変貌するコメビジネスの展望と戦略 ~食品から非食品までの拡がりと成長機会~

現在、国内における米のマーケットは、需給両面で大きな転換期を迎えている。作付面積の縮小や地球温暖化による高温障害の頻発など、米の供給不安が現実のものとなりつつあり、生産現場では栽培にかかる技術革新や気象変動への対応が急務となっている。
米の生産面では、高温障害や病害虫の発生パターンに対応した、稲の品種改良が進められているほか、環境対策として従来以上に二酸化炭素を吸収できる「DAC水稲」、省力化対策として種籾を直接まくことで育苗や田植えの工程を省略できる「直播栽培」などさまざまな取組みが注目されている。一方、需要面では、海外消費の拡大に加え、健康機能米やアルファ化米、こめ油、米粉といった食品用途に留まらず、米由来成分を活用したスキンケア製品や、食用に適さない古米・破砕米を原料とするライスレジン(バイオマスプラスチック)、米ぬか油を使ったライスインク(印刷インキ)など、新素材の開発も進展している。本資料では、新たな米の用途や生産・流通形態に着目し、それらを「コメビジネス」として位置づけ、今後のビジネス機会を探る。

発刊日
2025/06/30
体裁
A4 / 265頁
資料コード
C67100200
PDFサイズ
24.3MB
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調査資料詳細データ

調査概要
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調査目的:コメビジネス及び米飯関連企業の事業戦略、商品動向、課題・問題点、市場拡大に向けた取り組み等を調査・分析することにより、コメ及び加工米飯市場の現状と今後の方向性を明らかにする。
調査対象事業・商品:コメビジネス(コメの品種開発・生産・加工・流通・販売(輸出及び現地生産)ビジネス、機能米の開発・加工関連ビジネス)、加工米飯(冷凍米飯、レトルト米飯、無菌包装米飯)
調査対象企業・団体:米穀卸売業、加工米飯メーカー、米油メーカー、米粉・米ゲルメーカー、機能米メーカー、飲料メーカー、機能性食品メーカー、官公庁、関連業界団体ほか
調査項目:目次参照
調査方法:専門研究員による面談取材及び電話、質問紙等による間接ヒアリングを実施した。また、官公庁統計資料、関連業界団体公表資料等の収集・分析を行った。
調査期間:2024年12月~2025年5月
調査企画・製作担当:株式会社矢野経済研究所 フード&ライフサイエンスユニット

調査結果サマリー
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コメビジネスに関する調査を実施(2025年)
和食ブームを追い風に海外では日本米(短粒種)需要が拡大し、2030年度のコメの一貫ビジネスの市場規模は1,705億円になると予測
~国内ではこめ粉の製粉技術・使用用途が拡大、コメ関連商品・サービスの需要も拡大の見通し~

資料ポイント
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  • コメの輸出・現地生産、機能米、米由来の代替食品・飲料、米由来の健康機能性食品等の動向を掲載
  • 上記のほか、食用に適さない非食用米のアップサイクルの進展を踏まえ、新たなコメビジネスの事業機会や将来性を展望する。

