2030年の国内観光市場規模は2024年比20.5%増の40兆600億円を予測
1.市場概況
国内観光市場規模(日本人国内旅行消費額と訪日外国人旅行消費額の合計)は、観光庁のデータをもとに試算すると、2024年(速報値)で33兆2,570億円(前年比22.2%増)と2015年以降で過去最高値となった。
国内観光産業は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により2020年および2021年に大きな打撃を受けたが、新型コロナウイルス禍の影響が緩和された2022年以降は順調な回復基調にある。観光庁のデータによると、特に新型コロナウイルス禍後は、訪日外国人旅行者数の増加ペースが日本人旅行者を大きく上回っており、訪日外国人旅行者(インバウンド)は一人当たりの支出額が高いことから、国内旅行消費額に占める訪日外国人旅行消費額比率は急速に高まっている。訪日外国人旅行者(インバウンド)の増加は、円安効果が追い風となっているほか、為替水準にかかわらず日本が観光目的地として選択されているとの見方もある。
2.注目トピック
訪日外国人旅行者(インバウンド)需要の上乗せにより市場が拡大
観光庁のデータによると、2024年の日本人国内旅行消費額(速報値)は前年比14.6%増の25兆円と前年から大きく増加した。新型コロナウイルス禍前と比較して旅行者数は増えていないものの、各種商品やサービス価格の上昇が寄与して市場規模は拡大している。単価上昇の背景には人件費や原材料費の上昇といった要因が大きいが、今後も旅行・観光関連の事業者にとっては更に付加価値を高めたサービスや商品を提供することで、単価上昇を図る傾向にあるものと考える。
しかし、日本人の人口減少および少子高齢化が進むなか、国内旅行者数は中長期的に緩やかな減少を辿ると言わざるを得ない。また、単価上昇にも限界があるものとみる。したがって、今後の市場拡大は訪日外国人旅行者(インバウンド)需要による上乗せによるところが大きくなると考える。観光庁のデータによると、2024年の訪日外国人旅行消費額は速報値で約8兆円、前年比で50%増と大幅に増加している。
2025年は、「大阪・関西万博」や「瀬戸内国際芸術祭」といった訪日外国人旅行者(インバウンド)を呼び込める大型イベントの開催や中国などの近隣諸国からの訪日客の回復などにより、引き続き訪日外国人旅行者(インバウンド)は右肩上がりで増加することが見込まれる。さらには、神戸空港への国際チャーター便の就航や成田空港新滑走路の整備などにより日本発着の国際線も増加していくとみられ、2025年以降も訪日客数は増加傾向が続くと考える。日本の観光市場に対する訪日外国人旅行者(インバウンド)需要の影響力は一層強まるとみる。
3.将来展望
2025年の国内観光市場規模(日本人国内旅行消費額と訪日外国人旅行消費額の合計)は前年比9.3%増の36兆3,500億円、2030年では40兆600億円(2024年比20.5%増)と40兆円台に達すると予測する。
日本人国内旅行については、2025年は前年比4.5%増の26兆2,500億円、その後はほぼ横ばいで推移し、2030年には26兆2,800億円(2024年比4.6%増)になると予測する。日本人国内旅行者数は2025 年以降微減を辿るとみる。2030年までは旅行・観光分野によって増減傾向が異なるものの、市場全体としてはほぼ横ばいになるものと考える。
一方、訪日外国人旅行消費額については、2025年に前年比24.1%増の10兆1,000億円となって以降も堅調に推移し、2030年には13兆7,800億円に達すると予測する。国が目標とする2030年の訪日旅行消費額15兆円には届かないものの、日本人国内旅行消費額の半数以上にまで拡大し、2030年の国内観光市場規模(日本人国内旅行消費額と訪日外国人旅行消費額の合計)40兆円超(予測値)に大きく貢献するものと考える。
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【ショートレポートに掲載されているオリジナル情報】Aパターン
ショッピング市場の動向
国籍別のインバウンド消費動向
調査要綱
2.調査対象: 旅行事業者、宿泊施設運営事業者、交通事業者、飲食事業者、体験サービス提供事業者、 小売事業者等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)ならびに文献調査併用
<観光市場とは>
本調査における観光市場とは、日本国内における日本人国内旅行及び訪日外国人観光客(インバウンド)における旅行・観光関連の消費額をさし、市場規模は日本人国内旅行消費額と訪日外国人旅行消費額の合計で算出している。
なお、日本人国内旅行消費額は観光庁「旅行・観光消費動向調査」※1と同定義とし、2015年から2024年速報値までは同調査データから引用している。また訪日外国人旅行消費額は観光庁「インバウンド消費動向調査」※2と同定義とし、2015年から2024年速報値(2020年から2022年は試算値)までは同調査データから引用している。2025年以降は矢野経済研究所の予測値である。
なお、2025年以降の予測値を算出するにあたっては以下を前提要件としている。
・極端な円高又は円安には振れず、為替は2030年まで1ドル140円前後を推移する
・近隣諸国との関係は良好に維持される
・国内消費者物価上昇率は2025年は2.5%、2026年~2030年までは2%で推移すると仮定
・国内実質賃金は、2030年までは2024年の状況と大きく変わらないと仮定
※1. 出典:観光庁「旅行・観光消費動向調査」
(https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001864689.pdf)
※2. 出典:観光庁「インバウンド消費動向調査」
(https://www.mlit.go.jp/kankocho/tokei_hakusyo/gaikokujinshohidoko.html)
<市場に含まれる商品・サービス>
旅行(ツアー)・宿泊・交通・飲食・体験サービス・ショッピング(小売)
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