13億人の新興市場が世界に与える巨大な機会とリスク


中国政府は化粧品、日用品、衣料品、紙おむつなど一部の輸入品の関税を引下げた。引下げ率はほぼ50%、消費の海外流出を防ぎ、内需の底上げを狙う。

2014年、中国人の海外旅行支出の総額は19兆円、前年比28%増、世界の観光支出の1割を占める。「爆買い」を支えるのは観光地のお土産モノではない。内外価格差が拡大した高級ブランド、品質格差が大きい家電製品や日用雑貨が旅行先での消費を押し上げる。
こうした中での今回の措置は、高品質な輸入品の価格競争力を向上させることで、本来的な内需の海外流出を国内へ取り戻すことが目的である。

しかし、それゆえに地方も含めた中国全体に対する経済効果は限定的であろう。とは言え、海外メーカーや商社にとっては対中国輸出を拡大させるチャンスであり、一方、中国人の海外消費に期待するインバウンド市場にはボディブローのようにじわじわと効いてくる可能性もある。

外資企業は、党指導部のその時々の判断一つで重大な戦略転換を強いられるリスクを負っている。成長速度は落ちた。しかし、この巨大な新興市場が発するさざ波は個々の企業の命運を決しかねない。突如変更されるルール、不透明な法体系、過剰競争、労務問題、未成熟なガバナンス、、、江守グループそしてLIXILの中国子会社、彼らもまたこの国に特有の機会とリスクに飲み込まれたと言える。

今週の”ひらめき”視点 05.31 – 06.04

 

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