中国、「穏中求進」路線を維持できるか、景気対策に舵を切る


中国は、この1年半で67兆円を越える外貨を「元買い、ドル売り」に投じた。強い人民元は「中華民族復興」の象徴であり、「走出去」と呼ばれる企業の海外直接投資を進めるうえでの強力な武器である。しかし、経済の減速が鮮明になる中、人民元は先安観に包まれる。
こうした中、中国当局は、財政出動や企業減税などあらゆる政策を動員して景気を下支えするとの方針を固め、財政赤字と追加的な金融緩和の容認を声明した。

国営企業の負債総額は9月末時点で1476兆円、1-9月期の純損失額は33兆円1132億円に達する。輸出とインフラ投資を中心とした旧来型経済からの構造改革は待ったなしである。そして、それは「新常態」と称する緩やかな成長の中でソフトランディングさせるはずだった。しかし、実体経済の悪化は想定以上の速さと規模で進行しているようだ。
一方、IMFのSDRへの採用をようやく果たした人民元を、かつてのように当局の管理化に置くことは出来ない。元高、元安、いずれであっても恣意的な為替介入は国際通貨としての信任を毀損する。

中国経済の潜在力に異論はない。しかし、あまりに大きすぎる規模が構造改革を難しくしている。リーマンショック直後、中国は52兆円規模の財政出動を実施、世界経済のもう一段の底割れを防いだ。これに対する歴史的評価は分かれるところであるが、確かなことは、今、当時の中国は世界のどこにもない、ということだ。解決は中国自身に委ねられている。

今週の”ひらめき”視点 12.20 – 12.24

 

~変化の予兆をつかむ、変化の本質を見抜く~
今週のWebニュースクチコミランキングはこちらからもご覧になれます。

 


コメントを残す