市場調査のポイントやメリットを分かりやすく解説!

市場調査のポイントやメリットを分かりやすく解説

市場調査を行おうとしたとき、「市場調査ってどんな時に行うと意味があるの?」「調査するとしたらどうやって進めて、何に気をつけたらいいの?」などとお悩みではないでしょうか。

一概に市場調査と言っても、やり方は1つではありません。市場調査を成功させるには、目的にあった方法を選べるかどうかが重要になります。

1958年創立の矢野経済研究所が過去に行ってきたノウハウをもとに、
あなたに合った市場調査のやり方と、失敗しないポイントをこのページでお伝えしています。

ぜひ最後までお読みいただき、市場調査を効果的に使っていただければと思います。

市場調査の性質と基本的な目的

市場調査とは何か?

市場調査は、ビジネスや製品の成功に欠かせない情報を集めて分析するプロセスです。
具体的には、顧客のニーズや要望、競合他社の動向、市場のトレンドなどを調査し、それらの情報を基に戦略や意思決定を行います。

例えば貴方が新規事業の担当者になったとします。新しい市場に参入するには、市場規模やニーズを把握し、自社にしか提供できない強みを考え、他社と差別化を図る必要があります。新規事業の成功のカギは、マーケットをどれだけ理解しているかにかかっていると言っても過言ではありません。

市場調査では主に下記をリサーチします。

  1. 市場規模と成長率:
    市場の現在の規模と将来の成長予測を調査します。
    これにより、市場の潜在的な需要や競争状況を把握することができます。
  2. 消費者のニーズと傾向:
    消費者の製品やサービスに対するニーズや傾向を調査します。
    洗剤を例にすると、環境に優しい洗剤やアレルギー対応の洗剤など、特定のニーズに応える商品が求められているかどうかを調べます。
  3. 競合他社の分析:
    業界の競合他社を調査し、彼らの製品ラインナップ、価格戦略、販売チャネルなどを分析します。これにより、自社の競争力や差別化ポイントを見つけることができます。
  4. 流通チャネル:
    製品の販売における主要な流通チャネルを調査します。スーパーマーケット等の小売店や、オンライン販売、テレビショッピングなど、どのチャネルが主要な販売ルートとなっているかを把握します。

以上を調査することで、市場動向や競争状況を把握し、戦略や商品開発に活かすことができます。

市場調査とマーケティングリサーチの違い

違いが分かりにくい市場調査とマーケティングリサーチですが、下記のような意味の違いがあります。

  1. 市場調査:市場動向や市場規模等を調査し、数値やデータから市場が現在までどのように変化しているかを把握することを目的として行います。
  2. マーケティングリサーチ:数値やデータを収集・分析し、市場の現状考察や今後の市場予測を行います。
    市場調査で調べたデータを基にマーケティングリサーチを行うこともあるため、市場調査はマーケティングリサーチに含まれると言えます。
市場調査とマーケティングリサーチの違い

市場調査の種類と方法

市場調査の基本的なやり方・方法

市場調査にはいくつかの調査方法があります。その中で代表的な調査手法を紹介します。製品や サービスの課題や戦略に応じて調査方法を決定します。
プロセスを事前に把握しておくことで、実際の調査を円滑に進めることができます。

定性調査

数値では表すことのできない「意見」「感想」「認識」を言葉で拾い出す調査のことです。
おもに課題の発見や、仮説の立案を目的に行います。

対面インタビュー調査

対面インタビュー調査

特定条件を満たす調査対象者とリサーチャーが、1対1で直接面談する形式の調査
  • アンケート調査などでは得られない、より詳細で掘り下げた内容の回答が得られる
  • 製品そのものやコンセプト等を示し、調査対象者の意見を聞くことも可能
  • コストは比較的高め

グループインタビュー調査

グループインタビュー調査

ある一定の属性を持つ調査モニター5~7名に対して実施するインタビュー調査(1グループ2時間程度)
  • 答えてほしい対象者を特定できる
  • 商品の試作機やCM、チラシなどの広告物、商品自体などを提示することも可能
  • 1人の発言がきっかけとなって、他の対象者の連鎖的な発言が生まれる
  • 事前に想定していなかった調査課題の抽出や発見ができる場合もある

電話インタビュー調査

電話インタビュー調査

ある一定の属性を持つ調査モニターに対し、オペレーターが電話をかけて実施するアンケート調査
  • 比較的短期間、低コストで調査を実施できる
  • 定性調査、定量調査のいずれも対応可能
  • 回答に時間のかかる内容の調査には適さない

