2024年度の主要6分野の住宅向け建材市場は前年度比99.9%の1兆5,510億円と推計
~価格改定の浸透や高付加価値化、住宅の高性能化に寄与する建材は堅調に推移~
1.市場概況
2024年度の主要6分野の住宅建材市場(建築仕上材料等を主とし、構造材・住宅設備機器・植栽等を除く)は、メーカー出荷金額ベースで前年度比99.9%の1兆5,510億円と推計した。
2024年度は新設住宅着工戸数(国土交通省)は増加となったが、2025年4月の建築基準法改正による審査厳格化に先駆けた年度末の駆け込み申請需要が大きく、2024年度を通じて住宅建材市場は伸び悩んだ。一方で、価格改定の浸透や高付加価値化、さらには断熱材や樹脂サッシ、複層ガラスなど住宅の高性能化に寄与する建材は堅調に推移しており、市場全体としてほぼ横ばいとなった。
2.注目トピック
住宅建材市場における環境への取組み
住宅用建材の環境への取組みについては、製造段階を含むライフサイクル全体の脱炭素化の動きが加速している。
建材の製造時における省エネ化や再生可能エネルギー活用、リサイクル材や扱いづらく行き場のなかった未利用材活用、産業廃棄物広域認定制度によるリサイクル材・未利用材の回収スキームの整備・活用、建材製品へのCO2固定化などの技術実装が進められている。また、これらの活動に対する第三者認証として、科学的根拠に基づく企業の温室効果ガス削減目標認定制度であるSBT(Science Based Targets)認証や、製品の原材料の調達から廃棄までの環境負荷を評価し定量開示するEPD(Environmental Product Declaration)認証の取得なども積極的に進められている。
3.将来展望
2025年度の主要6分野の住宅建材市場は、前年度比99.9%の1兆5,490億円と見込み、2030年度の同市場は2024年度比98.1%の1兆5,220億円と予測する。
住宅建材、ひいては住宅・建築市場において最も影響するのは人口や世帯数の動向であり、今後の人口・世帯数の減少予測(国立社会保障・人口問題研究所)を考慮すると、住宅・建築市場および住宅建材市場は全体として漸減傾向で推移する見込みである。
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窯業系建材
調査要綱
2.調査対象: 国内主要住宅建材メーカー
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、アンケート調査、ならびに文献調査併用
<住宅建材市場とは>
本調査における住宅建材市場とは、①木質系、②窯業系、③金属系、④プラスチック系、⑤断熱材、⑥インテリアの主要6分野の住宅向け建材を対象とする。
建築仕上材料等を主とし、構造材・住宅設備機器・植栽等を除く。住宅向け(新築及び既築)を対象とするが、一部非住宅向け建材が含まれる。
対象製品の詳細は以下の通り
①木質系:複合フローリング、木質住機
②窯業系:石膏ボード、窯業系サイディング、ALC、タイル、セメント系瓦
③金属系:アルミサッシ、シャッター、金属サイディング、金属屋根、玄関ドア
④プラスチック系:塩ビ系床材、樹脂サッシ
⑤断熱材:グラスウール、ロックウール
⑥インテリア:壁紙、じゅうたん・カーペット、カーテン、ブラインド・スクリーン
<市場に含まれる商品・サービス>
①木質系建材市場、②窯業系建材市場、③金属系建材市場、④プラスチック系建材市場、⑤断熱材市場、⑥インテリア市場
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