リサーチ内容

第1章 総論
 
1. コメビジネスの全体動向
2. コメビジネス対象市場の現状とポテンシャル
3. 米の外部環境分析
 
第2章 米産業の現状
 
1. コメビジネス市場
  (1) コメビジネスの市場背景
    ~「機能性」「利便性」「環境配慮」に対応した需要の創出~
  (2) コメビジネスの定義
2. 米の流通の現状
3. 米流通における多層的なプレイヤーの関係性 ~JA系統組織と民間企業の連携~
  (1) 生産者
    ① JA(農業協同組合)
    ② 個別農家(直接販売・独自流通)
  (2) 集荷
    ① JA全農
    ② 民間米卸(集荷部門)
  (3) 精米・加工
    ① 全農パールライス
    ② 大手民間米卸
    ③ 専門加工業者
  (4) 卸売
    ① 大規模卸売業者
    ② 地域の中小米卸
    ③ 専門問屋・商社
  (5) 小売・業務用
    ① スーパーマーケット・コンビニエンスストア
    ② 百貨店・専門店
    ③ 米屋
4. 日本の米備蓄制度の主な沿革と政策変更
5. 民間流通米の価格形成の仕組み ~JAグループによる価格交渉が影響~
  (1) 相対取引
    ① 相対取引における全農側の立場
    ② 相対取引における卸売業者側の立場
    ③ 交渉・契約の流れ
  (2) 概算金(仮渡金)
6. 政府の備蓄米の仕組み~約100万トンを全国約300か所で保管~
  (1) 備蓄米の備蓄方式~保管期間の長期化に伴う品質維持という新たな課題~
  (2) 備蓄米の保管・管理体制~低温倉庫にて厳重管理~
  (3) 備蓄米の買入価格と売渡価格
    ① 買入価格
    ② 売渡価格
  (4) ミニマム・アクセス米~年間約77万トンの輸入枠~
  (5) ミニマム・アクセス米の販売状況~主食用や食糧援助など多様な用途~
7. 民間貿易による輸入状況(枠外輸入)~安価な外国産米が国内に流入する可能性~
8. 生米の需給動向~Google検索数で「令和の米騒動」が急増~
9. スーパーでの小売価格(令和6年産)
10. 米袋の現状と流通別動向~売り場構成・消費者ニーズに対応した小袋化が進展~
11. 令和5年産・民間流通米の流通実態~生産者による直接流通が半数以上を占める~
12. 「消えた米」問題の実態~直販ルート流通増が一因に~
13. 穀類(米)に対する1世帯あたりの年間消費支出~代替主食との相対ポジション~
14. 米飯類(調理食品)に対する1世帯あたりの年間消費支出伸び率
 
第3章 米の生産動向
 
1. スマート農業
2. スマート農業が求められている背景
  (1) 国内農業経営体は2030年に半分に減少。従来生産では食糧の安定供給を確保できない事態に
    ~国内の農業が抱えている課題・問題点~
  (2) 海外の農業が抱えている課題・問題点
3. 農業用ドローンソリューション~ドローンの農薬散布面積 目標である100万ha達成~
  (1) 農業用ドローンの普及状況 ~農業用ドローンに適用した農薬の拡大~
  (2) 農業ドローンを展開している主要企業
4. 有機・特別栽培米
  (1) 日本における有機ほ場面積の推移(2012~2023年)
  (2) 国内総生産量における有機JASの割合(2022年度)
  (3) 企業事例
  (4) 栽培動向
  (5) オーガニック農産物の課題
    ~手作業が多くなるため、地域での雇用の確保が重要~
  (6) オーガニック農産物流通の市場展望
    ~生産体制の強化、物流の効率化、ブランド価値の訴求が成長の鍵~
5. 稲の高機能性品種~高温障害・病害虫の発生パターンの変化への対応~
  (1) 高温耐性品種
  (2) DAC水稲(Direct Air Capture)
  (3) 直播稲(Direct Seeding Rice)
    ① 低温出芽性および初期生育が良好であること
    ② 耐倒伏性が高いこと(強稈性)
    ③ 雑草との競合に強いこと
    ④ 穂発芽しにくいこと
    ⑤ 良食味であること
    ⑥ 病害虫に対する抵抗性を有すること
  (4) マイコス米
6. 微生物(根粒菌・菌根菌等)の活用
7. もみ殻バイオ炭
  (1) もみ殻バイオ炭による炭素貯留の仕組み
  (2) バイオ炭製造装置
  (3) 国や地方自治体による支援策(補助金・交付金)
    ① 「強い農業づくり総合支援交付金(うち産地基幹施設等支援タイプ)」
    ② 「林業・木材産業循環成長対策(うち特用林産振興施設等整備)」
    ③ 「産地生産基盤パワーアップ事業(うち収益性向上対策)」
    ④ 「みどりの食料システム戦略推進(緊急対策)交付金」
8. 水稲種子市場の動向
  (1) 主要農作物種子法
  (2) 主要農作物種子法下での水陸稲種子の育種
    ① 原々種、原種の生産
    ② 採種圃における種子生産
    ③ 採種圃場の管理
  (3) 国内水陸稲種子市場の特殊性
  (4) 主要農作物種子法の廃止
    ~種子法廃止後34の都道府県が種子生産に関する条例を制定~
  (5) 市場動向
  (6) 市場規模(2020~2024 年度、2025~2030 年度予測)
  (7) 参入企業・生産者動向
9. 米の生産量
  (1) 米の用途別分類
  (2) 主食用米の生産・需要量(家庭用、中食用、外食用)
  (3) 新規需要米(米粉用、飼料用、輸出用)
  (4) 加工用米(うるち米、もち米)
10. コメの一貫ビジネス、輸出・現地生産ビジネス
  ~外食市場・海外現地の消費拡大が下支えに~
  (1) 市場動向
  (2) 市場規模(2020~2024年度、2025~2030年度予測)
  (3) 参入企業動向
  (4) 栽培動向
  (5) 販売動向
11. 産直米~生産者の収益向上の余地が拡大~
  (1) 市場動向
  (2) 市場規模(2020~2024年度、2025~2030年度予測)
  (3) 参入企業動向
 