定量調査

商品やサービスの購入・リピート率や、商品やサービス・企業の認知度等のデータで数値が明確に表すことのできる調査のことです。おもに仮説の検証や現状を把握するために行います。

インターネットモニター調査

インターネットモニター調査

ある一定の属性を持つ調査モニターに対し、Webサイト上で実施するアンケート調査
  • 調査結果をスピーディーに入手できる
  • 希少サンプルのデータを採取できる(例:50歳以上の男性でアウトドアレジャー愛好者、○○ブランド製品を所有する関西在住の20~35歳女性など)
  • 低コストかつ効率的な市場調査が可能(単価:郵送調査の1/3程度)

電話アンケート調査

電話アンケート調査

ある一定の属性を持つ調査モニターに対し、オペレーターが電話をかけて実施するアンケート調査
  • 比較的短期間、低コストで調査を実施できる
  • 定性調査、定量調査のいずれも対応可能
  • 回答に時間のかかる内容の調査には適さない

郵送アンケート調査

郵送アンケート調査

ある一定の属性を持つ調査モニターに対し、定型の質問項目が記載されたアンケート用紙を郵送・回収する調査
  • 判断に時間のかかる内容や、複数の担当者にわたる調査項目について、調べることができる
  • 調査に時間がかかる
  • 回収率が低い(※ただし、電話などの併用により回収率アップは期待できる)

これらはあくまでも一例であり、矢野経済研究所では他にも様々な調査を行うことが可能です。

具体的な調査手法や費用などを知りたい方はこちら

オーダーメイド調査  事例集

市場調査を成功させるための4つのポイント・注意点

市場調査を成功させるための4つのポイント・注意点

①何のために市場調査を行うか明確化する

①何のために市場調査を行うか明確化する

市場調査を行う前に調査目的を明確にしておくことが大切です。
調査目的を「○○市場の全体像」のような抽象的な目的ではなく、「新商品○○のニーズ調査」や「○○製品の競合調査」などの調査目的を具体的にしておくことが重要です。

目的を基に調査の企画や設計を立て、調査結果をもとにデータの分析や意思決定を行います。
目的が曖昧なままだと、必要な調査データとズレた市場調査を行ってしまう恐れがあります。
市場調査を「どうして行うのか」「どのようなことに活用するのか」を実施する前に時間をかけて考えましょう。

②調査前に仮説を立てる

②調査前に仮説を立てる

市場調査を行う前に、「このような結果になるのではないか」という仮説を立てることも重要です。
仮説を立てるには、自社商品やサービスへの知識、ユーザーや市場等についての理解が十分でないと立てることができません。
仮説を立て、仮説が正しいかどうか検証するために市場調査を行うと、調査結果が出た後に意思決定がスムーズに行えます。

また、仮説に基づいて調査を実施すれば、調査対象を絞り込んでいるため、広範囲に調査するより効率よく結論に辿りつけるでしょう。

ビジネスの現場における仮説は、下記の2種類に分けられます。

1.現状仮説

現状仮説とは、「マーケットやユーザーの現状がこのようになっているのではないか」という現在の状況について推測することです。
実態を把握することによって、どのような人にどのような質問をすれば良いかが明らかになります。

2.実行仮説(戦略推定)

実行仮説とは、「このようなことを実施すればうまくいくのではないか」というビジネスを展開するための実行戦略を立てることです。課題解決やニーズに応える仮説を立て、実行に移します。

仮説をもとに市場調査を行うことによって、調査結果の分析もしやすくなります。市場調査会社に調査依頼をする際も、仮説を立てておけば調査の方向性が示しやすく、打ち合わせも円滑に行うことができます。

③適切な市場調査の方法を決める

③適切な市場調査の方法を決める

仮説を立てたら、具体的な調査方法を決定します。
市場調査の種類と方法」で述べたように、市場調査の調査方法には「定量調査」「定性調査」の大きく2種類が存在します。定量調査ではデータで数値を明確に表すことのできる調査、定性調査では数値では表すことのできない言葉で拾い出す調査を行うことができます。どのような調査が適切か検討し調査方法を決定します。

④予算と調査期間、調査範囲・深さを事前に検討する

④予算と調査期間、調査範囲・深さを事前に検討する

予め市場調査にかかる予算や調査期間、調査範囲を考えておくことも、市場調査の準備において大切なプロセスです。市場調査は範囲や深さによって必要な予算や期間が大きく変わります。

