プレスリリース
No.3965
2025/11/20
ワイヤレス給電世界市場に関する調査を実施(2025年)

ワイヤレス給電市場は非放射型の給電システムを中心として成長しており、2025年のワイヤレス給電(非放射型、空間伝送型の送受電モジュール・機器)世界市場は6,269億円規模の見込み

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、2025年のワイヤレス給電市場を調査し、分野(アプリケーション)別の製品動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。
分野別ワイヤレス給電(非放射型・空間伝送型)世界市場規模推移と予測
分野別ワイヤレス給電(非放射型・空間伝送型)世界市場規模推移と予測

1.市場概況

ワイヤレス給電市場は非放射型の給電システムを中心として成長しており、2025年のワイヤレス給電[非放射型、空間伝送型(放射型)の送受電モジュール・機器]世界市場規模は、事業者売上高ベースで約6,269億円を見込む。

非放射型のワイヤレス給電は、小型電子機器向けが市場をけん引しており、AGV(Automated Guided Vehicle)・AMR(Autonomous Mobile Robot)等の無人搬送車を中心とする産業機器や家電、小型モビリティ分野での採用も増えている。一番期待されているEV(電気自動車)向けのワイヤレス給電は、停車中給電は2030年前後、走行中給電は2035年前後から本格的な社会実装と普及が始まると予測する。
一方、空間伝送型のワイヤレス給電は一部用途に限定されるものの、2022年に日本で法規制が変わり2023年から関連企業のテスト出荷を経て、2025年時点ではFA・物流やビルマネジメント向け送受電モジュール・機器の量産化が一部メーカーで行われるなど市場が動き始めている。

2.注目トピック

国内外ともに普及の初期段階では商用車での採用が先行する見込み

現在、EV向けワイヤレス給電システムに関しては研究開発または実証実験が主に実施されており、本格的な販売には至っていない。2024年のEV向けワイヤレス給電世界市場規模は約49億円に留まっている。
特に車種の多い乗用車では、自動車メーカーの意思決定に大きく左右されるなど大規模な導入は当面難しいとみられる。
一方で、商用車ではEV化が先行しており、ワイヤレス給電もまず業務用車両での導入が進むと予測する。日本国内では、環境省主導で商用車EVとワイヤレス給電を組み合わせたユースケースの検討や実証試験が進められており、普及の初期段階では商用車での採用が先行する可能性が高い。これは海外でも同様の動きをみせている。

3.将来展望

非放射型も空間伝送型も今後、ワイヤレス給電世界市場を拡大させるためには、課題が多い。
現在広く使われている給電方式では給電できる距離が限られ、効率面でも改善の余地がある。また、国際的な規格が複数乱立しているため、機器間の互換性確保は依然として課題となっている。さらに、人体や周辺機器への影響を抑える安全性や、社会インフラとして普及させるための投資、法規制の整備といった現実的な壁も立ちはだかっている。

それでも、ワイヤレス給電が描く未来は明るい。モバイル機器など小型電子機器での完全ケーブルレス化は時間の問題であり、EV分野ではインフラ整備が進めば一気に普及が加速する可能性が高い。都市全体にワイヤレス給電システムが組み込まれ、道路や建物が常に電力を供給する「エネルギーの見えないネットワーク」が形作られる日も来るかもしれない。今、ワイヤレス給電は、モバイル機器から自動車、そして社会インフラへと大きく広がろうとしている。まだ発展途上にある技術ではあるが、私たちの生活や産業のあり方を根本から変える力を秘めており、次の10年で最も注目すべき成長分野の一つであることは間違いないと考える。2035年のワイヤレス給電[非放射型、空間伝送型の送受電モジュール・機器]世界市場規模は、約1兆6,726億円に達するものと予測する。

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Aパターン
  • 注目セグメントの動向
  •  産業機器向けは製造業だけではなく、今後はサービスロボット市場での需要拡大に期待大
     2025年における 小型モビリティは10億円、ドローンは4千万円を見込む
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  •  免許不要の特定小電力型システムの法制度化
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    調査要綱

    1.調査期間: 2025年6月~9月
    2.調査対象: ワイヤレス給電関連企業(非放射型、空間伝送型のメーカー)
    3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、ならびに文献調査併用

    <ワイヤレス給電とは>
    ワイヤレス給電の方式は、大きく非放射型と放射型(空間伝送型)に分けられる。
    非放射型のワイヤレス給電には、磁界エネルギーを介在して給電する電磁誘導方式や磁界共鳴方式、電界エネルギーを介在して給電する電界結合方式があり、放射型より周波数が低い数十kHzから数MHz程度の周波数帯域が割り当てられ、使われている。
    一方、放射型(空間伝送型)は、電磁波エネルギーを介在して給電するマイクロ波方式やレーザー方式があり、近傍領域で給電する非放射型に比べて、数m以上の遠距離での無線給電が可能となる。

    <ワイヤレス給電市場とは>
    ​本調査におけるワイヤレス給電市場は、これらの方式で使用される送電モジュール・機器、受電モジュール・機器を対象として、事業者売上高ベースで算出した。

    <市場に含まれる商品・サービス>

    非放射型と放射型(空間伝送型)に用いられるワイヤレス給電システムの送受電モジュール・機器

    出典資料について

    資料名
    発刊日
    2025年09月29日
    体裁
    A4 143ページ
    価格(税込)
    275,000円 (本体価格 250,000円)

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    マーケティング本部 広報チーム
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