目において、心理的抵抗が強いことが確認されました。
さらに、リコメンド機能の拡張につながりそうな個人情報項目についても心理的抵抗が高くなっていました。
これをもう少し詳しく見ると、全体傾向として「対価と引き換え」の割合は、個人情報項目ごとの差が小さく、おおむね15-20%のレンジとなっていました。

この数値を小さいとみるか、既にこれだけの人がいるとみるかは難しいところですが、今後、このウェイトが大きくなっていく可能性は大きいと考えます。

そして残る80-85%を「流通利用NO」「利用目的次第」で二分、その大小は個人情報項目別に差がありました。
すなわち、個人の特定につながりやすそうな”位置情報(GPS情報など)”や”プロフィール登録内容”、あるいはリコメンド機能の拡張につながりやすそうな”閲覧履歴””検索履歴”などは半数前後が「流通利用NO」としていました。残る項目についての「流通利用NO」は30%台が大半で、比較的「利用目的次第」で判断されやすい個人情報と言えます。
 



性別、年齢区分別、居住地別などの基本属性別の違いとしては、個人情報項目によって多少の違いはありますが、総じて男性より女性の方が「流通利用NO」の割合が高くなっています。

最も男女差が大きかったのは、”位置情報(GPS情報など)”で、男性42.5%、女性はなんと64.2%と過半数の方が「流通利用NO」としていました。
やはり個人の特定の中でもリアルな生活につながるイメージが強い位置情報(GPS情報)への抵抗感は、相当大きいものがあるようです。

年齢区分別で明らかに違いがあると確認できた個人情報項目は、”プロフィール登録内容”、”テキスト投稿内容”などです。
うち”プロフィール登録内容”については、24歳以下(15歳以上)と25歳以上(34歳以下)で抵抗感に差がみられました。
また、”写真動画投稿内容”については、4つの年齢階層において上に行くほど徐々に抵抗感が高まる傾向にありました。

次に「②流通利用させることに対して求めたい対価」です。

こちらは、「①情報種別に流通利用させることへの意識」で9種の個人情報項目のうち1つでも「対価と引き換え」を選択された方を対象に、Twitter、Facebookそれぞれについて調査、分析を実施しました。(集計分析時には、いわゆる外れ値について、第一四分位値及び第三四分位値のそれぞれ1.5倍の値を下限、上限として除いています。)

その結果、全体平均としてTwitter利用における自分自身の個人情報流通利用で求める対価は30,924円/年、その誤差(標準誤差)はプラスマイナス2,460円/年でした。この平均額を月額換算すると大よそ2,500円になります。
またFacebookについては、29,224円/年、その誤差(標準誤差)はプラスマイナス2,488円/年でした。この平均額を月額換算すると大よそ2,450円になります。
平均値はTwitter<Facebookとなっていますが、誤差を勘案すると、この違いはないに等しいと考えられます。
すなわちTwitterもFacebookも、いずれの場合も平均2,500円/月程度となっていました。

一見すると少々高額なイメージですが、一人の個人情報を複数社によって利用&負担するような仕組みが構築されたなら、対応できる要求水準と考えます。
 

さらにこれを基本属性別にみると、年齢区分別での違いが確認できました。
傾向として、15-19歳、20-24歳という25歳未満と、25-29歳、30-34歳という25歳以上で、その求める金額に割と大きな開きが確認できました。

Twitterの場合の前者の平均は27,150円/年、後者の平均は39,409円/年で大よそ1.5倍の差が、Facebookの場合はそれぞれ24,016円/年、37,939円/年で1.6倍の差がありました。
この結果は、それぞれの年齢層における金銭価値に対する認識の差が大きく影響していることは容易に想像できます。

参考までに、性別ではTwitterでやや男性>女性、Facebookで男性<女性となっていました。また居住地別では、いずれも首都圏<近畿圏となっていました。
ただし、これらの差は小さく概ね誤差の範囲程度であり、統計的にも有意差があるとは確認されませんでした。

最後になりますが、この内容は、これから個人情報の流通の一翼を担うであろう情報銀行のビジネスモデルに関連しています。
今後どのような形で情報銀行の利用が広がっていくかまだわかりませんが、この調査結果が、少しでもその発展に寄与することを目的にお知らせを行うものです。

さらに今回はTwitter、Facebookに関する内容でしたが、引き続き、他のSNSやWEBサービスなどに関する個人情報の流通利用についても調査・分析を行い、近い将来お知らせしていく予定です。

■本調査の概要
 
調査の対象;首都圏(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県)、近畿圏(京都府、大阪府、兵庫県、奈良県)に在住の15歳~34歳の男女
調査の件数;サンプリングサイズは1744標本
調査の方法;インターネット調査
調査の時期;2019年3月25日~28日
 
■本件調査結果に関するお問い合わせ先
 
株式会社矢野経済研究所 未来企画室
 Email :mirai@yano.co.jp
 
<未来企画室とは>
 
2012年、社長直轄の新規事業開発チームとして活動をスタート。〝顧客の未来を創造する〟をコンセプトに、市場調査会社の枠を越えた新たなビジネス・ソリューションの開発に挑み続けています。
 
そして今春、『未来を数字に』をコンセプトに、新たなプロジェクトを始動。今はまだ数値化されていない未来の価値や潜在価値などを、あれこれ数字で表現していきます。
 
今回はそのプロジェクト内容の一部をお知らせするものです。(詳細な結果は、上記のTwitterやFacebook、あるいはnoteアカウントで順次公開していますのでそちらもご覧ください。)