例えば、自社のメルマガに登録している人に対してアンケート調査を実施するだけであれば、回答者に対してクーポン等の謝礼費用を考えておけば問題ありません。

しかし、「週に5回以上コンビニでスイーツを購入している消費者」や「会計システムと経費精算システムの両方を使用している会社員」のようなユーザーを指定してアンケート調査を行いたい場合、調査会社に依頼することを考えるでしょう。その場合、事前に予算や調査期間を考慮しておくことが重要です。

市場調査会社に調査依頼をする場合は、調査の打ち合わせや見積書の作成を依頼し、費用対効果が見込めるか見極める必要があります。

市場調査の事例、フロー

市場調査の事例

矢野経済研究所では、企業の課題に対して様々な調査を行うことで、ユーザーのニーズや市場の動向を把握し、事業戦略のサポートをしています。

事例1:新商品投入先市場の実態把握調査

解決したい課題

  • 新規参入を検討している業界の潜在的な需要や、需要動向を把握したい
  • 新規に開発した技術(商品)が市場に受け入れられるか確認したい
  • 新規参入を検討している業界の販路を確立したい

調査内容

  • 業界動向調査 … 参入企業・市場規模・企業占有率・展望等
  • ユーザー調査 … 技術(商品)に関する採用意向・評価等
  • 販路状況調査 … チャネル構成・主要代理店・主要ユーザー等
  • 先行企業の動向調査 … 販売動向・企業占有率・展望等
事例1:新商品投入先市場の実態把握調査

事例2:既存市場での自社ポジショニング把握

解決したい課題

  • データのない自社の参入市場の規模と自社のシェアを知りたい
  • 今後の市場の見通しを予測したい
  • 競合の戦略を把握し、先手を打つ自社の戦略を立案したい

調査内容

  • 競合企業の動向把握調査 … 業績推移、事業戦略、市場展望等
  • チャネル動向調査 … チャネル企業の評価、ブランド間評価、競合製品採用動向等
  • マクロ環境調査 … 政治、経済、社会、技術動向等
  • ユーザー動向調査 … 当該製品の需要動向、ブランド間比較、競合製品の利用意向等
事例2:既存市場での自社ポジショニング把握

事例3:エンドユーザー評価調査(BtoC、BtoB)

解決したい課題

  • 開発商品(技術)がエンドユーザーのニーズに実際にマッチしているか知りたい
  • 競合企業の商品へのエンドユーザーの評価を把握し自社商品の競争力を高めたい
  • 新商品、新サービスがユーザー候補に受け入れられるか確認したい

調査内容

  • 顧客満足度調査 … 商品(技術)に関する満足度・不満点・評価等
  • ブランド評価調査 … ブランドイメージ・満足度・課題点等
  • 特定製品・サービスの潜在需要調査 … 特定製品に関する採用意向・評価等
事例3:エンドユーザー評価調査(BtoC、BtoB)

事例4:流通チャネル調査

解決したい課題

  • 流通経路における自社の実力を把握し、今後の販売戦略につなげたい
  • 新規の販売網を開拓したい
  • 新規出店を検討したい、既存店舗を見直したい

調査内容

  • 自社ないし他社の評価調査 … 自社ないし他社に対する満足度・不満点・課題等
  • 販路状況調査 … チャネル構成・主要代理店・主要ユーザー等
  • 新規販売網開拓の調査 … 取り扱い品目・従来の販売ルート・取引の可能性について等
  • 出店戦略調査 … 商圏構造、競合店の動向、店舗コンセプトの構築等
事例4:流通チャネル調査

事例5:海外市場進出支援調査

解決したい課題

  • 進出を検討している国のポテンシャルを把握したい
  • どの国への進出が有望か判断したい
  • 進出先におけるパートナーを見つけたい

調査内容

  • 現地価格調査 … 価格帯・流通経路・販売先等
  • 現地市場実態調査 … 競合企業の生産・販売・研究開発体制等
  • 進出先販路開拓の調査 … 取り扱い品目・従来の販売ルート・取引の可能性について等
  • 仕入先動向調査 … 現地における仕入先構成・仕入ルート・取引経緯等
事例5:海外市場進出支援調査
オーダーメイド調査  事例集