第4章 飲料・調味料の市場動向
 
1. 甘酒市場~アーモンドミルクなど健康飲料との競合が鮮明に~
  (1) 市場動向
  (2) 市場規模(2020~2024年度、2025~2030年度予測)
  (3) 参入企業動向
2. 日本酒市場(清酒)
  ~値上げによるユーザー流出も底堅い支持層により安定的な需要を維持~
  (1) 市場動向
  (2) 市場規模(2020~2024年度、2025~2030年度予測)
  (3) 参入企業動向
3. 本みりん市場~本格派好みの層が需要を牽引~
  (1) 市場動向
  (2) 市場規模(2020~2024年度、2025~2030年度予測)
  (3) 参入企業動向
 
第5章 機能米・原料素材の市場動向
 
1. 健康機能米~加工技術進歩が「食べにくさ」などの課題を解決~
  (1) 市場動向
  (2) 機能米の開発
  (3) 市場規模(2020~2024年度、2025~2030年度予測)
  (4) 参入企業動向
2. アルファ化米市場~段階的備蓄サイクルの広がりが市場拡大に寄与~
  (1) 市場動向
  (2) 市場規模(2020~2024年度、2025~2030年度予測)
  (3) 参入企業動向
3. こめ油市場~国産米ぬか需要の高まりで調達競争が激化~
  (1) 市場動向
  (2) 市場規模(2020~2024年度、2025~2030年度予測)
  (3) 参入企業動向
    ① 高付加価値化
    ② 用途提案とマーケティング
    ③ サプライチェーンの強化
4. こめ粉市場~国産米ぬかの需要増が調達競争を招く~
  (1) 市場動向
  (2) 市場規模(2020~2024年度、2025~2030年度予測)
  (3) 参入企業動向
 
第6章 加工米飯の市場動向
 
1. 冷凍米飯~プレミアム品質とワンプレート商品でラインアップ拡充~
  (1) 市場動向
  (2) 市場規模(2020~2024年度、2025~2030年度予測)
  (3) 参入企業動向
2. 無菌包装米飯~賞味期限10~12か月で備蓄食の継続的需要を取り込む~
  (1) 市場動向
  (2) 市場規模(2020~2024年度、2025~2030年度予測)
  (3) 参入企業動向
3. レトルト米飯~多様な味と健康志向への対応~
  (1) 市場動向
  (2) 市場規模(2020~2024年度、2025~2030年度予測)
  (3) 参入企業動向
4. 米菓
  (1) 市場動向
  (2) 市場規模(2020~2024年度、2025~2030年度予測)
  (3) 参入企業動向
5. 包装餅市場
  (1) 市場動向
  (2) 市場規模(2020~2024年度、2025~2030年度予測)
  (3) 参入企業動向
 
第7章 非食用米の市場動向
 
1. スキンケア(米由来)市場~日本酒の成分がスキンケア素材に位置づけられる~
  (1) 市場動向
  (2) 市場規模(2020~2024年度、2025~2030年度予測)
  (3) 参入企業動向
2. ライスレジン~日用品から玩具など採用実績は800アイテムに上る~
  (1) 市場動向
  (2) 参入企業動向
 
第8章 注目企業の個別実態(23社)
 
1. アイリスオーヤマ株式会社
2. 株式会社アサヒパック
3. アルファー食品株式会社
4. 尾西食品株式会社
5. オリザ油化株式会社
6. 木徳神糧株式会社
7. 株式会社クボタ
8. グリコ栄養食品株式会社
9. 株式会社コロナアグリ
10. 三和油脂株式会社
11. 株式会社神明
12. 東都生活協同組合
13. 東洋ライス株式会社
14. 新潟製粉株式会社
15. パルシステム生活協同組合連合会
16. 日の本穀粉株式会社
17. 株式会社福光屋
18. 株式会社プレナス
19. ボーソー油脂株式会社
20. マルコメ株式会社
21. ムソー株式会社
22. ヤンマーマルシェ株式会社
23. 勇心酒造株式会社

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