調査のフロー

矢野経済研究所の市場調査(受託調査)は、個別の企業様のご要望に応じて、専門研究員が特別に調査を設計して実施するオリジナルの調査です。

様々なノウハウやネットワークを駆使して、的確な分析で価値ある報告書をご提出します。 さらに、ご報告をもとにした事業計画策定、新規事業の実行支援、販路開拓、ビジネスマッチングなどのコンサルティングサービスもご提供いたします。

1.当社へのお問合せ

入手したいデータや、資料などご意向をお聞かせください。

2.お打合せ

ご担当者様から、お抱えの課題や調査目的、調査内容、調査規模、実施期間などについてヒアリングをさせていただきます。

3.調査企画・設計 / 見積書の作成

ヒアリングさせていただいた内容をもとに、必要とする調査対象や調査方法、当社が保有しているバックデータなどを勘案して調査の企画設計を行います。
それに伴い、合わせてお見積書も作成致します(無料)。
調査費用は、調査内容や調査対象の多寡、調査の規模、その難易度によって異なります。

4.調査内容の確定

ご提出させていただいた調査企画書及び見積書をもとに、お客様と再度協議させていただいた上で、調査内容を確定します。

5.調査契約の締結

調査実施の合意をいただきましたら、本調査プロジェクトに関する秘密保持条項などを含めた契約を締結します。

6.調査実施

調査の進行や連絡につきましては、プロジェクト・リーダーとなる研究員を専任し、責任を持って調査を実施致します。また、ご契約によっては、調査の進行状況を中間報告致します。

7.ご報告

所定の期日において調査が終了するとともに、すみやかにお客様に所定の報告書の提出及び調査結果の詳細についてプレゼンテーションを行います。

8.調査終了

引き続き、実行支援、事業計画策定、コンサルティング等もご提供することが可能です。

市場調査レポート

矢野経済研究所では、特定の業界や市場、トレンド、テーマ等に焦点を当てて、毎年あるいは数年毎に情報を更新する市場調査レポートを発刊しています。過去に遡ることで、市場成立・発展の経緯や品目の変遷を自由に辿ることが出来ます。

市場規模や市場動向は調査をしなくても、調査レポートを読むことで把握することができます。

矢野経済研究所が選ばれる6つの理由

①中立的調査会社

①中立的調査会社

当社は、従来から客観的な立場で常に中立的な調査を行ってきました。
また特定の企業に有利または 不利となるような情報の公開も行っておらず、企業グループないし系列のような特定の企業関係によ って事業活動に対して制約を受けることがありません。

②広範な産業分野

②広範な産業分野

アパレル、ファッションやスポーツなどの消費財から建設、産業機械、ICT、レジャー、医療、金融など 当社が扱う分野はほぼ全ての産業分野にわたると言っても過言ではありません。

③調査技法

③調査技法

リサーチの専門企業として様々な手法を駆使し、調査対象や目的に合致した最適な方法を選び課題解決 へとクライアントを導きます。特に担当研究員による各産業の業界関係者への取材を中心とした一次情報 の収集がわれわれの特徴であり強みと理解頂いております。

④業界専門アナリスト

④業界専門アナリスト

産業分野別・業界別にリサーチャー、アナリストを配置。継続的なウォッチングに基づく業界動向・業界 特性の把握により、当該業界の方向性・展望に関する深い洞察をクライアントに提供いたします。また、 業界内での人的ネットワークも当社活動のバックボーンを支えています。

⑤情報資産

⑤情報資産

当社オリジナルの企画によるマーケットレポートを年間250タイトル刊行しております。これらレポート の制作を通して膨大な情報をストックしており、また、継続的な刊行により新鮮な一次情報を蓄積して います。

⑥パイオニア

⑥パイオニア

1958年の創業以来、わが国における市場調査のパイオニアとしてクライアントの情報ニーズにお応えして いく中、ビジネスインテリジェンスの矢野経済研究所、とのご評価を頂くようになりました。

まとめ

市場調査を成功させるためには、目的に合った調査を行うことが重要です。有効な調査を行うことで、事業を戦略的に成功へと導くことができます。
昨今は顧客ニーズが多様化しており、表面的な調査ではニーズを掴み切れないこともあります。市場調査会社を上手く活用し、事業戦略や商品開発に役立てましょう。

矢野経済研究所はお客様の課題に応じて、調査の設計からお手伝いいたします。
まずは、お悩みをご相談して頂き、適切な方法や予算に応じた、調査の手法・内容をご提案いたします。

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